2012年9月14日金曜日

またしても集団的自衛権の行使論が・・・+


 13日、2人の有力政治家が集団的自衛権の行使について発言しました。

一人は橋下-日本維新の会代表で、「集団的自衛権は国連憲章でも認められている。権利があれば行使できるのは当たり前だ」として、直ちに行使の容認に踏み切るべきだとしました。これは「国には固有の自衛権があるのだから戦力を持ってもいい」と言うに等しい暴論です。「自衛権はあるが軍隊はもたない。戦争は放棄する」というのが憲法9条の精神であるからです。
彼は弁護士の資格を持ちながら、戦争慰安婦問題での発言の誤りについて論理的に糺されても、きちんと答えることもしないまま、上記のような粗雑な理論を周囲に振り撒いています。 

 もう一人は訪米中の前原-民主党政策調査会長で、「米軍と一緒に行動したり、米軍の行動を支援するために、集団的自衛権を行使できる条件について検討を始める必要がある」と述べました。
   「検討を始める」という言い方は一見ソフトに聞こえますが、この問題については最早検討の余地などないことは明らかであって、かつて野田首相同様な言い方をしながら、自民党と協調して電光石火、集団的自衛権の行使の容認に踏み切ろうとしたことがありました。
要するに憲法9条の精神を破ろうとする危険性に於いては、橋下氏と変わるところはありません。警戒しないといけないのは、これらが憲法改正を正面切って唱えることはしない中で、実質的に憲法9条を変質させることを狙っているという点です。 

 以下に二つ記事を紹介します。
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橋下氏、集団的自衛権行使を容認 「権利あれば当たり前」
東京新聞 2012913 

 新党「日本維新の会」代表の橋下徹大阪市長は13日の記者会見で、日本の集団的自衛権について「基本的に行使を認めるべきだ。権利があれば行使できるのは当たり前だ」と述べ、行使を容認すべきだとの自身の立場を初めて明言した。

 橋下氏は12日、新党結成を正式宣言し、次期衆院選で過半数の議席獲得を目標に、候補者を大量擁立する方針を示した。党首として、外交・安全保障分野でも積極的に発言していく姿勢を打ち出したとみられる。
 橋下氏は、行使を禁止している政府の憲法解釈を「国連憲章でも認められている。権利があるのに行使できないなんて、完全な役人答弁だ」と批判した。 (共同) 

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前原氏“集団的自衛権行使の検討を”
NHK NEWS web 2012913 

民主党の前原政策調査会長は、訪問先のワシントンで講演し、「日本周辺の紛争でアメリカが行動し、日本の安全保障に資する場合には、共に活動したり支援したりすることができるようにすべきだ」と述べ、集団的自衛権を行使できる条件について検討を始める必要があるという考えを示しました。

この中で前原氏は、政府が集団的自衛権の行使は憲法解釈上認められないとしていることに関連し、「わが国を含む地域の安全保障のために必要な法整備を進めていかなければならず、その最たる例が集団的自衛権の在り方の再検討だ」と述べました。
そのうえで、前原氏は「アメリカが行うすべての戦争に自動的に協力すべきだとは言わないが、朝鮮半島など日本周辺の紛争でアメリカが行動し、日本の安全保障に資する場合には、共に活動したり支援したりすることができるようにすべきだ」と述べ、集団的自衛権が行使できる条件について、検討を始める必要があるという考えを示しました。

さらに、前原氏は海洋進出を進める中国の動向について、「中国は海洋秩序の枠組みとは矛盾した論理や主張に基づいて行動しており、地域の懸念の1つとなっている」と指摘しました。
一方、これに先立って行われた記者会見で、前原氏は、大阪維新の会が次の衆議院選挙に向けて新党「日本維新の会」の結成を宣言したことについて「次の衆議院選挙では台風の目になると思うが、今の状況を見ると、選挙互助会のような感覚で国民は見ているのではないか」と述べました。

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(橋下発言を追加 9/17)
集団的自衛権 橋下氏、行使を容認
東京新聞 2012914 

新党「日本維新の会」代表の橋下徹大阪市長は十三日の記者会見で、日本の集団的自衛権について「基本的に行使を認めるべきだ。権利があれば行使できるのは当たり前だ」と述べ、行使を容認すべきだとの自身の立場を初めて明言した。 

橋下氏は十二日、新党結成を正式宣言し、次期衆院選で過半数の議席獲得を目標に、候補者を大量擁立する方針を示した。党首として、外交・安全保障分野でも積極的に発言していく姿勢を打ち出したとみられる。
橋下氏は、行使を禁止している政府の憲法解釈を「国連憲章でも認められている。権利があるのに行使できないなんて、完全な役人答弁だ。論理的にも言語的にも理解できない」と批判した。「それに対し政治が何の手だても講じることができなかった。政治の恥だ」と強調して、歴代政権にも責任があるとの認識を示した。
 
同時に「無条件に何でも認めていくのは駄目だ。行使の在り方について、憲法九条の観点からしっかりとルール化したらいい」と述べ、解釈の見直しとともに、行使の具体的な条件や手続きを定める必要性も強調した。
行使容認に伴い近隣諸国と関係が悪化する可能性にも言及した上で「国際社会で名誉ある地位を占めるため、われわれはアジアでも群を抜いた成熟した民主国家だから、それにふさわしいルールを考えていくべきだ」と述べた。
日本維新の会は政策をまとめた「維新八策」の外交・防衛分野で、「日本の主権と領土を自力で守る防衛力と政策の整備」を掲げている。 

<集団的自衛権> 同盟国などへ武力攻撃があった場合、自国が直接攻撃を受けていなくても、その攻撃を実力で阻止する権利。国連憲章51条は、自国への侵害を排除する個別的自衛権とともに集団的自衛権を主権国の「固有の権利」と規定。
 日本政府は国際法上、集団的自衛権を有することは当然としながらも、憲法9条が戦争放棄、戦力不保持を明記しているため、集団的自衛権行使は「わが国を防衛するための必要最小限度の範囲を超える」と解釈、行使は許されないとの立場にある。