2026年3月19日木曜日

ホルムズ海峡 自衛隊派遣はありえない 日米会談 首相は断固拒否(しんぶん赤旗)

 トランプは14イランが事実上封鎖するエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡の安全確保に向けて、海峡経由でエネルギーを輸入している国々が防衛を担うべきだとの考えを示し日本中韓英仏の5カ国を名指しして派遣を期待すると表明しました。
 15日には具体的な国名は明らかにしないで「7カ国程度」に艦船の派遣を要求したと明らかにし要請に前向きな回答が複数あったが、否定的な反応もあったと述べました。
 これについて欧州諸国は16日、別掲の記事の通り、中東情勢の混乱の責任は米側にあるとして、軍事的関与をしないと一斉に表明しました。
 高市首相は16日の参院予算委で、ホルムズ海峡への艦船派遣を巡り、「法律の範囲内で、日本関係船舶と乗員の命をどう守るか、何かできるか検討中だ」と述べ自衛隊法に基づく海上警備行動の発令については「相手方が国または国に準ずる組織が想定される場合、法的に非常に難しい」と慎重な姿勢を示しました
 ところがトランプは17日、突如、対イラン軍事作戦でNATO加盟国や日豪韓などの支援は「もはや必要ない」と自身のSNSで述べまし(産経新聞18日)。
 まことに「日替わりの発言」で、理由等は明らかではありませんが、本来が無体な要求なので当然撤回されるべきものです。いずれにしても日本の政府 特に高市首相は西欧諸国の毅然とした態度を見習うべきで、トランプの顔色ばかり窺っていては、とても憲法も法律も守れないし、国民の安寧は保てません。

 しんぶん赤旗が17日、掲題の記事:「ホルムズ海峡 自衛隊派遣はありえない 日米会談 首相は断固拒否」を載せました。
 記事は対イラク戦争の発端の違法性から始まって、関連する憲法と法律に照らし合わせ、消去法によって「自衛隊派遣はありえない」ことを明らかにしました。日米会談ではその旨を説明して「断固拒否すべきである」としています。
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ホルムズ海峡 自衛隊派遣はありえない 日米会談 は断固拒否を
                       しんぶん赤旗 2026年3月17日
 米・イスラェルによる法なイランヘの先制攻撃を巡り、トランプ米大統領がSNSで日本などを名指しして、イランが事実上の封鎖を行っているホルムズ海峡の「安全」のため艦船派遣を求めています。19日から訪米する高市早苗首相が、トランプ氏から、派遣を直接要求される危険があります。曲がりなりにも「法の支配」を掲げる日本が、国連憲章・国際法違反の先制攻撃に参加することは許されません。要請を断固拒否する以外に選択肢はありません

米・イスラエルに全面的責任
 そもそも、ホルムズ海峡で民間船舶が危険にさらされている最大の原因は、米国とイスラエルが一方的にイランを先制攻撃したことにあります。ホルムズ海峡の安全を確保するというのなら、全面的責任は、米国とイスラエルにあります。
 しかし、ロイター通信によると、米海軍は攻撃を受けるリスクが高いとして、海峡を通過する船舶の護衛を拒否し、当面は実施できないと説明しています。イランヘの攻撃を継続しながら、「危険だから」という理由で護衛を拒否して他国に艦船派遣を求めることは、身勝手以外の何ものでもありません
 一方、イランのアラグチ外相は、同海峡は「敵国とそれを支持する国の船舶を除き、そのほかのすべての国に開放されている」と表明しています。逆に言えば米・イスラエルといった「敵国」を支持しているとみなせば攻撃目標になるとの表明であり、米国の要請に応じて艦船を派遣すれば、逆に危険が増すことになります。

安保法制の適用あるか
 仮に自衛隊派兵を行う場合、憲法違反の集団的自衛権を行使し、日本の領域外で米軍などとともに自衛隊の武力行使を可能とする「安保法制」が法的根拠となる危険があります。安保法制の審議の際、当時の安倍晋三首相は「存立危機事態」に該当する例として中東・ホルムズ海峡での機雷敷設を挙げていました。
 高市首相は9日の衆院予算委員会で、「現在の状況が存立危機事態に該当するといった認定は政府として行っていない」と述べましたが、仮に、トランプ氏の要求に屈し存立危機事態として認定すれば、国民の強い批判は避けられません
 また安保法制は、「戦地」での米軍などへの兵站支援など後方支援を行う「重要影響事態」も規定。「放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」だと説明しており、適用するのには無埋ます。

自衛隊法・防衛省設置法でも困難
 また、小泉進次郎防衛相は「現時点で考えていない」としつつ、日本関係船舶の保護のため、一般論として自衛隊法82条に基づく「海上警備行動」が発令できると発言。海上警備行動は「人命・財の保護や治安維持」が目的で、過去に発令されたのは北朝鮮の不審船やソマリア沖の海賊に対してでした。国や国に準ずる組織への適用は困難であり、高市首相も「法的には非常に難しい」(16日の参院予算委)と認めています
 これ以外に派兵の根拠とされる可能性があるのが、自衛隊が19年以来続けている中東での「情報収集活動」です。
 トランプ政権が18年5月に、イランと米英独仏中ロの6カ国と間で結んだ核開発を大幅に制限する合意を一方的に破棄し、イラン情勢が緊迫化しました。トランプ氏は一時報復攻撃を承認し、その後撤回するなど攻撃寸前の事態となった後、ホルムズ海峡などでイランを包囲する「有志連合」を呼びかけました
 日本政府は有志連合に入らず、「わが国独自の取り組み」と称し、海賊対処のためにアフリカ東部のジブチを拠点に活動している海上自衛隊のイージス艦とP3C哨戒機を情報収集活動に兼務させました。防衛省設置法4条の「調査・研究」を根拠としています。
 しかし、現在行っている情報収集活動は、ホルムズ海峡とペルシヤ湾を除外しています。除外の理由として防衛省は「(同海域が)主にイランとオマーンの領海内」で、「米国など関係各国との連携で情報収集が可能」だからだと説明していますが、「イランと長年友好関係を維持」してきたことを強調しており、事実上、イランとの関係悪化を避けるための除外です。
 今回、トランプ氏はホルムズ海峡への艦船派遣を日本などに要求しており、仮にホルムズ海峡やペルシャ湾に活動範囲を広げれば、日イラン関係が悪化するのは決定的です。

「違法攻撃支援せず」の政府答弁
 米・イスラエルによる明白な「国際法違反」の対イラン攻撃に自衛隊が参加することがあれば、日本政府はいよいよ言い訳のきかないあるまじき行為を犯すことになります。
 国連の独立調査団は今月4日、米・イスラエルによるイラン攻撃は「国連憲章違反」だと非難し、国連の専門家13人も12日、「国際法に完全に違反し、侵略行為」だと非難する声明をそれぞれ発表しました。各国政府に米・イスラエルと厳しく対峙するよう求める国際社会の圧力が一層高まるなか、スペイン政府に加え、イタリアのメロー二首相も11「国際法の範囲外」だと批判し、同攻撃に「介入しない」と表明しました。
 ところが高市早苗首相は、対イラン攻撃への「法的評価は差し控える」などと逃げ回る姿勢に終始。現時点で、自衛隊の派遣については「検討」するとしています。一方で、9日の衆院予算委員会で高市首相は、15年の安保法制を巡る国会審議で、違法な先制攻撃を行った国を「わが国が支援することはない」との安倍晋三首相(当時)の答弁について問われ、「政府の現在の考えと変わりはない」と明言しました。そうであるならば、この先制攻撃を「合法」と位置付けないけない限り、対イラン攻撃には参加できないことになります。
 ホルムズ海峡の事実上の封鎖などを受け、同地域に日本人が取り残される事態に陥っています。これに対して日本政府が行うべきことは、自衛隊の派遣で隊員や現地の日本人の命を危険にさらすことではなく、米・イスラエルに攻撃の即時中止を求め、イランに安全航行を求める「外交努力しかないことは明白となっています。