アメリカが主導するTPP交渉の進め方には、アメリカの市民、学生、消費者団体、労働団体からも、「これが民主主義なのか」と不満の声が高まっているということです。
TPP交渉は、アメリカ国民や消費者団体、労働団体に対しても一切が秘密のうちに進められていて、大資本、多国籍企業の利益のためには自国民の健康までも犠牲にしかねないというTPPの実態が、ここでも明らかにされています。
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TPP 秘密交渉 米でも不満 労組、消費者団体が批判
東京新聞 2013年9月23日 朝刊
環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加する日米など十二カ国の首席交渉官会合が二十一日終了した。年内妥結に向けヤマ場を迎える交渉。しかし、具体的な協議内容についてはほとんど明らかにされないまま。米国内の消費者団体、労働団体からも「これが民主主義なのか」と不満の声が高まっている。 (ワシントン、斉場保伸)
●不安
「米国が交渉に参加してこの二年、ホワイトハウスに何を話し合っているのか教えてほしいと掛け合ってきたのに、まったく答えてくれない」。首席交渉官会合が継続中の二十日、ワシントンにある米通商代表部(USTR)のビルの前では約五十人の環境団体や消費者団体のメンバーが参加して、デモ活動を展開。消費者非営利団体「パブリック・シチズン」のメリンダさん(38)はマイクを手にすると、米国の政策は「消費者を軽視している」と批判を強めた。
消費者団体が警戒を強めるのが食の安全。輸入食品や玩具の安全基準がより簡素化される可能性を指摘している。遺伝子組み換え食品の表示問題についても基準が緩められ、原産地表示も甘くなるのではないか、と心配している。
メリンダさんは「政府は何とか早くまとめたいという自分の都合で、世論の反対を受けないよう、秘密裏に進めている」と指摘した。
●回転ドア
交渉を主導するUSTRの幹部が「回転ドア」のように官と民を行ったり来たりする慣行も、消費者団体が「大企業の利益優先になる」との疑念を強める原因だ。
例えば、二〇一一年から農業交渉担当首席交渉官を務めるシディキ氏は、遺伝子組み換え農産品や農薬関連企業のロビー団体である「クロップライフアメリカ」副社長から就任。クリントン政権時代には農務省に勤務するなど民・官の立場を行き来している。
フロマン代表自体、米金融大手シティグループ出身。市民団体は「金融界や株式市場の利益ばかり重視される」と批判する。
●選別疑惑
USTRには交渉に必要な情報を入手するために六百人からなるアドバイザー制度がある。
アドバイザーは極秘文書を見ることもできるが、ほとんどが大企業の関係者だ。
そんな中で、最大の労働組合組織「米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)」のセレステ・ドレイク通商政策担当(46)は労働界からUSTRアドバイザーに参加するが、「今回TPP交渉の文書は一つも見られない」と批判する。USTRのフロマン代表は今月初め、約百七十人の利害関係者を対象に電話会議を実施したが、ほとんど中身はなかったという。
ドレイク氏は「政府はアドバイザーも選別し、企業ばかりに情報を流しているのではないか」と疑念を深めている。
「TPPは大企業のため」 米市民が反対デモ
しんぶん赤旗 2013年9月22日
(写真)「環境破壊者の権利を守るTPP」「優先すべきは大企業より勤労者、TPPはやめろ!」などのプラカードを掲げてシュプレヒコールをあげるデモ参加者=20日、米ワシントン(洞口昇幸撮影)
【ワシントン=洞口昇幸】米国の首都ワシントンで20日、環太平洋連携協定(TPP)の交渉・参加に反対する団体や市民がホワイトハウス近くでデモを行いました。参加者は力強く「NO!TPP!」のシュプレヒコールをあげました。
デモは米消費者団体パブリック・シチズンなどの団体が呼びかけたもの。大学生から年配者までプラカードを掲げたり、TPPの危険を表す仮装をしたりして参加しました。
メリーランド州のリチャード・オックスさん(74)は「TPPは大企業が自分たちの利益のために国際貿易を支配し、各国の民主主義を排除するものだ」と力を込めました。
大学生のシェイナ・パースンさん(21)は「日本で同じように反対するみなさんと連帯して、反対の世論を広げてTPPを阻止したい」と述べました。