2012年12月29日土曜日

米国と国連投票で別行動


 HP開設初年度は、放射能による健康被害の兆候が現れ、貧困化が進み、非正規労働者が増えるなど、暗く悲しいニュースばかりでした。
 そんななか年の瀬に、ホンの少しだけホッとする話が舞い込みました!? 

27日付の朝日新聞に『1 票への熱い反響』と題して、国連総会で、米国が反対し、英国・韓国などが米国に遠慮して棄権したテーマに日本が賛成票を投じたので、パレスチナやアラブ諸国から感謝されたという「特派員メモ」が載りました。
投票のテーマは、パレスチナを国連の「オブザーバー組職」から「オブザーバー国家」へ格上げするというものでした。 

アラブ諸国の称賛の裏には「あの日本がアメリカと別行動を取るとは・・・」という、率直な驚きがあった筈です。
では日本がいつも追随している米国は、国連においてどういう存在なのでしょうか。 

やや古いデータですが、常任理事国が拒否権を行使した件数の国別集計があります(下表)。
国連がスタートしてから20年間はソ連(当時)の拒否権行使が目立ちましたが、それ以降はアメリカが常にダントツに行使して来たことが分かります。 

 1966年~2004






4

14

29

80

16

 1996年~2004






2

0

0

10

1

   この10年間も、イスラエルのパレスチナに対する「非人道的殺戮行為」に関し、国連安保理でイスラエル非難決議案が出る度に、アメリカは拒否権を発動   若しくは発動すると脅迫して、決議を葬ってきました。かくしてイスラエルの大量殺戮行為を米欧の多くは見て見ぬふりをしてきました。そしていつもそれに追随して来た日本は、アラブ諸国から(心の中では)軽蔑されていたに違いありません。 

 この程度のことで「少しホッとする」などというのは、実に情けない話ですが・・・
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1 票への熱い反響   ◆ニュ-ヨーク 特派員メモ
朝日新聞 20121227 

こちらが痛いと思うほど、力がこもっていた。

国連総会でパレスチナがアラブ諸国など138力国の賛成を集め、「オブザーバー組職」から「オブザーバー国家」へ格上げを決めた先月末の採決後、パレスチナ人の外交官に握手を求められた。

 米国は反対し、英国や韓国など米国とつながりの深い国は棄権した。米国の同盟国である日本が、米国と立場を異にしてパレスチナを支持したことに、繰り返し感謝された。

レバノンやサウジアラビア、モロッコの外交官、記者からも「日本は正しい選択をした」と声をかけられた。国連を担当して2年近くになるが、日本の投票にここまで反響かあったのは初めてだ。

米国とともに反対していたら、どうなっただろうか。後日、アラブ諸国の外交官が集まった席で尋ねると、「日本を尊敬できなくなっていただろう」という声が相次いだ。

国連は各国の思惑が渦巻き、様々な駆け引きが演じられる場。日本の1票にはマイナス面もあろう。でも、こんなに熱く受け止められているのだ。中東和平にとっても、日本にとってもプラスになると信じたい。  (春日芳晃)