茨城県取手市の小中学生の心臓検診で、「要精密検査」と診断された生徒の数が前年度の2.6~3倍に、また突然死の惧れがある「QT延長症候群※1」は、前年度の4倍に急増していることが分かりました。被曝との関係が大いに疑われます。
註 ※1 QT延長症候群
: 本来は、心室頻拍のリスクを増大させるまれな先天的な心臓疾患で、突然死につながる可能性がある。特定の薬の投与後に発生する可能性がある。
放射性セシウムは筋肉に多く蓄積するので、筋肉の塊である心臓は当然ダメージを受け、白血病やガンよりも先に不調を起こします。心臓以外では腎臓、甲状腺、脾臓、そして大脳などに蓄積されるといわれています。
チェルノブイリ近傍のベラルーシのゴメリ地区では、大人の死亡原因のトップは心臓病で、死因の約52%と際立っています(二番目がガンで14%)。
チェルノブイリ近傍のベラルーシのゴメリ地区では、大人の死亡原因のトップは心臓病で、死因の約52%と際立っています(二番目がガンで14%)。
チェルノブイリ(の近傍)ではいま子どもたちの健康被害が大変な問題になっていますが、その具体的な病状は「心臓病、血管や呼吸器障害、甲状腺ガンなど」とされやはり心臓病がトップに出てきます※2。
この件はたまたま取手市の市民団体が問題提起をして明らかにされましたが、取手市よりももっと被曝量の多い福島県などその他の地区ではどうなのか、大いに懸念されます。また子どもの甲状腺ガンについてもその後殆ど事実が公表されないので、実態がどうなっているのか気にかかります。
以下に東京新聞の記事を紹介します。
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73人が「要精密検査」 取手市内24校心臓検診
東京新聞 2012年12月26日
(茨城県)取手市の市民団体は25日、市立小中学校24校の2012年度の心臓検診で、一次検査で「要精密検査」と診断された児童・生徒の数が11年度に比べて急増していることを公表した。
心臓検診は取手市教委が毎年5月中に小学1年生、中学1年生に実施している。公表したのは「生活クラブ生協取手支部」(根岸裕美子代表)、「放射NO!ネットワーク取手」(本木洋子代表)、「とりで生活者ネットワーク」(黒沢仁美代表)の3団体で、市教委などの資料を基に調べた。
それによると、12年度に一次検診を受けた小中学生1655人のうち、73人が要精密検査と診断された。11年度の28人から2.6倍になり、中学生だけで見ると、17人から55人と3倍強に増えていた。
また、心臓に何らかの既往症が認められる児童・生徒も10年度の9人から11年度21人、12年度24人と推移。突然死の危険性が指摘される「QT延長症候群」とその疑いのある診断結果が、10年度の1人、11年度の2人から8人へと急増していた。
市民団体は「心臓に異常が認められるケースが急増しているのは事実。各団体と相談して年明けにも関係各機関に対応策を求めていきたい」としている。
藤井信吾市長の話 データを確認したうえで対応策を考えたい。 (坂入基之)