2018年11月16日金曜日

徴用工の請求権「消滅してない」と外相 共産・穀田議員に答弁

 河野外相は14日の衆院外務委員会で、共産党の穀田恵二議員への答弁で、「個人の請求権は日韓請求権協定で消滅していない」ことを認めました。
 外務省の三上正裕国際法局長も、個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではないとした1991年の)柳井俊二条約局長の答弁を否定するつもりはない」、「権利自体は消滅していない」と答弁しました
 
 これは先に共産党の志位委員長が1日、「徴用工問題の公正な解決を求める」との見解表明の中で、10月30日、韓国最高裁が元徴用工の請求権を認め新日鉄住金に損害賠償を命じる判決を言い渡したことに対して、安倍首相、元徴用工の請求権1965年の日韓請求権・経済協力協定によって完全かつ最終的に解決している」と述べことに対して、
こうした日本政府の対応には重大な問題がある。日韓請求権協定によって、日韓両国間での請求権の問題が解決されたとしても被害にあった個人の請求権を消滅させることはないことは、日本政府が国会答弁などで公式に繰り返し表明してきたことである
と述べたことが正当であることを、外務省当局が認めていることを意味します。
 
 ところで安倍首相は1日の衆院予算員会で、「当時、国家動員令には『募集』と『官斡旋』『徴用』があったが、今回の裁判の原告は全部『募集』に応じたため、『朝鮮半島出身労働者問題』と言いたい」河野外相も同じ)、あたかも自由意思による自由契約であったかのように述べ、またネトウヨも、「徴用工ではなかった」と鬼の首を取ったかのような言い方をしていますが、それは間違っているとLITERAは指摘しています。
 
 LITERAによれば、当時 朝鮮人の国内企業への動員は、各企業から申請された「移住朝鮮人」の数を厚生省が査定し、内地からの指示で朝鮮総督府が自治体に割りふり、その指定を経て、現地の日本人警察官らと一体となって動員したもので、大日本帝国政府の方針に従い、当局が管理して行われた“国策”でした。
「官斡旋」は動員が急を要するようになった42年に「募集」から移行した制度で、44年には「徴用」になりましたが、いずれにせよ、「募集」「官斡旋」「徴用」の形式に限らず、これらはみな政府の正式な方針に基づき、当局管理下で行われた動員であって、それを、さも「自由契約によって日本で働いただけだ」とするような安倍政権の主張はった認識を与えるための「印象操作」す。
 現に、慰謝料の対象になる「奴隷的労働」・「虐待」は、「募集」「官斡旋」「徴用」の形式の別を問わずに、「朝鮮人」であったが故に等しく行われました。
 LITERAの記事は5400字超の長文であるためここでは紹介しませんが、下記にアクセスすればご覧になれます。
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徴用工個人の請求権 外相「消滅してない」 衆院外務委 穀田議員に答弁
しんぶん赤旗 2018年11月15日
 河野太郎外相は14日の衆院外務委員会で、韓国の元徴用工4人による新日鉄住金に対する損害賠償の求めに韓国大法院(最高裁)が賠償を命じた判決(10月30日)をめぐり、1965年の日韓請求権協定によって個人の請求権は「消滅していない」と認めました。日本共産党の穀田恵二議員への答弁。大法院判決について「日韓請求権協定に明らかに反する」としてきた安倍政権の姿勢が根本から揺らぎました。
 
 穀田氏は外務省が日韓請求権協定第2条について「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではない」(柳井俊二条約局長1991年8月27日、参院予算委)と答弁したことを示し、河野氏の認識をただしました。河野氏は「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではございません」と明言しました。
 
 また穀田氏は、大法院判決で原告が求めているのは、未払い賃金の請求ではなく、朝鮮半島への日本の植民地支配と侵略戦争に直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員への慰謝料だとしていると指摘。これに関し柳井条約局長が、92年3月9日の衆院予算委員会で日韓請求権協定により「消滅」した韓国人の「財産、権利及び利益」の中に、「いわゆる慰謝料請求というものが入っていたとは記憶していない」としたことをあげ、「慰謝料請求権は消滅していないということではないか」とただしました。
 外務省の三上正裕国際法局長は「柳井局長の答弁を否定するつもりはない」、「権利自体は消滅していない」と答弁しました。
 穀田氏は、「個人の請求権は消滅していない」と強調。「日韓双方が被害者の尊厳と名誉を回復するという立場で冷静で真剣な話し合いをすることがきわめて大切だ」と求めました。