2018年11月16日金曜日

自民改憲案 今国会への提示は困難に

 改憲派に属する産経新聞が、自民党の改憲案を今国会に提示できる可能性はほぼなくなったとする記事を出しました。
 衆院憲法審査会の運営を担う「幹事」に内定していた自民党の下村博文氏が9日のCS番組で、「(衆院憲法審メンバーが)率直な議論さえしないのは国会議員の職場放棄ではないか」と述べたことに対して野党が一斉に反発したため、下村氏は内定していた「幹事」を辞退しましたが、それではとても収まらずに,現在衆参両院の憲法審査会が開催できない状況にあります。
 
 下村氏は首相の信任が厚いことから、自民の憲法改正推進本部長の要職に就きましたが、この発言は首相の意向を忖度して審議を急ごうとした余りの勇み足でした。ただ党内には、下村氏は「ほとんど国会対策をしたことがない」ので、与野党が激突する憲法審で議論を主導するのは無理という見方があり、結果的にミスキャストであったことが証明されました。
 
 木曜日が定例の開催日である衆院憲法審は、与党筆頭幹事の新藤義孝元総務相と野党筆頭幹事の立憲・山花郁夫氏間で行われた14日の電話協議が整わず、15日(木)も開かれませんでした。
 衆院憲法審では、幹事の選任に引き続いて、先の通常国会からの継続審議となっている国民投票法改正案を成立させるのが第一の段取りで、産経新聞によれば、憲法審に提示されてから改正案が成立するまで3週間はかかるとされるので、仮に22日に憲法審が開かれたとしても、会期を延長しない限り国民投票法改正案の成立は危ういとされています。
 自民党の改憲案が提示されるのは、その次の自由討議の場においてになるので、今国会中にそこに行き着く見通しはないということです。
 
 かくして、自民党内で一時ささやかれた「来夏の参院選前の国会発議」は非現実的となっています。
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自民改憲案、今国会の提示は困難 「職場放棄」に野党反発
産経新聞 2018年11月14日
 自民党が目指す憲法9条への自衛隊明記など4項目の党改憲案の臨時国会提示が困難となっている。10月24日の国会召集から3週間が経過した今も、衆参両院の憲法審査会は野党の抵抗により開催されておらず、初回は早くて今月22日。自民党の下村博文憲法改正推進本部長が野党を「職場放棄」と批判したことも反発を招き、改憲議論が進展する気配はみられない。
 衆院憲法審の与党筆頭幹事の新藤義孝元総務相(自民党)は14日、野党筆頭幹事の山花郁夫氏(立憲民主党)と電話で協議を重ねたが、開催日程について合意は得られなかった。
 
 改憲議論の先行きは不透明感を増している。「率直な議論さえしないのは国会議員の職場放棄ではないか」。下村氏が9日のCS番組でこう発言し、野党側の反発を招いたからだ。
 そもそも野党第一党の立憲民主党は憲法審開催に後ろ向きで、下村氏の発言が「野党に審議拒否の口実を与えた」(自民党幹部)。下村氏は野党との運営協議が行き詰まると判断し、内定していた衆院憲法審の運営を担う「幹事」を辞退した。だが、立憲民主党の辻元清美国対委員長は14日、記者団の取材に、幹事辞退ではけじめにならないとの認識を示し、当面開催に応じない姿勢を見せた。
 
 自民党は、安倍晋三首相(総裁)が今国会での党改憲案提示の意向を示したことから、憲法審査会の自由討議の場を設けて各党に説明する構えだった。
 しかし初回の憲法審では事務手続き(幹事の選任)を行う必要がある。続いて、先の通常国会からの継続審議となっている国民投票法改正案を成立させる段取りだ。同改正案の審議は少なくとも衆参で計3日間必要とされる。
 憲法審の開催定例日は衆参ともに週1日しかない。順調に進んでも、初回の憲法審から改正案成立まで3週間はかかるとされる。会期を延長しない限り、成立は危うい。その次に控える自由討議に行き着く見通しは全く立たない。
 
 先に自由討議を行う方法もあるが、新藤氏は野党の反対を押し切って運営を進める考えを持っていない。憲法改正の是非を決める国民投票を踏まえ、世論の分断を避けるためだ。自民党内で一時ささやかれた「来夏の参院選前の国会発議」は非現実的となっている。(田中一世)
 
 
自民・下村氏、憲法審幹事を辞退=「職場放棄」発言に野党反発
時事通信 2018年11月13日
 自民党の下村博文憲法改正推進本部長は、就任予定だった衆院憲法審査会幹事を辞退する意向を固めた。党関係者に13日に伝えた。下村氏から改憲論議への慎重姿勢を「職場放棄」と批判された野党が反発し、与党内でも懸念が出ていた。
 
 主要野党の憲法審幹事らは同日、国会内に集まり、下村氏から謝罪がない限り、自民党の憲法審開催要求には応じないとの方針で一致した。
 国民民主党の原口一博国対委員長は記者会見で「与野党の枠を超えて議論する憲法審を壊し、審議拒否してきたのは自民党だ。他者に責任転嫁し、罵倒するのは、本気で憲法を議論する気持ちがないと受け止めた」と下村氏に猛反発した。
 一方、公明党の山口那津男代表も会見で「よろしくない発言だ。かえって議論が進まない状況をつくってしまうのではないか」と指摘した。
 下村氏は9日、「(憲法審で)議論しようということさえしなかったら、それは国会議員として職場放棄ではないか」と述べていた。

徴用工の請求権「消滅してない」と外相 共産・穀田議員に答弁

 河野外相は14日の衆院外務委員会で、共産党の穀田恵二議員への答弁で、「個人の請求権は日韓請求権協定で消滅していない」ことを認めました。
 外務省の三上正裕国際法局長も、「(個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではないとした1991年の)柳井俊二条約局長の答弁を否定するつもりはない」、「権利自体は消滅していない」と答弁しました。
 
 これは先に共産党の志位委員長が1日、「徴用工問題の公正な解決を求める」との見解表明の中で、10月30日、韓国最高裁が元徴用工の請求権を認め新日鉄住金に損害賠償を命じる判決を言い渡したことに対して、安倍首相が、元徴用工の請求権は「1965年の日韓請求権・経済協力協定によって完全かつ最終的に解決している」と述べたことに対して、
「こうした日本政府の対応には重大な問題がある。日韓請求権協定によって、日韓両国間での請求権の問題が解決されたとしても、被害にあった個人の請求権を消滅させることはないことは、日本政府が国会答弁などで公式に繰り返し表明してきたことである」
と述べたことが正当であることを、外務省当局が認めていることを意味します。
 
 ところで安倍首相は1日の衆院予算員会で、「当時、国家動員令には『募集』と『官斡旋』『徴用』があったが、今回の裁判の原告は全部『募集』に応じたため、『朝鮮半島出身労働者問題』と言いたい」(河野外相も同じ)と、あたかも自由意思による自由契約であったかのように述べ、またネトウヨも、「徴用工ではなかった」と鬼の首を取ったかのような言い方をしていますが、それは間違っているとLITERAは指摘しています。
 
 LITERAによれば、当時 朝鮮人の国内企業への動員は、各企業から申請された「移住朝鮮人」の数を厚生省が査定し、内地からの指示で朝鮮総督府が自治体に割りふり、その指定を経て、現地の日本人警察官らと一体となって動員したもので、大日本帝国政府の方針に従い、当局が管理して行われた“国策”でした。
「官斡旋」は動員が急を要するようになった42年に「募集」から移行した制度で、44年には「徴用」になりましたが、いずれにせよ、「募集」「官斡旋」「徴用」の形式に限らず、これらはみな政府の正式な方針に基づき、当局の管理下で行われた動員であって、それを、さも「自由契約によって日本で働いただけだ」とするような安倍政権の主張は、誤った認識を与えるための「印象操作」です。
 現に、慰謝料の対象になる「奴隷的労働」・「虐待」は、「募集」「官斡旋」「徴用」の形式の別を問わずに、「朝鮮人」であったが故に等しく行われました。
 LITERAの記事は5400字超の長文であるためここでは紹介しませんが、下記にアクセスすればご覧になれます。
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徴用工個人の請求権 外相「消滅してない」 衆院外務委 穀田議員に答弁
しんぶん赤旗 2018年11月15日
 河野太郎外相は14日の衆院外務委員会で、韓国の元徴用工4人による新日鉄住金に対する損害賠償の求めに韓国大法院(最高裁)が賠償を命じた判決(10月30日)をめぐり、1965年の日韓請求権協定によって個人の請求権は「消滅していない」と認めました。日本共産党の穀田恵二議員への答弁。大法院判決について「日韓請求権協定に明らかに反する」としてきた安倍政権の姿勢が根本から揺らぎました。
 
 穀田氏は外務省が日韓請求権協定第2条について「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではない」(柳井俊二条約局長1991年8月27日、参院予算委)と答弁したことを示し、河野氏の認識をただしました。河野氏は「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではございません」と明言しました。
 
 また穀田氏は、大法院判決で原告が求めているのは、未払い賃金の請求ではなく、朝鮮半島への日本の植民地支配と侵略戦争に直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員への慰謝料だとしていると指摘。これに関し柳井条約局長が、92年3月9日の衆院予算委員会で日韓請求権協定により「消滅」した韓国人の「財産、権利及び利益」の中に、「いわゆる慰謝料請求というものが入っていたとは記憶していない」としたことをあげ、「慰謝料請求権は消滅していないということではないか」とただしました。
 外務省の三上正裕国際法局長は「柳井局長の答弁を否定するつもりはない」、「権利自体は消滅していない」と答弁しました。
 穀田氏は、「個人の請求権は消滅していない」と強調。「日韓双方が被害者の尊厳と名誉を回復するという立場で冷静で真剣な話し合いをすることがきわめて大切だ」と求めました。

16- 外資の餌食 「種の交換」が共謀罪に 政府の省令は農家・自治体イジメ

 農家や自治体がその種を育成する権利(育成者権)は、「種苗法」によって保護されており、違反者には「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又はこれを併せて科す」という厳罰が定められていますが、実際には特別な措置が認められていて、農家が自ら生産した作物から種を取る「自家採取」は原則自由とされています。
 
 ところが農水省は、自家採取を認めない例外作物を省令でどんどん増やし、昨年からでも67種類増え、現在、タマネギやジャガイモ、ダイコンなど356種類にまで上ります。
「省令で自家採取禁止の品種を増やして、新品種の開発を促そうと考えている」というのがその言い分なのですが、グローバル種子企業が営業をし易くするためとなると話は全く違ってきます。
 弱者を救済する規制改革なら意味がありますが、グローバル企業がやり易いようにという規制改革は有害そのものです。
 元農水大臣で弁護士の山田正彦氏は「もしかすると、農水省は来年の国会で『自家採取の原則禁止』を定めた法案を出してくるのではないか」と警告しています。
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外資の餌食 日本の台所が危ない  
「種の交換」で共謀罪?  政府の省令は農家・自治体イジメ
日刊ゲンダイ 2018年11月15日
 農家が直面するのは、多国籍の種子企業による市場支配や固定種の農産物が作れなくなるという心配だけではない。思いもよらない刑罰に処せられる恐れがある。
 新しい種を登録した農家や自治体がその種を育成する権利(育成者権)は、「種苗法」によって保護されている。一方、違反者には、次のような罰則が科せられる。
<(侵害の罪)第67条 育成者権又は専用利用権を侵害した者は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する>
 要するに、特許権や著作権の侵害と考え方は同じ。新しく品種登録された種を勝手に増殖したり、売ったりすると、権利侵害とみなされ罰則を受けるということだ。とはいえ、種苗法では特別な措置が認められていて、農家が自ら生産した作物から種を取る「自家採取」は原則自由とされている。
 
 ところが問題なのは、農水省が自家採取を認めない例外作物を省令で増やしていることだ。その数は、昨年から67種類増え、現在、タマネギやジャガイモ、ダイコンなど356種類にまで上る。
「日本は海外に比べ、新たな品種登録の出願件数が減っている。省令で自家採取禁止の品種を増やして、新品種の開発を促そうと考えています」(農水省知的財産課)
 
 日本各地で土地の風土や気候に適した在来種の種の交換会が行われているが、こうした交換会で、政府が自家採取禁止と定めたものを交換すると、種苗法違反の罰を受ける可能性があるのだ。元農水大臣で弁護士の山田正彦氏がこう言う。
「育成者権の侵害は重い刑罰が科せられている上に、共謀罪にも問われます。種の交換会に参加した人はもちろん、会の準備に加わった人も罰則の対象です。それなのに、政府は省令で、自家採取できない例外品種を増やしている。もしかすると、農水省は来年の国会で『自家採取の原則禁止』を定めた法案を出してくるのではないか。政府が自家採取できない種を勝手に決めるのは、在来種を守ってきた農家に対する権利侵害ですよ」
 
 もはや政府による、農家・自治体“イジメ”である。こうしたトップダウンの政策は、官邸や規制改革会議という密室で決められている。   =つづく 
(取材=生田修平、高月太樹/日刊ゲンダイ)

2018年11月15日木曜日

日米交渉「サービスも対象」と ペンス米副大統領

 12~13日に来日したペンス米副大統領と安倍首相との会談に関連して、NHKなどは年明けから始まる日米交渉を盛んに「TAG(物品貿易協定)」と強調していましたが、ペンス氏は共同記者発表でも、対日貿易について「米国の製品やサービスに対して、障壁がある」と不満を見せ、来年一月以降に始まる新たな二国間交渉で貿易不均衡の是正を迫るとの姿勢を見せました。
 アメリカ側が、日米二国間交渉をサービス分野も含めた自由貿易協定(FTA)交渉と認識していることは明らかです。
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日米交渉「サービスも対象」 ペンス氏、市場開放迫る 首相と会談
東京新聞 2018年11月14日
 安倍晋三首相は十三日、来日中のペンス米副大統領と官邸で会談した。ペンス氏は会談後の共同記者発表で、対日貿易について「米国の製品やサービスに対して、障壁がある」と不満を見せ、来年一月以降に始まる新たな二国間交渉で貿易不均衡の是正を迫る姿勢を示した。 (矢野修平)
 
 日米両政府は九月にまとめた共同声明で、新たな貿易協定の交渉を始めることを合意。日本はこの協定を、物品関税を中心とした「日米物品貿易協定(TAG)」と説明しているが、米国はサービス分野も含めた自由貿易協定(FTA)に向けた交渉と位置付けており、両政府の認識にずれがある。
 ペンス氏は、来日前にツイッターで安倍首相との会談目的について「FTAに向けた交渉について議論する」と明言。この日の会談後の発表でも、物品とサービスの両分野で米国が「日本の市場で、公正に競争できていない」と主張し、サービス分野を含めた二国間交渉が、その解決策だと述べた。
 
 一方の安倍首相は、今後の貿易交渉について「九月に合意した共同声明に従って、日米双方の利益となるように貿易、投資をさらに拡大させる」と語った。共同声明では、物品以外のサービス分野の交渉は「早期に結果が出るもの」に限定しており、日本側は税関手続きの簡略化など意見対立の少ない分野を想定。米国の関心が強い金融や医薬品などの非関税障壁の見直しには応じない方針だ。
 また会談では、米国が検討する輸入車への追加関税について、日本との新たな貿易交渉の期間中は日本車に対して課さないことを改めて確認した。西村康稔官房副長官が会談後に明らかにした。
 
 
日米交渉 物品以外も 米副大統領会見で表明 兵器購入迫る
 しんぶん赤旗 2018年11月14日
 安倍晋三首相とペンス米副大統領は13日、首相官邸で会談しました。会談後の共同記者発表でペンス氏は、日米通商関係について「トランプ大統領は日米間の貿易不均衡があまりにも長く続くと言っている。米国の物品や貿易は障壁に直面している」と不満を表明。その上で「2国間貿易に関する交渉を開始する決定を歓迎する」と述べ、「交渉は間もなく始まる。この協定は物品だけでなくサービスも含めた重要分野の条件を整備し、アジア太平洋地域の模範になると自信を持っている」と語り、2国間の自由貿易協定(FTA)交渉となることを明らかにしました。
 
 また、ペンス氏は、トランプ米大統領が日本政府に繰り返し武器の購入を迫ったことにふれ、「日本の防衛強化を助ける。そうした意味でこれから防衛技術を日本に売却していく」と強調。米国製兵器のさらなる購入を迫りました。
 ペンス氏は「権威主義や侵略はインド太平洋に入る場所がない」と述べ、南シナ海での中国の活動をけん制しました。
 安倍首相とペンス氏は「自由で開かれたインド太平洋」の促進に関する共同声明を発表しました。
 ペンス氏は14日からシンガポールで行われる東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議などへの出席に先立ち来日しました。

外資の餌食 種子法廃止に抵抗する地方「条例」続々

 日本のコメや麦の種を守る「種子法」が今年の4月1日に廃止され、その廃止法と同時に成立した「農業競争力強化支援法」により、これまで県の農業試験場などが開発してきた「コメの種とその情報を民間企業に提供する」ことが義務付けられました。ここでいう民間企業は事実上グローバル種子企業のことで、これによって農産品を品種登録するためのデータが無償で得られることになりました。
 政府は、次の段階で「種苗法」を改定し、今後はすべての種子を品種登録させるようにします。
 するとグローバル企業が既成の品種をベースにしたものをいち早く登録して、農家が従来のように種苗を自家採取することが出来なくします。
 
 これがグローバル種子企業が、他国の種子・種苗の市場を独占してきたストーリーですが、そんなことが実現しては大変です。
 いくつかの自治体は種子法廃止を受け条例を制定することで政府に対抗する動きを見せています。兵庫、埼玉、新潟、山形は、すでに種子条例を制定し、北海道や長野、富山でも独自の種子条例が制定される見通しです。
 
 種苗法を成立させないことは勿論ですが、売国政府が自国の農業を壊そうとしている中、各都府県の奮闘が期待されます。
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外資の餌食 日本の台所が危ない  
国vs自治体の争い勃発…種子法廃止に抵抗する「条例」続々
日刊ゲンダイ 2018年11月14日
 日本の食と農業を守ってきた種子法が廃止されたことに対し、農業の盛んな地域は抵抗している。
 自治体は、長い年月と費用をかけて「種」を作ってきた。ところが、種子法廃止と同時に成立した「農業競争力強化支援法」の8条4項には、次のような恐ろしい文言が明記されている。
<独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること>
 要するに、自治体が培ってきた種に関する知識を、民間や多国籍の種子企業に「渡せ!」ということだ。種の開発者からすれば、知的財産の保護を無視するような法律に怒って当然である。
 
 そこで、いくつかの自治体は、種子法廃止を受け、条例を制定することで政府に対抗する動きを見せている。
 例えば、兵庫、埼玉、新潟、山形は、すでに種子条例を制定した。北海道や長野、富山でも、独自の種子条例が制定される見通しだ。
 こうした動きが農業を主要産業とする自治体で広がっているのは、種子法がロクな審議もされずに廃止されたからだ。
「国会議員も地方議員も何が何だか分からないまま、種子法は突然廃止されました。地方議会から国会に対し、公共の種を守るために種子法に代わる法律を制定すべきとの意見書が相次いでいます」(「日本の種子を守る会」事務局)
 
 国会では、野党6党が先の通常国会に種子法廃止法の撤回法案を提出し、継続審議となっている。加えて、与党・自民党にも変化の兆しがある。
 今月6日、「日本の種子を守る会」が、種子法に代わる新たな法律の制定を自民の竹下亘前総務会長に要請すると、竹下は「私自身も(種子法廃止の)中身が分からず(賛成に)起立した一人だ」と懺悔。「量だけでなく安全性も含めて、食糧の安全保障は、政権が絶対に維持しなければならない」と話したのだ。
 
 条例制定は相次いでも、種子法そのものがなくなった懸念は拭えない。農業問題に詳しいジャーナリストの天笠啓祐氏がこう言う。
「心配なのは、公共の種を開発してきた技術者や研究者がいなくなってしまうことです。彼らには、地域ごとの風土に合わせた種を生産してきた実績があるので、多国籍の種子企業にとっては引き抜きたい人材なのです。実際、民間レベルで、多国籍企業が食品メーカーや化学メーカーの種子開発部門を丸ごと買収している。日本の研究者が多国籍企業に引き抜かれると、外資による種子支配が強まる恐れがあります」
 政府は「競争力強化」の名の下に、民間や外資を優遇している。日本は自ら自国の農業を壊しているのだ。  =つづく
(取材=本紙・生田修平、高月太樹)

15- 東京新聞 <税を追う> 歯止めなき防衛費 12

 今回は、無人偵察機グローバルホークの価格が、2014年11月時点で3機で510億円だったのが、2017年4月には新たな部品の開発に追加費用が発生したとして629億円と23%も高騰したことに関するものです。
 これは価格が15%上昇したら事業の見直しを検討、25%の場合は事業中止を検討するという防衛省の内規に該当するので、省内では導入中止に傾いたのですが、結局外務省やNSS※から異論が出てそれが覆されました。
        ※ 国家安全保障局 因みに GHは無人偵察機グローバルホーク
 外務省や内閣にとっては、国益よりも性能よりも米国への迎合が何よりも重要ということのようです。
 
 ところでそんなに高価であるにも関わらず、得られた偵察データーは全て米国に送られるため、それを日本が見るためには有償で米国から情報をもらうしかないのだそうです。まことに常識では考えられない「ふんだくりのシステム」です。
 
 そもそも、米国政府が同盟国に自国の兵器を売却する制度「FMS」(Foreign military sales)を日本は「有償援助調達」などと訳してきましたが、原文からも明らかなように、実態は兵器の売りつけ制度そのものであり「援助」に当たるような要素は何もありません。
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<税を追う>歯止めなき防衛費
(2)コストより日米同盟 覆った偵察機導入中止
東京新聞 2018年11月14日
「GHの取得を中止する方向で、政務、関係省庁(NSS、官邸)と調整する」
 防衛省整備計画局が昨年六月に作成した内部文書。GHとは当時、米国から輸入を検討していた無人偵察機グローバルホークを、NSSとは国家安全保障局を指す。文書にはGH導入の経緯と輸入中止を検討する理由が記されている。その上で、防衛大臣ら政務三役とNSS、首相官邸と調整するとなっていた。
 
 米政府の提案を受け、防衛省がGHの導入を決めたのは二〇一四年十一月。価格は三機で五百十億円だったが、米側は昨年四月、価格上昇を防衛省に連絡してきた。レーダー部品が製造中止となり、新たな部品の開発に追加費用が発生したとして、計六百二十九億円と23%も高騰していた。
 防衛省には装備品の価格が上昇した際の管理規則があり、価格が15%上昇したら事業の見直しを検討、25%の場合は事業中止を検討することになっている。
 整備計画局では、GHは今後も部品枯渇による価格上昇リスクがあると判断した上で代替策を検討。「近年の画像収集衛星の進展をふまえると、より安価な手段で相当程度が代替可能」と結論付けた。「日米同盟に与える影響」も検討の結果、「対処が不可能なものではない」と判断。導入中止の方向で、官邸などと調整するとあった。
 
 さらに導入中止に向けた段取りとして「自民党に事業中止の根回しを行った後、対外的に発表する」と記されていた。GHの導入中止へ防衛省の自信がうかがえる内容。ところが、わずか一カ月で覆った。
 昨年七月、整備計画局と防衛装備庁が作成した別の内部文書。「GHの価格の上昇リスクは引き続き存在する」としながらも、「能力はわが国を取り巻く安全保障環境に必要不可欠」として「事業を進めることとしたい」とある。正反対の結論を導いていた。
 
 文書は共産党の小池晃書記局長が入手した。整備計画局の幹部は本紙の取材に「外務省やNSSから『安全保障環境や日米同盟をふまえ、さらに検討を深めてほしい』と打診され、省内でもう一度議論した結果、購入継続を決めた」と回答した。導入中止の方針に外務省やNSSから異論が出て、覆ったことを認めた。
 
 ある欧米系軍事企業の幹部は「GHは米空軍でもコストが問題視されたが、政府はコストより日米安保を踏まえ、米国との関係を重視したのでは」と話す。
 実際、米空軍はGHの経費高騰などで、調達計画数を六十三機から四十五機に縮小している。ドイツでは一二年にGHの初号機一機を米から導入したが、コスト増加などを理由に追加購入を中止した。
 自衛隊の元幹部は「装備品の導入は現場で必要性を詰めることが重要。もともと現場はGHをいらないと言っていたのに、トップダウンで決めてしまうのがNSSの弊害だ」と話す。
 GH三機の年間の維持整備費は計百二十億円余り。かつて一時間飛ばすのに三百万円かかるという米側の試算もあった。日米同盟の名の下、兵器ローンのツケが国民に重くのしかかる。
 
 
<税を追う>取材班から 「売買」を「援助」変な訳
東京新聞 2018年11月14日
 米国政府が同盟国に自国の兵器を売却する制度「FMS」。Foreign military sales の頭文字で、日本では制度が始まった一九五〇年代から「対外有償軍事援助」とか「有償援助調達」と訳されてきた。セールスが援助とは違和感がある。
 
 七七年に国会で当時の社会党議員が「だいたい援助という言葉はどこから訳したのか。有償軍事販売だ」と批判している。政府側は「日米防衛援助協定に基づいて日本に付与される、一応援助の形態を取っている」と答弁。その上で「ご指摘は、気持ちとしてはごもっともだと私どもも思っている」とも。
 二〇一六年にも旧民主党議員が「この訳は誤解を与えるのでは」と質問。当時の中谷元防衛相は「米国政府が認める武器輸出適格国のみが、軍事機密性の高い装備品を調達できるという意味で、一般的な売買とは異なる」と反論した。
 当の米国が援助ではなく売買や取引と言っているのだから、なぜそう訳さないのだろう。近年、FMSによる兵器ローンが急増し、防衛費を圧迫する。それでも「これはアメリカからの援助です」と言い続けるのだろうか。(原昌志)