10日に行われた原子力規制委員会の敦賀原発2号機直下のD-1断層に関する評価会議で、「活断層の可能性がある」という判断になりました。規制委員会の田中俊一委員長は「今のままでは再稼働の安全審査はできない」と述べ、敦賀原発の2号機は、運転再開ができずに、今後廃炉になる可能性が出てきました。
なお30年以上前の敦賀原発2号機建設時にも、今回問題となった2号機直下の断層や敷地内の活断層を原電が追加調査していたことが分かりました。
規制委は敦賀を含めて全国6原発を対象に、断層の調査を行うことにしています。
大飯原発では試掘溝を掘り広げて28、29日に現地調査を、また東北電力東通原発は13、14日に現地調査をする予定で、関電美浜、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(同県敦賀市)、北陸電力志賀の3原発は、年明け以降に調べる予定です。
注. 12月8日の当ブログ「志賀原発の活断層の可能性は25年前に指摘」の記事で、「この10日に規制委員会で大飯原発と敦賀原発の地質調査の結論をまとめる」と書きましたが、大飯原発については自然公園法に基づく福井県の掘削許可が出たことから、以前の掘削現場を掘り広げて12月28~29日に追加調査を実施する方向で検討しているということです。
お詫びして訂正します。
以下に東京新聞と毎日新聞の3つの記事を紹介します。
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敦賀原発 運転認めず 直下活断層と判断
東京新聞 2012年12月11日
日本原子力発電(原電)敦賀原発(福井県敦賀市)の断層(破砕帯)を調べた原子力規制委員会の専門家チームは十日、評価会合を開き、2号機直下を活断層が通っている可能性が高いと判断した。国は活断層の真上に原発を建てることを禁じており、規制委の田中俊一委員長は「運転再開の安全審査はできない」とし、運転は認められないと表明。敦賀原発は廃炉を迫られる公算が大きくなった。
敦賀原発では、1、2号機の東約二百五十メートルの敷地内を、活断層である浦底断層が走っている。浦底断層から枝分かれするように約百九十本の破砕帯が原子炉直下などに通じている。当初、浦底断層から延びる2号機直下に続く「D-1破砕帯」が、浦底断層につられて動くかどうかに主眼が置かれていた。しかし、現地調査では、浦底断層と破砕帯が交わる場所近くの試掘溝で地層の大きなずれがあることが確認された。
このずれを中心に、十日の会合でチームの専門家四人が議論した結果、ずれは十数万年前以降の比較的新しい時期に、浦底断層の活動に伴って生じたものだと判断された。
チームは、むしろこのずれこそがD-1破砕帯の本体である可能性が高いとの見方を示した。島崎邦彦委員長代理も「ずれはD-1破砕帯の延長か分岐の上にあると考えられる」と指摘した。2号機の下を活断層が通っていることの証拠になると結論付けた。
これを受け、会合に出席していた田中委員長が運転は認められないとの考えを示した。十二日の規制委の定例会に結論を報告し、各委員に諮る。
会合では浦底断層の危険性を問題視する意見も相次ぎ、チームの宮内崇裕千葉大教授は「原発直下の破砕帯以上の脅威。こういう活断層が敷地内にあることが驚きだ」と批判した。島崎氏も「活断層があると分かっていれば、普通、原発は建てない」と述べた。
規制委は敦賀を含め全国六原発を対象に断層調査を進める。
大飯原発(福井県おおい町)では関西電力に試掘溝を拡大するよう指示し、東北電力東通原発(青森県東通村)は十三、十四日に現地調査をする予定。
残る関電美浜(福井県美浜町)、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(同県敦賀市)、北陸電力志賀(石川県志賀町)の三原発は、年明け以降に調べる。
敦賀の問題の断層、過去に調査 日本原電が2号機建設時
東京新聞2012年12月11日
原子炉直下に活断層がある可能性が高いと認定された日本原子力発電敦賀原発(福井県)をめぐり、30年以上前の2号機建設時に行われた国による安全審査で、今回問題となった2号機直下の破砕帯(断層)や敷地内の活断層を原電が追加調査していたことが11日、分かった。原子力規制委員会の現地調査団メンバーで、活断層が専門の鈴木康弘名古屋大教授が明らかにした。
今回、調査団が問題視した破砕帯や活断層を、国や原電が当時から認識していた実態が浮き彫りとなった。審査では危険とは認識されず、「問題はない」とする原電の調査結果が認められた。(共同)
敦賀原発:「クロ」判断、他の原発にも影響
毎日新聞 2012年12月10日
原子力規制委員会の調査団が10日、日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)にある断層を「活断層の可能性が高い」と判断し、2号機の廃炉が避けられない状況になった。
規制委の現地調査は、敦賀原発の他に、関西電力
大飯、美浜(いずれも福井県)▽東北電力 東通(青森県)▽北陸電力 志賀(石川県)の各原発と、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)−−の計6施設が対象になっている。いずれも経済産業省原子力安全・保安院(当時)が全国の原発を再点検した結果、敷地内の破砕帯が活断層である可能性を否定できなかったものだ。今回、規制委が敦賀原発2号機に事実上の「クロ」の判断を示したことは、今後の調査に大きな影響を与えそうだ。
11月の現地調査の結果、規制委から追加調査を指示された大飯原発について、関電は先月22日、来年2月までの追加調査計画を規制委に提出。トレンチ(調査溝)の拡幅や追加のボーリング調査を行う内容で、破砕帯の広がりの範囲や、破砕帯の連動の可能性を確認する。関電の追加調査の状況をみながら、規制委も独自に再度、現地を調べる方針だ。
東通原発も、敷地内南側の複数の地層のずれについて、多くの専門家が「活断層によるものではないか」とみている。規制委は今月13日から2日間、現地調査する。
志賀原発、美浜、もんじゅについては規制委の調査日程が決まっていない。しかし、もんじゅの西約500メートル、美浜原発の東約1キロには「白木−丹生(にゅう)断層」という活断層があり、両施設の原子炉建屋直下を走る破砕帯が連動する恐れが指摘されている。 【江口一、岡田英】