植草一秀氏の掲題の2つの記事を紹介します。
(1番目の記事)
ペルシャはイランの古名で、ペルシャ湾はここではホルムズ海峡のことです。トランプが要求しているホルムズ湾への艦船の派遣は、別掲の記事でも詳細にその違法性が明らかにされました。植草氏は違法であることをより簡明に説明しています。
(2番目の記事)
日本は米国の国債を「約1兆ドル」分所有しています。主要な購入時期は平均1ドル100円以下の時だと思われます。ドル建ての国債は勿論円安の影響を受けないので、売却すれば「額面1ドル」は1ドル+利息(=160円+α)に換金できるので、時価総額は160兆円+利子分になります。
しかし不当なことに、米国は日本に対して「米国債を売ることを許さない」のが実態です。
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自衛隊ペルシャ湾派遣は違法
植草一秀の「知られざる真実」 2026年3月16日
改めて強調するが高市首相は明確な戦略と戦術なしに訪米するべきでない。
米国が実行したイランに対する軍事侵攻=先制攻撃は国連憲章違反=国際法違反行為。
したがって、日本の集団的自衛権行使を容認する「存立危機事態」の要件を満たさない。
そもそもは日本の集団的自衛権行使が憲法上許されないもの。
安倍内閣による2014年の憲法解釈変更、15年の戦争法制に正統性がない。
百歩譲って憲法解釈変更および戦争法制が有効であるとしても、今回のケースで日本が自衛隊をペルシャ湾に派遣することはできない。
日本は法治国家である。そして、憲法は権力の暴走を止めるために存在するもの。
憲法の制約から自衛隊のペルシャ湾派遣はできない。
百歩譲って現行法体系が有効であるとの前提を置いても自衛隊の派遣はできない。
現行法体系下で自衛隊を派遣できるいくつかのケースがある。
武力攻撃事態
存立危機事態
重要影響事態
国際平和共同対処事態
そして、自衛隊法に基づく「海上警備行動」
しかし、今回のケースでは日本は自衛隊を動かせない。
「武力攻撃事態」は日本が武力攻撃を受けた場合。日本は武力攻撃を受けていない。
「存立危機事態」は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるケース。
「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」した場合に検討される。
しかし、今回のケースは「我が国と密接な関係にある他国」=米国に対する武力攻撃が発生したものではない。米国がイランに対して先制攻撃を行ったケース。
2015年5月27日の政府国会答弁が存在する。民主党岡田克也代表の質問に対する答弁。安倍首相は先制攻撃した国の後方支援について「あり得ない」と述べた。
中谷元防衛相と岸田文雄外相は先制攻撃が国際法上認められていないとした。
岡田氏は我が国と密接な関係にある他国が先制攻撃をしたときに存立危機事態と認定して集団的自衛権を行使する可能性についても質問。岸田外相は「まったくあり得ない」と答弁した。
国連憲章51条は武力攻撃を受けた場合に限り、国連安全保障理事会が必要な措置を取るまで個別的・集団的自衛権の行使を認める。
しかし、先制攻撃は国連憲章違反である。したがって、米国といえども米国が攻撃を受けたのではなく、米国が先制攻撃を行った場合には日本が集団的自衛権を行使することはできない。
このことは政府の国会答弁で明確に示されている。
今回の事態は米国が国際法に違反してイランに対する先制攻撃を行ったものであり、
放置すれば直接の武力攻撃に至る恐れのある「重要影響事態」にも、
国際社会の平和や安全への脅威がある際、国連憲章の目的に従って共同で対処する「国際平和共同対処事態」にも該当しない。
このなかで、高市首相が訪米してトランプ大統領から要請されて、自衛隊のペルシャ湾への派遣を約束して実行するなら、日本は米国による侵略戦争に加担することになる。
自衛権の行使どころか侵略戦争への加担という戦争犯罪に手を染めることになる。
訪米し、トランプ大統領に対して諫言し、日本としては国際法違反の侵略戦争に加担することはできないと堂々と述べることができるなら訪米してもよいだろう。
ところが、トランプにしがみついて飛び跳ねて媚を売るだけなら訪米などするべきでない。
日本が根本的に国の進路を誤るリスクが浮上している。
日本の主権者の力で高市訪米を阻止することが望まれる。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4366号
「高市内閣排除を検討する必要」 でご高読下さい。
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(後 略)
160兆円に上乗せ80兆円上納金
植草一秀の「知られざる真実」 2026年3月18日
高市首相は「事態の沈静化を求めている」と繰り返すが事案の評価が先決だ。
誰に非があるのかを明確にしなければ解決策を示すことはできない。
欧州諸国は米国に非がある戦争に艦船を派遣することはできないと明示している。当然のことだ。
今回の事案は米国による一方的な軍事侵略。
最高指導者夫妻を突然殺害した。小学校にミサイル攻撃を行い、罪のない多数の子どもを虐殺した。明白な戦争犯罪である。
その米国に加担して軍を派遣することは侵略戦争への加担になる。
欧州、豪などが米国の要求を拒否していることについてトランプ大統領が激怒している。
この状況下で高市首相が訪米する意味はない。訪米するなら、米国の国際法違反を指摘して、米国の軍事行動中止を求めるしかない。
日本への自衛隊派遣の要請に対しては対応できないことを明言する以外にない。
トランプ大統領は不満を露わにするだろう。トランプ大統領に対して誤りを指摘し、米国の要求を呑めないことを伝えるために、わざわざ訪米する必要があるのか。
米国が孤立無援に陥っている状況であるから、日本が米国にすり寄れば得点を稼げる。
これほど浅はかな考えはない。
米国が国際法に反してイランに対する軍事侵攻を行った。イランは自衛権を行使してホルムズ海峡封鎖を実行した。その結果、原油価格が急騰して世界経済に深刻なダメージを与えている。
国際社会が足並みを揃えて米国の国際法違反の暴走を諫(いさ)めるしかない。
このなかで、米国の力が強いことを理由に米国にすり寄る造反国が登場すれば国際社会の利益を損ねる。
「事態の沈静化を求める」なら、米国に対して国際法違反の暴走をやめるように進言するのが正しい対応。その対応を示さずに、トランプ大統領の機嫌を取ることに腐心するのは愚の骨頂。
日本政府は5500億ドルの対米投資を約束させられた。円換算で80兆円以上の対米上納金だ。
日本はすでに1兆ドル=159兆円の上納金を米国に支払い済み。日本政府保有の外国証券が1兆ドルある。ほぼすべてが米国国債である。ドル高で円換算額が膨らんだ。
これを「ほくほく」とか「うはうは」とか表現する者がいるが見当違いも甚だしい。
ドル建て資産を保有してドルが上昇すれば利益が生まれる。
1ドル=100円で1兆ドルのドル建て資産を購入し、その後に1ドル160円になれば大きな利益が生まれる。評価額は100兆円が160兆円になる。60兆円の含み利益が生じる。
しかし、これを眺めるだけなら無意味だ。
1ドル=160円の時点で保有するドル建て資産を売却して日本円に転換して初めて利益が「実現」する。売却せずに評価額が上昇したと喜んでも無意味なのだ。
「ほくほく」でも「うはうは」でもない。
円安で日本の消費者は輸入品に多額の日本円を支払う必要が生じる。
日本国民の所得と資産のドル換算額は円安で激減する。
円暴落は日本国民にとって災難でしかない。
また、円暴落で日本の優良資産が外国資本に買い占められている。
これが最大の経済安全保障問題。
日本政府は保有する米国国債の売却を許されない。
その上で、新たに80兆円もの上納を迫られている。
唯々諾々とこれに応じるのは愛国者ではなく売国者である。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4368号
「媚米外交は国際社会の害悪」 でご高読下さい。
(後 略)
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。