女優の藤原紀香さんがご自身のブログNorika's Diary (9月13日)に「秘密保全法案って?」( http://www.norika.ne.jp/cgi-bin/spdiary-j.cgi?id=7&file=201309 )という記事を載せたことが、インターネット界で大変な話題になっています。(「藤原紀香 秘密保護法」でGoogle検索すると18日現在で約56万件がヒット)
当ブログでも、16日の記事「特定秘密保護法案 藤原紀香さんも批判」に対して、匿名さんから次のような彼女を高く評価するコメントをいただいています。
「新島襄が八重を評して『その生き方がハンサムな人』と言ったそうですが、このブログに接して『藤原紀香さんは本当にハンサムな人だな』と感心しました。国民の多くが彼女のように曇りない目で物を見、捉われない心でそれを感じ取り考え、率直な思いを真っ直ぐに声にするなら、この国は大きく変わるに違いないと思います。『私も彼女に学んで“ハンサムな生き方”をすべく心掛けたい』と、そんなふうに思いました。」
東京新聞は18日、「こちら特報部 : 藤原紀香さん 秘密保護法案懸念 政治的発言のタブー破るか」と題した記事を載せ、「芸能人が政府批判や社会・政治問題について発言するのは、欧米では当たり前なものの、日本では極めて異例。女優の政治的発言は日本のタブーを破るか」と注目しています。
実際に人気商売の女優を続けながら、ああしたブログを公表するのは大変勇気が要ることです。その勇気と正義感に敬服します。
日本には言論の自由があることになっていますが、実態はそんなに単純なものではなくて、体制側には厳然としたタブーがあります。
古くは森田実氏、植草一秀氏などをはじめとする優秀な政府批判者たちは、悉くテレビ界から追放されました。植草氏はその手段として痴漢事件を仕立て上げられました。ごく最近では反原発の山本太郎 新参院議員、少し前には鳥越俊太郎氏などもテレビ界から排除されました。
逆に現在テレビで司会役や番組のレギュラーメンバーを務めているタレントたちの殆どは、臆面もなく政府寄りの姿勢を明らかにし且つそれに徹しています。コメンテータや評論家といわれる人たちはいうまでもありません。
北朝鮮の独裁体制が批判されるのは当然のことですが、体制側に立たないと生きにくいという点では日本も似ています。北朝鮮を批判する資格などありません。
できることなら藤原さんには圧倒的な人気に支えられながら、そのタブーを破って今後も正論を発信し続けて欲しいものです。
以下に東京新聞の記事を紹介します。
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藤原紀香さん 秘密保護法案懸念 政治的発言のタブー破るか
東京新聞 2013年9月18日
女優の藤原紀香さん(42)が自身のブログで、特定秘密保護法案への懸念を表明した。俳優やアーティストが政府批判や社会・政治問題について発言するのは、欧米では当たり前なものの、日本では極めて異例。女優の政治的発言は日本のタブーを破るか。(佐藤圭)
◆欧米は当たり前 「日本、広告主に気兼ね」
「放射能汚染、被爆などのことや、他に、もし国に都合よく隠したい問題があって、それが適用されれば、私たちは知るすべもなく、しかも真実をネットなどに書いた人は罰せられてしまう…なんて恐ろしいことになる可能性も考えられるというので、とても不安です」
藤原さんは13日付のブログで、同法案への思いをこんな調子でつづった。政府が17日までの約2週間、法案概要に対する意見を募ったパブリックコメントについては「(短期間で)法案を決めてしまうの?」と疑問を投げかける一方、「賛成、反などの意見を書きましょう」と訴えた。
安倍政権は臨時国会での同法案成立を狙っているが、日本新聞協会や日弁連は「知る権利や表現の自由が侵害される」と反対している。
日弁連秘密保全法制対策本部事務局長の清水勉弁護士は、藤原さんの意見について「秘密の範囲が曖昧なことなどを的確に指摘している。現役女優が、秘密保護法案のように賛否が分かれる問題について発信するのは素晴らしい」と評価する。
なぜ、藤原さんが突然、こうした考えをブログで発表したのかは分からないが、藤原さんは芸能活動の傍ら、赤十字広報特使を務めるなど社会活動にも熱心で、発言には、そうした素地があったとみられる。
ただ、日本では、芸能人が政治的な意見を表明するケースはまれだ。俳優の山本太郎さん(38)は福島第一原発事故後、脱原発活動が問題視され、出演予定だったドラマを降ろされた。先の参院選で当選したものの、芸能界の仕事は干された状態が続いている。
山本さんは「3・11後、芸能人が社会・政治問題で声を上げることへのハードルはむしろ高くなった。テレビや映画の世界では、スポンサーに気兼ねする雰囲気がますます強まっている」と危惧する。
藤原さんのブログについては「勇気をもって有名人の影響力を行使してくれた。できる限り角を立てないようにしようと、広く賛否をたずねるところは非常に洗練されている」とたたえた。
欧米では、芸能人の政治的言動は定着している。米大統領選では、ハリウッドスターが積極的に選挙運動に協力し、資金まで提供する。米国の対シリア軍事介入問題をめぐっては、米歌手マドンナさんが「シリアには関わるな」と表明したことなども話題になった。
日米の芸能事情に詳しい放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏は「欧米の芸能人は自己責任で発言し、仕事を干されることはない。日本は異様だ」と指摘した上、
両者の違いの原因について「日本では芸能事務所の力が大きい。欧米では、芸能人がエージェント(代理人)を雇うが、日本はエージェント(事務所)に雇われている」とみる。
実際、「こちら特報部」が藤原さんの事務所に発言の背景などをたずねようとしたところ、担当者は「ドラマなど芸能活動以外のことで取材を受けるのは難しい」と話した。
「芸能人の立場が弱い日本の現状では、芸能人の政治的発言が当たり前になることはないだろう」(スペクター氏)