2012年12月31日月曜日

トモダチ作戦の米軍人が 東電 に損害賠償の訴訟


東日本大震災後、救助活動を支援するトモダチ作戦で三陸沖に派遣された米原子力空母ロナルド・レーガンの乗組員8人が、東電から福島原発事故の影響が正確に伝えられなかったために被曝したとして、同社を相手に計11000万ドル(計約94億円)の損害賠償と、それとは別に将来の医療費支出に備えて1億ドル(約85億円)の基金創設を求める訴えを、カリフォルニア州サンディエゴの米連邦地裁に起こしました。 

原告は、東電や日本政府は低線量の被曝でもそれが健康を脅かすことや放射線が度環境中に放出されるとそれが遠くまで到達するという知識を持っていながら、原子炉が深刻なメルトダウンを起こし、高レベルの放射線が排出されていたことを正確に伝えなかったために被曝したとしています(26日付米紙ロシア・トゥデイ)

空母の乗組員は5,500人、トモダチ作戦に参加したメンバーは24,000人ということなので、単純に損害賠償請求額を比例計算すると、乗組員総数当たりでは約65千億円、トモダチ作戦総メンバー当たりでは約28兆2千億円という莫大な数字になります。 

日本が米軍に出動を頼んだわけではないし、まだ健康被害は出ていないのにあまりにも莫大な要求だ・・・というのが多くの日本人の感覚ではないでしょうか。
 これに関して元原子力安全委員会の専門委員をしておられた武田邦彦教授は、「どれくらい被曝したら病気になるのかということではなく、『被曝自体が損害である』という国際的合意が出来ているので、たとえ軍人であっても、国を守るという正当な目的以外で不当な損害を受けた場合は賠償を請求できる」としています。(28日付 武田邦彦ブログ「被曝のアメリカ兵の訴訟が意味するもの」

 当時内閣官房長官であった枝野氏は、国民に対して耳にタコができるほど繰り返し「『直ちには』健康に影響はない」と発表しました。同氏は弁護士でもあったので、当然国内で訴訟が起きたときのことを予想してそういう「時間限定」を付けた筈ですが、果たして通用するものなのでしょうか。その責任もあるので、いまこそしかるべき場に臨んで真剣に対峙して欲しいものです。 

 以下にスポーツニッポンの記事を紹介します。
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トモダチ作戦参加の米兵8人 東電に94億円賠償請求
スポーツニッポン 20121227 

 東日本大震災後、三陸沖に派遣された米原子力空母ロナルド・レーガンの乗組員8人が27日までに、東京電力福島第1原発事故の影響が正確に伝えられず被ばくし健康被害を受けたとして、同社を相手に計11000万ドル(計約94億円)の損害賠償を求める訴えをカリフォルニア州サンディエゴの米連邦地裁に起こした。米メディアが伝えた。 

 乗組員らは、米軍による被災地支援の「トモダチ作戦」で急派され、搭載機が発着する飛行甲板などで作業していた。東電によると、事故収束作業をめぐり、海外の裁判所で同社が訴えられたケースはないという。
 東電は「訴状が届いておらず、コメントは差し控えたい」としている。 

 訴えたのはロナルド・レーガン乗組員のリンゼイ・クーパーさん(階級不明)ら。米兵8人のほか、その家族1人が原告に加わっている可能性もあるという。
 原告側は、東電が米軍や市民に対し、事故で放出された放射性物質の危険などについて「事実と異なり、誤解を招く情報」を広めたと主張。米軍側は安全だと信じてトモダチ作戦を遂行したため、乗組員が被ばくし、がんのリスクが高まったなどとしている。
 米メディアによると、8人は実際の被害に対する金銭補償としてそれぞれ1000万ドルを請求。これとは別に、算定不能な精神的苦痛や再発防止に向けた抑止効果を狙った「懲罰的賠償」として、全員で合わせて3000万ドルを請求した。 

 トモダチ作戦は震災発生2日後の昨年313日から開始され、空母などを投入し支援物資を輸送するなどした。在日米海軍司令部(神奈川県横須賀市)は「こうした訴えがこれまでに起こされたという話を聞いたことはない」としている。 (共同)