25日の石垣市議会で、「沖縄の平和教育は、戦争の悲惨さを強調する教育になっている。戦争に対する嫌悪感から派生する思考停止と言える」などと発言して問題になった玉津教育長に対する不信任案が提出され、賛成多数で可決成立しました。
これは市議会史上初めてのことですが、決議には拘束力はないので、玉津教育長は辞職する考えはないようです。
教育長は、自治体の首長によって任命された教育委員のうちから教育委員会によって選任されますが、事実上は市の意向によって決められるともいわれます。このような教育長が選ばれること自体が、沖縄でも教育の反動化が始まっていることを示しています。
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玉津教育長に不信任 賛成多数で可決
八重山毎日新聞 2013年9月26日
市議会史上初 副市長の辞職勧告、議案ならず
石垣市議会(伊良皆高信議長)の9月定例会は25日、最終本会議が開かれ、仲間均氏が漢那政弘副市長の辞職勧告決議案、前津究氏が玉津博克教育長の不信任決議案を動議で提出した。特別職2氏に辞職を促す決議案が出るのは前代未聞。両決議案とも無記名投票で採決までの手続きが行われ、教育長への不信任決議案が野党と一部与党の11対7で可決された。市議会史上初めてとみられる。決議に拘束力はなく、玉津教育長は取材に辞職する考えのないことを明らかにした。副市長への辞職勧告決議案は、賛成少数で議案として取り上げられなかった。
玉津教育長の不信任決議は6月定例会でも前津氏が提出したが、起立による採決の結果、賛成少数で議案にならなかった。この間、琉球大学との教育連携事業をめぐる謝罪会見、平和教育に関する発言などに対して反発が高まっていた。この日の本会議では、出席した与党議員10人のうち3人が不信任に賛成した。
不信任を突きつけた議員は、今後の定例会や臨時会に玉津教育長が出席した場合、ボイコットする可能性もある。市教育委員会にとって議会の信頼回復が大きな課題となりそうだ。
決議案の提出に際し前津氏は、平和教育に関する教育長発言について「市民、県民、教育関係者、戦争体験者の語り部に不信と不快を与えた」と指摘。琉大との教育連携事業で特定の人物の排除を求め、琉大側から「民主主義社会にあってはならないこと」と抗議されたことに触れ、「真相解明と対応について教育委員会の判断が待たれている最中。玉津教育長の独断と偏見に基づく思考停止発言は公正中立を堅持する立場を大きく逸脱する」と批判した。
動議の取り扱いでは与党から記名、野党から無記名を求める意見があり、採決の結果、すべての手続きを無記名投票で実施。与党席から「政治家なら責任をとるべきだ。自分の意志を示せ」と怒号やヤジが飛び交った。
本会議には与党の石垣亨氏、野党系中立の松川秀盛氏を除く18人が出席。松川氏は定例会初日から体調不良を理由に欠席していた。
(不連続線)私たちはなぜ平和を求め続けるか、言うまでも…
八重山毎日新聞 2013年9月26日
私たちはなぜ平和を求め続けるか、言うまでもなく先の太平洋戦争で戦争の悲惨さを身にしみて味わったからだ。一人一人のかけがえのない生命が失われ、父や母、兄、妹などが犠牲となり家族が崩壊したからだ。
広島、長崎への原爆投下、東京、大阪をはじめとする大都市への空爆。そして「ありったけの地獄を集めた」と言われる沖縄戦。沖縄住民の三分の一が死亡し、米軍さえ1万人以上の戦死者を出したのだ。
私たちの小学校、中学校の先生には、片腕のない先生、びっこを引いておられる先生、いつまでも残る爆風の影響に苦しんでいる先生など、生き残りはしたものの、戦争の後遺症を患っている先生方がおられた。
また同期生には、みんな死んだのに自分一人生き残ったという何とも言えない思いに捉われている先生もおられた。大学には顔中ケロイドの教授もおられた。そして戦場はもっともっと激しかったのである。
これらのことを経験し学んだわれわれが不戦を思い平和を求め続けることは極めて自然なことだ。この思いが想像力を育て人権感覚を養い、生命を守ろうと、例えば米軍基地の撤去を求め、オスプレイの沖縄配備に抗議しているのだ。
先日、近くの小学校の運動会を見ながらこの子たちを戦場に立たせてはならないと強く思った。(八重洋一郎)