安倍自民党総裁が新内閣の日米同盟※政策のキーワードを、民主党政権の「同盟深化」から「同盟強化」に変更することを決めました。「強化」は協力範囲の拡大を含むもので、「民主党政権時代に傷ついた日米関係の立て直しを図りたいとする安倍氏の意欲が反映されている」と産経新聞は述べています。
※1960(昭和35)年締結の新安保条約が実体
ところで「民主党政権時代に傷ついた日米関係
云々」は、TVのコメンテータや自民党議員などが好んで使いますが、アメリカの要求は全て受け入れるという奴隷根性の発露に他なりません。そしてその根底には、アメリカの機嫌さえ取れば例えば日米関係が米中関係よりも優位になるという、現実から乖離した思い込みがあります。
中国はアメリカに言うべきことはちゃんと言いながらも、既に日本の追随を許さない程の確固たる米中関係を築いているという現実を、直視する必要があります。
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日米同盟を「深化」から「強化」へ 安倍総裁が指示
産経新聞 2012年12月23日
自民党の安倍晋三総裁が新内閣の日米同盟政策のキーワードについて、民主党政権が掲げた「同盟深化」を取りやめ、「同盟強化」を掲げる方針を決めたことが22日、分かった。一定の分野を掘り下げる意味合いの強い「深化」に比べて、「強化」は協力範囲の拡大を含むためで、民主党政権時代に傷ついた日米関係の立て直しを図りたいとする安倍氏の意欲が反映されている。
政府関係者は「『深化』と比べて『強化』には新しいことにも取り組む含意がある。新政権のキーワードとしてふわさしい」と語る。実際、安倍氏は衆院選後、外務省幹部らに対し、ただちに同盟強化策に取りかかるよう指示した。18日のオバマ米大統領との電話会談でも「日米同盟の強化を行いながら、中国との関係を考えていく必要がある」と強調した。
日米同盟のキーワードをめぐっては、「民主党が政権を握ってからそれまでの『深化・拡大』から『拡大』が削除された」(政府関係者)。日米安保条約について「外交の要」としながらも、「東アジア共同体」などを訴えた鳩山由紀夫元首相の意向を踏まえたものだ。
鳩山氏が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で退陣した後に誕生した菅政権からは「深化・拡大などの表現が復活した」(同関係者)。野田佳彦首相も就任当初は「強化」を使っていたものの、途中からは自ら使用するのはやめた。
民主党との違いを強調したい安倍氏は「深化」ではなく「強化」に一本化することにしたという。
同盟強化のため、安倍氏は集団的自衛権の行使容認を主張してきた。衆院選で勝利した16日夜のテレビ番組でも「権利はあるが行使はできない」とする政府の憲法解釈について「変更すべきだ」と述べた。
安倍氏は前回の首相時代、集団的自衛権の行使容認を検討する有識者懇談会を設置。懇談会は平成20年6月、ミサイル迎撃などを可能にするよう提案する報告書をとりまとめた。 (杉本康士)