2012年9月9日日曜日

福島第1原発事故の処理に 海外からも批判が・・・


 福島第1原発で4月以降、再臨界を判断する指標の一つである放射性クリプトンが時々上昇していることが、東京新聞で伝えられました。
この6月にも群馬県に設置されたエアフィルターから、半減期が70日のコバルト58が検出されましたが、これは少なくともその数カ月前に、福島第1原発が臨界で危険な状態になっていたことを示すものです。 

それとは別に、福島第1原発4号機の原子炉建屋は、壁や天井が水素爆発で吹き飛ばされて建物自体も少し傾いているそうですが、その最上階には「使用済み核燃料保管プール」があって、次に大きな地震があれば倒壊するか、倒壊しないまでもプールが損壊して水が抜ける惧れがあると言われています。
同プールには現在1500本余りの核燃料が保管されているので、もしもそんなことになれば、3.11以上に膨大な量の放射性物質が、空中に放出されることになります。
この問題について村田公平元スイス大使が5日、「世界が危機感を抱き、責任を持って対処しない日本に対して『不道徳の烙印』を押している」とする書簡を野田首相宛に送ったということです。 

野田首相は、実態を知る誰もが違和感を持った「福島原発事故の収束宣言」や、論理性の全く欠如した「大飯原発再稼働必要の宣言」を行って、国民に深い不信の念を植え付けましたが、遂に国際的な不信感までが表面化するに至りました。愧ずべきことです。 

以下に、二つの記事を紹介します。
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福島1号機、水素濃度が時折上昇 核分裂時発生の希ガスも
東京新聞 201298  

 東京電力福島第1原発1号機の原子炉格納容器内で今年4月以降、窒素封入量やガス管理設備の排気流量を変更していないのに、核分裂反応で発生する希ガス「放射性クリプトン」と水素の濃度が時折、上昇する状態が続いている。東電は再臨界や爆発の恐れはないとしているが、原因を突き止めるための作業を始めた。

 昨年3月に起きた原子炉建屋の水素爆発は、燃料集合体を覆う被覆管が水と反応して発生した水素が原因になった。クリプトンは再臨界を判断する指標の一つだ。格納容器内のこれまでの水素濃度は最高で05%程度で、可燃限界の4%には達していない。  (共同)

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スイス元大使が野田首相に書簡
:  福島4号機放置で世界が「日本は不道徳」
税金&保険ニュース (http://www.tax-hoken.com/ 201298 

日本政府の無責任を世界が糾弾
村田公平元スイス大使は5日、野田首相宛に送った書簡の内容を公開した。それによると日本のマスコミが危機的状況を報じない福島第1原発4号機について、世界は危機感を抱き、責任を持って対処しない日本に対して「不道徳の烙印」を押しているという。 

不安視される福島第1原発4号機
福島第1原発4号機にある燃料プールには、大量の未使用・使用済み燃料が格納されている。一連の事故により、4号機もメルトダウンをおこし、建屋や格納容器が大きく破損。現在の強度について、世界中から不安の視線が注がれている。
施設を分析した独立行政法人科学技術振興機構(JST)元理事長、北澤宏一氏は、もし火災事故などが発生すれば、北半球全体が深刻な被害を受け、現代日本は滅亡する、と予想する。
こういった状況を受け、米上院エネルギー委員会の有力メンバーであるロン・ワイデン議員がヒラリー・クリントン国務長官に深刻な事態について報告。
824日から広島で開催された核戦争防止国際医師会議(IPPNW)では、世界の脅威となっている問題を東京電力という一企業にゆだねている日本について、「加害者としての罪悪感に欠ける」とする厳しい視線が向けられたという。 

津波は来ない 燃料棒は燃えない
831日に衆議院第一議員会館で講演をおこなった原子力施設の専門家、アーニー・ガンダーセン氏も現在の状況に強い懸念を示す。
4号機に格納されている燃料棒はジルコニウム合金で覆われている。米国でこの燃料集合体が燃えるかどうか、実験したところ、空気に触れると発熱し燃焼したという。
東京電力に対して同氏が「火災がおきた場合、火を消すための準備をしているか」問い合わせたところ、東電からは「使用済み燃料プールに燃えるものはない」との返答があったそうだ。「津波は来ない」としていた東電は、今度は「燃料棒は燃えない」と決めつけているようだ。

もし燃料棒が燃えだした場合、事前の消火準備がなければ、再度の惨事が予想される。水をかけて消すことができないためだ。
高温の燃料棒に触れた水は、酸素と水素に分離する。酸素はジルコニウム合金の被覆を溶かし、水素は爆発するため、放射性物質が一気に拡散することになる。 

日本は不道徳な国家
こういった危機的な状況にもかかわらず、4号機の管理は東京電力に任されたままだ。現場作業の予算を同社が削るため、燃料棒取り出し作業は進まず、日本だけでなく世界を長く危機にさらし続けている。
さらに原発推進体制をあらためず、原発輸出や再稼働に踏み切った日本は世界から「不道徳の烙印を押されたも同然」と語る。