2012年12月2日日曜日

日本は北朝鮮の“人工衛星”を撃ち落とすと


 北朝鮮が1日、「今月10日から22日までの間に人工衛星を打ち上げる」と発表したのに対して、野田首相は「森本敏防衛相に破壊措置準備命令を出させた」と述べました。 

一体「日本は人工衛星を自由に打ち上げるけれども、北朝鮮が打ち上げることは許さない。撃ち落とす」、という主張は成り立つのでしょうか。アメリカなどが、「自分たちは核兵器を持つが他の国が持つことは許さない」という主張と同じです。
「事実上の長距離弾道ミサイルの発射であり、国連決議に違反するから」、というのが理由のようですが、では国連から明確な意思表示があったのでしょうか。
 仮にあったとしても、撃ち落とすというのは穏やかではありません。オスプレイが事前協議に違反した飛行をくり返していることに対しては何も言えないのに、相手が北朝鮮となると居丈高になる国柄は情けないことです。これは北朝鮮が、他国民拉致の国家犯罪を行った国であり、今も人民を抑圧しているということとはまた別の問題です。 

もっとも長距離弾道弾クラスの飛行体(飛行速度は音速の15倍=秒速約5km レベル)を、日本がアメリカから買い付けた迎撃ミサイルで撃ち落とすことは、機関銃の弾丸に横からピストルの弾を打って当てるのと同じくらいに困難なので、当たる心配はないと言われていますが・・・ 

 以下に関連の記事を紹介します。
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北朝鮮“人工衛星”打ち上げを予告
NHK NEWS web 2012121 

北朝鮮は1日夕方、「今月10日から22日までの間にロケットを使って人工衛星を打ち上げる」と発表しました。
    ことし4月の事実上の長距離弾道ミサイルの発射失敗により傷ついた威信を取り戻すため、再発射に踏み切ることを決めたものとみられ、国際社会は警戒を強めています。 

北朝鮮の宇宙空間技術委員会は、国営メディアを通じて報道官の談話を伝え、「今月10日から22日までの間に地球観測衛星『クァンミョンソン3号』の2号機を積んだロケットを北西部にある発射場から打ち上げる」と発表しました。
    また、「ことし4月の衛星の打ち上げで明らかになった欠陥を分析して信頼性と精密度を改善し、打ち上げの準備を終えた」としたうえで、「今回の打ち上げは国民を力強く鼓舞するもので、われわれの宇宙技術を新たな段階に引き上げる重要な機会になる」としています。

ことし4月、事実上の長距離弾道ミサイルの発射に失敗した北朝鮮は、先月以降、国連総会で人工衛星の打ち上げを継続する考えを重ねて強調してきました。
それと同時に、北西部のミサイル発射基地で長距離弾道ミサイルの発射に向けた準備と受け取れる動きを見せてきました。
北朝鮮指導部としては、今月17日にキム・ジョンイル総書記の死去から1年となるのにあわせて、4月の発射失敗により傷ついた威信を取り戻すため、再発射に踏み切ることを決めたものとみられます。

また、2期目を迎えることになったアメリカのオバマ政権と、今月19日に大統領選挙の投票が行われる韓国、それに今月16日に衆議院選挙の投票が行われる日本に揺さぶりをかける狙いもあるとみられ、国際社会は警戒を強めています。 

前回と前々回の発射は
前回、ことし4月に北朝鮮が人工衛星としている事実上の長距離弾道ミサイルを発射した際は、およそ1か月前の3月16日に国営メディアを通じて、「ロケットを使って人工衛星を打ち上げる」と発表しました。
この発表の中で、北朝鮮は打ち上げを4月12日から16日までの間に行うと予告し、実際に事実上の長距離弾道ミサイルを発射したのは、予告期間の2日目に当たる 4月13日でした。

前々回、2009年4月の発射に際しては3月11日にロンドンにある国際海事機関に対して「4月4日から8日までの間に試験通信衛星を打ち上げる計画だ」と通告していたことが分かり、翌12日に朝鮮中央通信が「船舶と航空機の安全な航行に必要な情報を国際機関に通告した」と伝えました。
そして、予告期間の初日の4月4日、朝鮮中央通信を通じて「人工衛星をまもなく打ち上げる」と発表し、実際に発射を行ったのは、予告期間の2日目に当たる4月5日でした。
 

破壊措置準備命令を発出 野田首相
時事通信 2012121 

 野田佳彦首相は1日夜、北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射予告に関する関係閣僚会議の終了後、首相公邸前で記者団に「森本敏防衛相から破壊措置準備命令を発出させた」と述べた。また、北朝鮮が発射に踏み切った場合の対応について「国連安保理決議に反するもので、仮に発射されれば極めて遺憾だ。断固たる措置を取らざるを得ない」と語った。