2012年12月12日水曜日

原発震災 県外避難者たちの願いは切実


 宇都宮大の多文化公共圏センターが、福島県から栃木県内に避難した人たちを対象に行ったアンケートには、福島との間を行き来するための高速道路の無料化、仮設住宅(借り上げ住宅を含む)の延長、また未就学児のいる世帯からは放射線の影響による健康調査の実施、などの切実な要求が寄せられました。
児童の健康調査に関しては、茨城県水戸市の母親たちが、18歳以下の児童の甲状腺超音波検査や血液検査の費用の助成を市に求める署名活動を行っています。 

いずれも行政さえその気になれば容易に実現できるものであり、先に明らかになったような、災害復旧費の1兆円が特別会計に繰り込まれたり、災害とは無関係なところに莫大な予算が流用されている不正の数々を見れば、予算がないからという言い訳も許されません。 

 また福島県で実施している県民健康管理調査については、福島県が検討委員会の透明性を確保するために、同県の弁護士会に要求していた委員派遣を、「先の秘密準備会に関する県の内部調査は不十分で、会の運営にも問題がある」として、現状では協力できないと断られたということです。単に1名かそこらの弁護士を委員に加えることで解決するほど問題の底は浅くないようなので、それも当然に思えます。
 この福島県民健康管理調査(検討委員会)に関しては、同県の医師会から「国の主導で実施して欲しい」という要求が出されたということです。
特に被曝児童の健康調査は迅速性を要求されるものなので、一刻も早く透明度を高めて円滑に進めていって欲しいものです。 

 以下に関係の記事を紹介します。
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9割「交通費助成を」 震災避難者宇大アンケ 仮設住宅延長も8
 東京新聞 20121211 

 宇都宮大の多文化公共圏センターは10日、福島県から(栃木)県内に避難した人たちを対象に実施したアンケートの結果を発表した。9割以上が高速道路無料化などの交通費助成を求めており、福島との間を行き来するための費用が避難者の負担になっていることがうかがえる。

 アンケートは8月に、県内に避難している1070世帯に郵送。225世帯から回答を得た。交通、健康、住居など13項目について、対策の必要性を5段階で答えてもらった。避難者の関心が最も高かったのが交通費の助成で、91%が「(必要性が)非常に高い」や「高い」と回答。現行では、避難対象区域からの避難者だけが高速料金無料となっており、回答者からは「自主避難者も無料にしてほしい。家族間の往来が減り、父親不在の状態に子どもが不安がっている」などの声が寄せられた。

 次いで84%と高かったのは仮設住宅(借り上げ住宅を含む)の延長。未就学児のいる世帯(56世帯)に限ると、放射線の影響による健康調査の要望も97%に上った。 (石井紀代美)
 

甲状腺検査の助成を 母親ら水戸駅で署名活動
東京新聞 2012124

 18歳以下の子どもの甲状腺超音波検査や血液検査の費用の助成を水戸市に求めようと、市内の母親らでつくる「水戸ママ有志の会」が3日、JR水戸駅前で署名活動をした。19日に署名を携えて市に要望する。
 東京電力福島第一原発事故によって拡散した放射性ヨウ素の影響を調べる甲状腺検査は、県内では東海村が全額を、龍ケ崎市が一部をそれぞれ助成している。

 有志の会代表の平本安寿香さん(36)は「甲状腺の状態をどう判断するかは意見が分かれるが、まずは検査をすることが大切。多くの子が検査を受けやすくなる態勢をつくってほしい」と話した。
 署名活動は14日まで。有志の会ホームページ(「希望のたね・みと」で検索)で詳細を説明している。 (妹尾聡太)
 

県民健康管理調査検討委員会 県弁護士会「調査不十分」
福島中央TV 20121210
 
   運営のあり方が問題になった「県民健康管理調査検討委員会」について、県は、透明性確保のため、県弁護士会に委員派遣を求めていました。
    しかし、弁護士会は「調査が不十分で現状では協力できない」と回答しました。

    検討委員会は、事前に準備会を開くなど、その運営が批判を受けたため、県は、透明性を高めるため、新たに、県弁護士会にも委員の推薦を要請していました。
    これに対し、県弁護士会は、「準備会に関する県の内部調査は不十分で、会の運営にも問題がある」として、現状では協力できないと回答しました。
    弁護士会と日弁連は、委員会に対して、市民の代表を加えるなど抜本的な改善を求めています。
 

原発事故の被曝健康調査、国直轄で 福島県医師会が要望
 朝日新聞 2012127 

 東京電力福島第一原発事故の被曝影響をみる住民の健康調査について、福島県医師会は6日、国の直轄で実施するよう原子力規制委員会に要望した。現行は福島県が県立医大に委託して実施しているが、基礎調査の参加率は2割強だけだ。
 規制委の検討会で、福島県医師会の木田光一副会長は「県外避難者も約9万人おり、県だけでは対応できない」と述べ、国の主導で調査をするよう求めた。