2012年12月17日月曜日

小選挙区制度の弊害 続報


 毎日新聞に今回の選挙における得票率と議席の関係を調べた記事が載りました。それによると自民党は43%の得票率で79%の議席を獲得したのに対して、民主党は23%の得票率で9%の議席しか獲得できませんでした。日本維新の会は、12%の得票率で5%の議席獲得率でした。(いずれも小数点以下を四捨五入) 

 また、東京新聞が公示直前に行った世論調査と東京都の25選挙区に立候補した134人を対象に行ったアンケートを比較した結果でも、世論では6割が脱原発であったのに脱原発派の当選者は3割と、やはり大きな違いがあったということです。 

 以下に毎日新聞と東京新聞の記事を紹介します。
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衆院選:得票率と獲得議席に大きな乖離
毎日新聞 20121217

 今回の衆院選で小選挙区に出馬した自民党候補は、300選挙区の有効投票総数のうち43%の票を得たのに対し、獲得議席数は300議席の79%にあたる237議席と大勝した。一方、民主党は有効投票総数に占める総得票率が22.8%だったが、300議席の9%にすぎない27議席しか獲得できなかった。得票率と獲得議席に大きな乖離(かいり)が生じ、各選挙区で1人しか当選しない現行の小選挙区制の特徴が改めて浮き彫りになった。
 今回の衆院選の小選挙区の有効投票総数は約5963万票だった。日本維新の会の得票率は11.6%で、300議席の4.7%の14議席を獲得。今回最多の299選挙区に候補を擁立した共産党は、得票率7.9%に対し獲得議席はゼロだった。 

 小選挙区は比例復活を除けば1人しか当選しないため、落選候補に投じられた票の多くが民意を議席に反映しない「死票」になる。候補9人が乱立した東京1区は得票率29.3%の自民党候補が当選し、落選候補の得票割合は計7割に達した。 

 09年衆院選をみると、民主党は得票率47.4%で7割を超える議席を獲得。自民党も「郵政解散」の05年衆院選で、得票率47.8%で同じく7割超の議席を得ており、選挙制度が選挙のたびに結果が大きく振れる一因となっている。【朴鐘珠】
 

脱原発 世論6割、当選3割 3大争点すべてズレ
東京新聞 20121217

 衆院選では、原発政策とともに大きな争点だった消費税増税や憲法九条でも民意と選挙結果に隔たりのある結果となった。本紙が公示直前に行った世論調査と、東京都の25選挙区に立候補した134人を対象に行ったアンケートを比較するとその差は歴然としている。 

 原発では、世論の約六割が原発ゼロを訴えていたが、東京の25選挙区でも自民党候補が続々と勝利。当選した自民党の中にはアンケートで「原発ゼロ」と答えた候補もいたが、25人の中で脱原発を求める当選者は28%にとどまった。

 消費税増税について世論調査では反対が556%で、半数を超えていた。

 消費税増税は民主党と自民、公明両党の3党の枠組みで決めた。マニフェストで約束していなかったのに増税を決めた民主党は、世論の批判をまともに受けて惨敗。しかし、その代わり自民党が小選挙区で躍進し、公明党も議席を獲得したため、結局、増税勢力が多数を占めた。

 憲法9条は、世論調査では改憲反対と賛成が拮抗していたが、選挙結果では改憲し「国防軍」を明記すると主張した自民党が勝利。維新も含めた「改憲勢力」で3分の2を占めた全国的な傾向と同様の結果となった。