2012年9月7日金曜日

生活保護は「権利」です


 憲法25条によって保障されている「健康にして文化的な最低限度の生活を営む権利=生存権」を行政面で具体化したものが「生活保護制度」ですが、それは正しく行き渡っているでしょうか。
日本の生活保護受給者の人口比率は1.6%で、諸外国よりも格段に低いのですが、それは受給資格者の1520%にしか生活保護費を支給していないからだということです。

 かつて小泉政権の時代には、新自由主義・市場原理主義のもと、「努力をしないから経済的弱者になるのであって自己責任だ」、という主張を議員や著名人が公然と口にしました。また九州の役所に出向した厚生省の役人が、生活保護申請者を窓口で門前払いすることを徹底指導して支給率を大幅に下げて、それを典型例とする指導も行われました。まことに憲法をないがしろにした話です。
  生活保護の申請者を窓口で追い返す風潮は、許しがたいことですが、いまも各所で健在だということです。 

 以下に中日新聞の記事を紹介します。
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生活保護「恥でなく権利」 識者招きセミナー 正しい理解呼び掛け
 中日新聞 201297 

 生活保護の現状を正確に理解してもらおうと、識者や受給者、現場の福祉職員らを招いたセミナーが六日、金沢市の県立音楽堂であった。福祉事務所のケースワーカーらでつくる全国公的扶助研究会が催し、発表者は「生活保護受給は恥ではなく権利」「不正受給よりも受給率の低さの方が問題だ」などと呼び掛けた。(日下部弘太)

 元日本テレビディレクターで法政大社会学部教授の水島宏明さん、生活保護問題対策全国会議代表の尾藤広喜弁護士が対談。お笑い芸人の母親が生活保護を受けていたことから盛んになされた「不正受給」の報道について、水島さんは「うわさレベルの話で『不正受給が増えている』ことにしてしまう。不正受給者は出てこず、受給者のだらしなさを印象付ける内容になっている」と批判した。 

 尾藤さんは、日本は受給者が人口の1.6%にすぎず、他国より格段に少ないこと、受給資格のある人のうち実際に受けているのは1520%にとどまることを指摘。受給者バッシングには「貧困問題の本当の追究を避ける狙いがあるのでは」との見方を示した。

 水島さんは一九八七(昭和六十二)年に札幌市で母子家庭の母親が生活保護を申請できずに餓死した事件のルポ番組「母さんが死んだ」で知られる。今でも窓口で追い返す福祉事務所があり、世間の受給者を見下す意識も根強いと嘆き、「二十五年たっても何も変わっていない。生活保護が権利だということをどう定着させるかが非常に大事だ」と訴えた。

 セミナーは北陸では初めての開催。受給者やワーカー、支援団体のスタッフらも登壇して報告した。七、八日も金沢大角間キャンパスで貧困問題や東日本大震災の被災者支援、障害者支援などをテーマに講座がある。一般参加も可能。