先般行われた公聴会的な催しは単なるパフォーマンスであって、あれは消費税率アップのためのお膳立てに過ぎないといわれています。消費税率のアップを前提にして、またぞろ法人税減税の「必要性」が叫ばれるようになりました。(⇒ 添付のNHKニュースを参照)
財政の建て直しを口実にして消費税率アップを説いておきながら、そのアップ分を直ちに法人税の引き下げに当てるというのでは、あまりにも見え透いた話です。
ところで今回は、企業が海外に転出するからという虚偽の口実を用いるのはさすがに止めにして、新たに景気の腰折れを防ぐためというのを口実にしました。しかしそれもまた笑止なことで、景気の腰折れを防ぐには、どこかに余っているお金を零細な国民に廻せば済むことであって、内部留保280兆円を有する企業群をさらに助けることなどではありません。
そもそも企業の法人税率は公称38%といわれますが、実際の法人税率は現状でも十分過ぎるくらいに優遇されています。(⇒ 添付のしんぶん赤旗の記事を参照)
それに輸出企業に対しては「戻し税」という、消費税の内の相当額が戻ってくるという破格の優遇税制もあります。
税制=所得の再分配は、いうまでもなく高額所得者分から低所得者へと向かうべきです。しかしなぜか日本ではそうなっていません。ユニセフのデータが指摘しているように、正常な税制を有する諸外国では、所得の再分配後に子どもの貧困率は著しく改善されているのに対して、日本だけはより悪化しています。
これは日本だけが「低所得者層から高額所得者層へ」という富の流れが形成されているということであって、正真正銘 世界最悪の税制度後進国であることの証明です。
このことだけからも、消費税率のアップが許されることでないのは明らかです。
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新経済対策は法人税減税焦点に
NHK NEWS WEB 2013年9月12日
安倍総理大臣が取りまとめを指示した新たな経済対策を巡って、政府内では、景気の腰折れを防ぐため、法人税の実効税率の引き下げを求める声があるのに対し、財政再建の観点から慎重に対応すべきだという意見もあり、法人税の取り扱いが焦点の1つとなる見通しです。
安倍総理大臣は、来月1日にも、消費税率を法律どおり来年4月に8%に引き上げるかどうか、最終判断することにしており、経済成長を確かなものとするため、今月末をめどに、新たな経済対策を取りまとめるよう指示しました。
これを受けて、政府は、甘利経済再生担当大臣と麻生副総理兼財務大臣を中心に、消費税率を引き上げた際に、景気の腰折れを防ぐため、必要な財政措置や税制改革などの検討を進めることにしています。
このうち税制改革について、政府内では、甘利大臣が「設備投資の先のものまで含めて広範な対策を取るべきだ」と述べるなど、法人税の実効税率の引き下げを求める声が出ています。
これに対し、麻生副総理は、民間主導の経済成長を目指すには、企業の設備投資を促す投資減税を行うほうが効果的で、法人税率の引き下げは財政再建の観点からも慎重に対応すべきだとしています。
このため、新たな経済対策の取りまとめに向けては、投資減税の拡充策に加え、法人税の取り扱いが焦点の1つとなる見通しです。
三井物産6% 日産16% トヨタ26%…法人税 大企業ほど軽い
自民、さらに「大胆減税」 庶民には消費税大増税
しんぶん赤旗 2013年7月10日
大もうけしている大企業ほど法人税をわずかしか払っていません。各社の財務資料から本紙が過去8年間の平均税負担率を計算したところ、もうけ(税引前当期純利益)が多い上位20社の法人3税の負担率が30%にも満たないことが分かりました。
法人3税とは国税の法人税と地方税の法人事業税、法人住民税を合わせたもので、その税率を法定実効税率といいます。本来なら復興特別法人税(約3%)をふくめ、税引前当期純利益の約38%を納める必要があります。しかし、上位20社では29・9%と3割を割り込んだほか、上位600社でも32・3%と法定税率より低い額しか負担していません。
個別企業では三井物産が6・3%、三菱電機は9・5%でした。カルロス・ゴーン社長に9億8800万円の役員報酬を出した日産は16・0%、「円安効果」でもうけを拡大しているトヨタでも26・1%しか負担していません。
これは、巨額の利益を上げている大企業ほど、さまざまな優遇税制を使いやすいからです。たとえば研究開発減税は11年度の減税総額3386億円のうち、84・9%が資本金10億円以上の大企業と連結企業グループでした。また、09年度から導入された「海外子会社配当非課税制度」は、多国籍企業に大きな恩恵を与えます。
安倍晋三政権はこうした大もうけをしている大企業に対して、今年も投資減税などを追加、研究開発減税も拡充しました。15年度からは法人3税の法定税率が35%に下がることが決められています。その上、自民党は参院選政策で「思い切った投資減税」「法人税の大胆な引き下げ」を掲げています。
安倍自・公政権は一方で消費税率を来年4月には8%、15年10月には10%まで引き上げるとしています。日本共産党は消費税増税ではなく、大企業・大資産家に応分の負担を求める税制の抜本改革が必要だと主張しています。
参議院選挙で、内部留保をため込んでいる大企業には減税、賃金が下がり続ける庶民には消費税増税を行う安倍自・公政権には、「ノー」の審判を下す必要があります。
<海外子会社配当非課税制度>
外国子会社から受ける配当などの額の95%を非課税とする制度です。海外に子会社を多く持つ大企業ほど恩恵が大きくなります。