7日の朝日新聞に、「除染・健康で福島と共働 IAEA・天野事務局長」と題するコラム(囲い)記事が載りました。それによると「世界第3位の原発を持つ日本は、内向きにならずに・・・」と、「30年代に原発ゼロ」を目指す新政策に不満をにじませたということです。IAEAがアメリカの原発政策に沿った活動を進めていることが良く分かります。
前任者のエルバラダイ氏は、ブッシュ政権からイラクの核疑惑を肯定するようにとの度重なる圧力があったのにも屈せずに、「対イラク核査察の結果その事実は確認できない」として退け、その正しさは後に証明されて男を上げました。
それに対して外交官出身の天野氏は、2009年の就任直前、「重要な決定で常に米国側に立つ。幹部の人事案件からイランの核兵器開発疑惑への対応まで、すべての重要な戦略的決定で断固として米側に立つ」と、米国の駐ウィーン・国連代表部
大使に述べていました。事実、イランの核兵器開発疑惑については、昨年11月にその可能性を指摘する詳細な報告書を出しているということです。
米・英国の次の標的がイランであることは、米国メディアの一部も報じているところです。
以下にそのコラム記事を紹介します。
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「除染・健康で福島と共働」 IAEA・天野事務局長
朝日新聞 2012年12月7日
国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は、今月15~17日に福島県郡山市で開く原子力安全閣僚会議を前に、ウィーンで朝日新聞などのインタビューに応じた。会議期間中、投開票日を迎える衆院選でも争点になっている原発政策について、「世界3位の原発を持つ日本が向かう方向を、世界中が注目している。内向きにならずに議論して欲しい」と話した。
天野氏は「2030年代に原発ゼロ」を目指すとした野田政権のエネルギー政策についても「地球温暖化、石油ガス市場、核不拡散、核の安全すべてに影響する。世界の意見を聞きながら、時間をかけて政策を打ち立てる必要があると思う」と指摘。「原発を使うかどうかは加盟国の判断」としながらも、急速にかじを切った新政策に不満をにじませた。
福島県での会議は日本とIAEAが共催し、各国の原子力安全への取り組みについて話し合う。天野氏によると、会議後にIAEAは福島県と除染と健康に関する共同プロジェクトを立ち上げ、「世界が(東京電力福島第一原発)事故の教訓を共有するための橋渡し役を担う」という。
来年から専門家を長期間福島県に派遣し、世界の技術を共有するセミナーも開く。「我々はまだ事故からすべての教訓を学んだわけでない」とし、取り組みは長期間に及ぶとの考えを示した。
(ウィーン=喜田尚)