在日米軍司令官が6日、沖縄に配備されたオスプレイが本格運用段階に入ったこと、近い将来日本本土上空での低空飛行訓練を実施することを明らかにしました。
オスプレイは防空レーダー網をかいくぐって敵地深く侵入する飛行機であるために、超低空飛行は必須の訓練項目となります。
沖縄でオスプレイが、事前に結ばれた安全確保策(日米合同委合意)や、以前から結ばれている普天間と嘉手納両基地の騒音防止協定に背いて行った飛行は、あまりにも多くて枚挙にいとまがないほどです。
合同委合意の「人口密集地上空を避けて飛行する」や、「基地内のみヘリモードで飛行する」の規定は、まさにあってなきがごときで、「できる限り」の文言を入れたのは当初から守る意思がなかったからではないかと疑われるほどです。
騒音防止協定:「午後10時~午前6時の深夜・未明は飛行しない」についても同様です。
騒音防止協定:「午後10時~午前6時の深夜・未明は飛行しない」についても同様です。
因みに最近の地元紙から騒音や夜間飛行・休日飛行の見出しを拾うと、下記のとおりです。
オスプレイ 連夜90デシベル超
沖縄タイムス 12/6
オスプレイ : 上大謝名で101・3デシベル 沖縄タイムス
11/28
オスプレイ 日曜に初飛行 沖縄タイムス 11/26
オスプレイ : 夜10時超え着陸11回 沖縄タイムス 11/24
オスプレイ100デシベル超 県内飛来後最大 沖縄タイムス 11/21
以下に6日の司令官談話の記事と琉球新報の「オスプレイ2ヶ月 違反繰り返し法治国家か」の社説を紹介します。
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オスプレイ本格運用入り 在日米軍司令官が表明
東京新聞 2012年12月6日
在日米軍のアンジェレラ司令官(空軍中将)は6日、東京都内で記者会見し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備された12機の新型輸送機MV22オスプレイが本格運用段階に入ったことを明らかにした。
日本本土上空での低空飛行訓練はまだ行われていないが、在日米軍幹部は共同通信に「近い将来、実施される」と述べた。安全性への懸念がくすぶる中、運用が拡大していくことになる。
司令官によると、12機のうち3機は米領グアムで11月末に始まった軍事演習に参加する。普天間配備後、日本国外では初の訓練参加で、中国軍が台頭する西太平洋での広域展開を見据えた取り組みとなる。 (共同)
オスプレイ2ヵ月 違反繰り返し法治国家か
琉球新報 2012年12月3日
米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが沖縄に配備されて2カ月が過ぎたが、あまりにも多くの違反が繰り返された。日米両政府がどう言い繕おうと、データから違反ぶりは明らかだ。
飛行実態は、配備直前に日米間で急きょ取り交わした安全確保策(日米合同委合意)に反しているだけではない。普天間と嘉手納両基地の騒音防止協定にも背いているのだ。
合意違反、協定違反を繰り返して法治国家とは言えない。両政府は直ちに配備を撤回すべきだ。
既にオスプレイは本島中をくまなく飛び回っている。宜野湾市上大謝名では80デシベル以上の騒音を10、11両月で592回も記録した。80デシベルは「騒々しい工場内」に匹敵する。それを1日に10回も味わわされる住民の苦痛を、政府は想像してもらいたい。しかもその苦痛はいつ果てるともしれないのだ。
あろうことか11月19日には100.6.デシベル、26日には101,3デシベルも記録した。これは「電車通過時のガード下」に匹敵する。オスプレイ配備前の主力ヘリは70デシベル台だから、騒音被害激化は明らかだ。
合同委合意は「人口密集地上空を避けて飛行」「基地内のみヘリモードで飛行」と規定するが、県に寄せられた目撃情報465件のうち市街地上空は6割に上り、しかも多くがヘリモードの目撃だ。これで「米国は合意を順守している」(野田佳彦首相)「明示的な合意違反はない」(森本敏防衛相)などとよく言えたものだ。
合意に「できる限り」などと抜け道が用意されているから、「違反ではない」という理屈だろう。一般にはこれを「詭弁(きべん)」と言う。
騒音防止協定は午後10時~午前6時の深夜・未明は飛行しないと規定するが、この時間帯の飛行も2カ月で計11回に上る。これも「運用上必要なものに制限」と抜け道を用意しているからだろう。
沖縄の空の無法状態は歴然としている。主権国家であるなら日本政府は毅然(きぜん)と対応すべきだ。
忘れてならないのは、そもそもこの配備が私たち県民の明示的な総ぐるみの反対を押し切ってなされたことだ。騒音が多少減れば済む話でもなく、合意を守れば済む話でもない。
本来、この空に何を飛ばすかは県民が決めることだ。県民は「空の主権」を放棄してはいない。それを否定するなら、両政府は民主主義の標榜をやめてもらいたい。