2012年12月19日水曜日

新たな放射性物質ないから精神的賠償打切ると東電社長


 18日付の福島民報に東電社長のインタビュー記事が載り、福島第一原発事故に伴う避難区域外の精神的損害などの追加賠償を、今年8月分までで打ち切るとした理由について、「福島第一原発から新たに放射性物質が放出されているのではなく、一度拡散したものが風で動いている状態だ。徐々に減衰しており、どこかで賠償の終期を示さないわけにはいかない」からだと答えたということです。
要するに「一旦着地した放射性物質については東電には責任がない」という「無主物論」を地で行くものです。
ではもう新たな放射性物質の放出はないのでしょうか。629日現在で福島原発1号機の地下室は、毎時1万300ミリ・シーベルトという 人間がそこに40分間居れば死に至る放射線レベルであるし、原発全体では毎日数億ベクレルの放射能を外界に放出しています。社長の言い訳は、賠償を今年8月で打ち切るということの何らの説明にもなっていません。 

 また、福島に復興本社を置くことについては、「福島に常駐し、専門的な見地から効果的な除染方法を市町村にアドバイスし、自治体を訪問しながら復興に関するさまざまな支援を続けていく」と述べました。
これは他人の庭に汚染物を撒いた当人がその始末をする代わりに、「汚染物を除去する方法を教えてあげよう」ということで、これもまた無主物論であり無責任論そのものです。

福島県浪江町の馬場有町長が、早くに東電のことを「最低の企業倫理すらもない」と批判されたことが思い出されます。 

 以下に福島民報の記事を紹介します。
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避難区域外精神的賠償打切り方針 新たな放射性物質 拡散ない
広瀬本社社長が説明 本社インタビュー
福島民報 20121218 

 東京電力広瀬直己社長は、福島民報社のインタビューで、福島第一原発事故に伴う避難区域外の精神的損害などの追加賠償を今年八月分までで打ち切るとした理由について、「原発からの新たな放射性物質の拡散が認められない。終期がないというわけにはいかず、贈償を終える必要がある」と説明した。 

― 福島民報社が衆院選県内選挙区の立候補者に行ったアンケートでは、福島第一、福島第二両原発の金基廃炉を求める請願を求める意見が八割に上った。こうした声をどう受け止めるか。 

「県議会が廃炉を求める請願を採択し、同様の動きが市町村に広がっていることも承知している。しかし国と二人三脚で原子力発電を進めてきた経緯があり、これからのエネルギー政策を踏まえる必要がある。今日現在、未定だ」 

― 避難区域外の追加賠償を打ち切ると発表した。「放射線に対する不安が消えておらず納得できない」とする不満も多い。

「福島第一原発から新たに放射性物質が放出されているのではなく、一度拡散したものが風で動いている状態だ。徐々に減衰しており、どこかで賠償の終期を示さないわけにはいかない。避難区域の財物賠償は、一日も早い受付開始を目指し準備している。年内のスタートを諦めていない」 

― 避難者の死亡と原発事故の因果関係を争い東電を提訴する動きが出始めている。こうしたケースについて、これまで明確な考え方を示していない。

「原発関連死というとあまりに概念が広く、定義を詰めていきたい。一つ一つのケースをしっかり調べる必要がある。法廷で因果関係が認められればつの大きな判断事項となり、当然(対応を)考える」 

― 地震のたびに県民は福島第一原発の状況を気に掛けている。収束作業を加速させる考えは。

「福島第一原発4号機の使用済み燃料プールからの燃料取り出しを急ぎたい。先月、公表したアクションプランで取り出し開始を当初計画より一カ月前倒しし、来年11月としたが、さらに時期を早めて県民に安心感を持ってもらえるよう努力する」 

― 福島復興本社の業務開始が年明けに迫っている。

「東電に『福島の声が届いていない』 『福島の実態が分かっていない』という声が届いていた。(役員・社員が)福島に常駐し、生活する中で物事を決定していきたい。専門的な見地から効果的な除染方法を市町村にアドバイスし、自治体を訪問しながら復興に関するさまざまな支援を続けていく」