2012年9月27日木曜日

原子力規制委 調査団の編成方針は正当なのですが・・・ +


原子力規制委員会は大飯原発の活断層の調査を、日本活断層学会などから推薦を受けた専門家らによる「現地調査団」を結成して、十月下旬に行うことを決めました。
これまではそうした「専門家」は、電力会社の親戚筋に当たる電力中央研究所や経産省と関係が深い産業技術総合研究所から選出されるのが慣例であったということなので、それでは活断層についての不可解な「判定」や、地層データーの「紛失」(?)が起きても仕方がなく、新組織で過去のそうした不正が改められるのは当然のことです。

しかしその一方で同委員会が毎週開く記者会見について、その実務を担当する原子力規制庁の広報担当者が、「しんぶん赤旗」の記者や一部のフリーランスの記者に対して、「特定の主義主張を持って書かれている方はご遠慮いただく」として、記者会見への参加を拒否しました。
これは明らかに「公開性」を規定した原子力基本法の精神に反するものであり、自分たちの困ることを指摘されたり、質問されたりすることを防ごうとする不明朗性を、自ら表明したことに他なりません。 

 東京新聞としんぶん赤旗の記事を紹介します。9/28 記事を追加)
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学会推薦の調査団結成 大飯原発断層で規制委
東京新聞 2012926 

 関西電力大飯原発(福井県)の敷地内に活断層が存在する可能性が指摘された問題で、原子力規制委員会(田中俊一委員長)は二十六日、関係学会から推薦を受けた専門家らによる「現地調査団」を結成し、十月下旬に現地調査することを決めた。調査団には過去に原発の安全審査に携わった専門家は入れない方針で、規制委からは島崎邦彦委員長代理(東京大名誉教授、地震学)が加わる。

 従来の規制組織は、外部に調査を依頼する際、限られたごく一部の専門家を登用することが多かったが、規制委は学会から推薦された専門家で調査団を組織し、透明性を高める。
 規制委は日本活断層学会、日本地質学会、日本第四紀学会、日本地震学会などに推薦を求める。

 大飯原発3、4号機は七月に再稼働した。1、2号機と3、4号機の間をほぼ南北方向に走る「F-6断層(破砕帯)」に対し、専門家から活断層の疑いがあると指摘されていた。規制委は現地調査の結果を踏まえ、年内に活断層かどうかの結論をまとめる方針。
 安全審査などへの外部の専門家の登用をめぐっては、島崎委員長代理が十九日の就任記者会見で「一般の方には(安全審査に)非常な不信感がある」と指摘。過去の審査では地質や地盤、活断層関係の専門家は、電力会社や経済産業省と関係が深い電力中央研究所や産業技術総合研究所から選出されるのが慣例化しており、専門家の入れ替えや選出過程の透明化を訴えていた。
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「特定の主義主張 ご遠慮いただく」 原子力規制委が取材規制
しんぶん赤旗 2012926 

 原子力規制委員会が毎週1回開く委員会終了後の記者会見について、同委員会の実務を担当する原子力規制庁の広報担当者は「特定の主義主張を持つ機関の機関紙はご遠慮いただく」などとして、「しんぶん赤旗」を排除する方針を25日、明らかにしました。さらにフリーランスの記者についても「どういった雑誌に、どういった記事を書いているかを見て、特定の主義主張を持って書かれている方はご遠慮いただいています」と、憲法が禁止する検閲まがいの対応をしていることも明言しました。

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は19日の第1回委員会で、「地に落ちた原子力安全行政に対する信頼を回復する」ため「透明性を確保する」と述べ、「報道機関への発表を積極的に行うことで、委員会としてのメッセージを分かりやすく伝える」とする方針も決めていました。委員会で決めた「報道の体制について」では「報道機関を既存官庁よりも広く捉え、報道を事業として行う団体や個人を対象にする」とまで明記していました。
 これまで、内閣府原子力安全委員会後の委員長らの記者会見で、こうした対応はされていませんでした。
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(9/28以下の記事を追加)
 “初仕事は報道規制” おかしいぞ!! 原子力規制委 「赤旗」排除に批判広がる
しんぶん赤旗2012928 

 「信頼回復」「透明性」を掲げながら「特定の主義主張」を理由に「しんぶん赤旗」を排除する―。原子力規制委員会の不当な取材規制に怒りの声が広がっています。本紙26日付の第一報「原子力規制委員会が取材規制」には、インターネットアクセスが2万1000件、「原子力規制委員会の最初の仕事は報道“規制”だった」などといったツイッターのリツイートは2200件(27日午前)に達しました。怒りの矛先は「規制の相手が違うだろう」などと、規制委員会の姿勢そのものに向けられています。 

 同委員会の田中俊一委員長が「政治からの独立性」を理由に排除を正当化しようとしたことに、大阪大学コミュニケーションデザイン・センターの平川秀幸准教授はツイッターで反論。「政治的独立性というのは、何よりも、その審議過程に政治が不当に介入し、審議内容が歪曲(わいきょく)される可能性を排することを意味するはず。記者会見での質疑が審議過程に介入し影響力を行使する行為に当たるとは考えられない」と指摘しています。「しんぶん赤旗」は「機関紙ではあろうが、新聞の機能も果たしていて、共産党員や支持者じゃなくても有益な情報を報道しているではないか。それを『政党機関紙』と矮小化するのは、まず排除ありきで、取ってつけた屁理屈ではないか」といいます。 

 「驚きをもって受けとめています」とするのは、立命館大学国際関係学部の大島堅一教授。「都合の悪いことは隠ぺいしてきた(経済産業省原子力安全)保安院の体質をまた継承するようだ」「国民の不信もまた引き継がれてしまうだろう」

 音楽評論家の湯川れい子さんは「原子力規制委員会が、赤旗…をしめ出したって…。自ら公平公正な判断は出来ません、致しませんとアナウンスしているようなもの」。
 フリーランス編集者の渡部真さんは本紙に「政党の機関紙だからと排除されるのはおかしい。合理性がない。ヨーロッパの多くの国では、政党機関紙が排除されることはない。民主主義国家なら当然だ。原子力規制委員会の対応は、情報公開に逆行しトンチンカンだ」とコメントしまし