22 日、憲法会議が総選挙結果をふまえて「あらゆる改憲策動の阻止のため、憲法を学び、守り、生かす国民的世論と運動を広げよう」と題する「声明」を発表し、運動の拡大を呼びかけました。
声明は、自民党の圧倒的な勝利は民意を反映したものではないと述べ選挙制度の抜本的改革を訴えるとともに、その自民党(およびその他の同調勢力)は憲法の改正を本気で志向しつつも、改憲前にも集団的自衛権行使を可能とし9 条を事実上破壊する「国家安全保障基本法」の制定や「日米防衛協力の指針」の改定を目論んでいると警告しています。
以下に声明を掲載します。(下線は事務局で付けました)
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【声明】 あらゆる改憲策動の阻止のため、憲法を学び、守り、生かす国民的世論と運動を広げよう
─総選挙結果をふまえて─
2012 年12 月22 日
憲法改悪阻止各界連絡会議(憲法会議)
1. 12 月16 日の衆議院総選挙の結果、自公政権が復活する見込みです。
自民党の多数の議席獲得は、消費税増税や原発問題などでの民主党の裏切りへの国民の怒りによるものであり、自民党への期待とはいえません。自民党などの公約は、アメリカいいなり・財界中心の立場をよりあらわにしたもので、これを実行するなら国民との矛盾を更に深刻にします。
同時に自民党の議席は、民意を歪める現行選挙制度による「虚構の多数」ともいうべきものです。自民党は小選挙区では43%の得票(しかも前回比165 万票の減)で237 議席(占有率79%)を得ました。衆議院全体の6 割超となった自民党の議席は、対有権者では小選挙区24%、比例代表では15%に過ぎません。
小選挙区制を廃止し、民意を反映し、民主主義の根幹であり、1 票の平等を保障する選挙制度への抜本的改革を改めて求め、新政権がねらう比例定数削減など決して許してはなりません。
2. 憲法を正面から否定・破壊する策動の規模と内容は、かつてない深刻な状況です。自民党は選挙公約に、国防軍の創設、基本的人権の制限など憲法の原則を根本的に転換する「日本国憲法改正草案」を中心にすえ、改憲前にも集団的自衛権行使を可能とし、9 条を事実上破壊する「国家安全保障基本法案制定」などを掲げました。安倍晋三自民党総裁は選挙後、いくつかの党の賛同を見込み、「改憲の慣れ」をもくろんで、当面改憲手続き・発議要件を定めた96 条の改定に着手することを表明しています。並行して、「日米防衛協力の指針」を改定し、集団的自衛権行使を可能にすることを急いでいます。来夏、参院での改憲勢力の多数化を図り、「9 条改正」をねらっていることは明らかです。改憲論議を否定しない公明党、自主憲法制定や核武装を是とする維新の会や集団的自衛権行使を主張するみんなの党など、これに同調する改憲勢力の存在も無視できません。
自民、維新、みんなの3
党の衆議院での議席は76.9%にも及びます。また新議員の憲法への態度は、「憲法改正賛成89%(反対6%)、集団的自衛権行使賛成79%(反対15%)」(12/18「朝日」)という現状です。
3. 改憲・9 条破壊の公約は、国民の信任を得たものではありません。自民党など改憲勢力は、国民の反撃を恐れて、選挙中の論戦でこぞって発言を回避しました。
自民党と「改憲連合」が、改憲・9 条破壊をもし強行しようとすれば、国内だけでなく、アジアと世界の世論とも真っ向から衝突します。国民の多数は、平和を願い、戦後続いた自民党型政治が憲法を敵視してきたことを見抜き、改憲反対・憲法を生かすことを切実に望んでいます。アジアと世界のマスコミは選挙後、「9 条改憲」への懸念と警戒を繰り返し報道しています。
改憲反対の国民世論が多数である限り、改憲を許すことはありません。
4. 憲法会議は、1965
年結成の原点とそれ以来のたたかい、2004 年に発足した九条の会の活動が世論を喚起し、改憲勢力を追い詰めた経験を想起し、広範な政党や団体、個人などとともに壮大な世論と運動、国民的共同を構築し、たたかうことを呼びかけます。
憲法会議は、憲法を学びあい、集団的自衛権行使=9 条への攻撃・破壊などの解釈改憲、明文改憲のあらゆる策動を許さず、9 条、25 条をはじめとする憲法の条文と精神を完全に生かし、実現するため、先頭に立ち、全力でたたかう決意を表明します。
以 上