志賀原発の直下を走る「S―1 断層」が、既に25年前に活断層の可能性を指摘されていたことが分かりました。志賀原発は、大飯原発や敦賀原発と並んで、敷地内活断層の追加調査の優先順位が第1グループに入っています。
先の大飯原発直下の破砕帯の調査では、4人の専門家の内2人が「活断層を否定できない」とし、他の2人は「地滑り」だなどとして見解が分かれたために、さらに「関電側」で追加の調査が行われました。
当初は「濃いグレーなら活断層とみなす」と述べていた田中原子力規制委員長も、その後「稼働中の原発を簡単に止めるわけにはいかない」と後退的な発言に変わりました。
この10日に規制委員会で大飯原発と敦賀原発の地質調査の結論をまとめるということなので、どういう結論になるのか大いに注目されます。
そんな中で、原発の新たな安全基準は来年7月までに決まることになっていますが、原子力規制庁はその結論を待たず、来春に骨子がまとまった段階で既存原発が新基準に適合するかどうか、事前調査に入る方向で検討していることが6日分かりました。
早くも再稼働に向けて浮足立っているのであれば決して容認できません。
以下に東京新聞の二つの記事を紹介します。
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志賀原発は「活断層の可能性」 25年前に専門家指摘
東京新聞 2012年12月7日
北陸電力志賀原発1号機(石川県)の直下を走る「S―1断層」に活断層の疑いがある問題で、旧通産省が1987年に現地調査した際、専門家顧問が「(岩盤の上の地層が)堆積後に段差が生じた」と指摘し、活断層である可能性を示していたことが、原子力規制委員会が公開した資料で7日、分かった。
指摘は安全審査結果に反映されず、S―1断層の問題は、旧原子力安全・保安院の専門家会議が今年7月に「活断層の可能性が高い」と認めるまで約25年間放置された。規制当局の安全審査の不備が問われそうだ。
活断層と判断されると、廃炉を強いられる可能性がある。 (共同)
規制庁、再稼働手続き前倒しへ 来夏の運転に現実味
東京新聞 2012年12月7日
原子力規制委員会の事務局を務める原子力規制庁が、東京電力福島第1原発事故を受けた原発の新たな安全基準が来年7月までに決まるのを待たず、来春に骨子がまとまった段階で既存原発が新基準に適合するかどうか事前調査に入る方向で検討していることが6日、分かった。再稼働に向けた事実上の手続き前倒しで、一部の原発で来夏の再稼働が現実味を帯びてくる。
規制庁幹部も「法的根拠も含めて可能かどうか検討している」と認めており、調査の進め方など詳細を今後詰める。規制庁は新基準決定後の正式な審査手続きの効率化を目的として挙げている。 (共同)