11日NHKは、公明党の山口代表が訪問先のワシントンで講演し、「集団的自衛権の行使に関しては、これまで政府は日本の施政権の下にある領域への武力攻撃に対応するものに限定してきた。海外では武力を使わないという日本の方針は国際社会にも定着しているのに、これを変えるというのであればなぜ変えるのか丁寧に議論し、国民の理解を得る必要がある」、と述べたことを報じました。
これは与党の一画を占める政党として理にかなった見解ですが、NHKは何故かこの記事を掲載するに当たり、首相の私的な有識者懇談会の座長を務める北岡氏が、「集団的自衛権の行使を容認する提言にしたい」と語ったという記事と並べました。
北岡座長の見解は、「日本の周辺に安定した国際環境を作っていくことと、自衛力も整備しておくことが、車の両輪となるようにしなければならない。結束していれば個々の国が襲われる可能性が低いので、集団的自衛権はだめだというのは間違った考え方だ」というもので、何の説得力もなく、しかも従来の内閣の見解に反した特異なものです。NHKは彼にインタビューを行ったというので、いずれそれも放映されることでしょう。
まだ懇談会がスタートもしていない段階で、そうした「憲法違反」の個人的見解を公共放送が取り上げていいのか大いに疑問です。
とみに政府の広報機関化してきているNHKは、安倍首相の意に沿わない「集団的自衛権の行使否定論」を単独では報じたくなかったため、わざわざ行使容認論と並べたものと推測されます。
まことに不見識で不健全な話です。
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山口代表 集団的自衛権解釈は慎重に
NHK NEWS WEB 2013年9月11日
公明党の山口代表は、訪問先のワシントンで講演し、集団的自衛権の行使を巡る憲法解釈の見直しについて、「なぜ変えるのか、どのような影響を及ぼすのかなどを丁寧に議論し、国民の理解を得る必要がある」と述べ、時間をかけて慎重に検討すべきだという考えを重ねて示しました。
この中で公明党の山口代表は、集団的自衛権の行使に関連して、「これまでの政府の方針は、自衛権を使う範囲を『日本の施政権の下にある領域への武力攻撃』に対応するものに限定しており、海外では武力を使わないというものだ。この方針は国民にも国際社会にも定着している」と述べました。
そのうえで山口氏は、「これを変えようとするのであれば、なぜ変えるのか、どのように変えるのか、どのような影響を及ぼすのかなどを丁寧に議論して、国民の理解を得る必要があり、近隣諸国の理解を促す努力も求められる」と述べ、集団的自衛権の行使を巡る憲法解釈の見直しは、時間をかけて慎重に検討すべきだという考えを重ねて示しました。
また山口氏は、冷え込んでいる日中関係について、「ことし1月に現在の習近平国家主席と会談し、途絶えていた『政治家の対話』の扉を開いた。さまざまな対話を重ねて日中首脳会談を実現したい」と述べ、公明党としても関係改善に努める考えを強調しました。
“集団的自衛権 容認の提言にしたい”
NHK NEWS WEB 2013年9月11日
政府が初めて策定する「国家安全保障戦略」を検討する有識者懇談会の座長を務める、国際大学の北岡伸一学長は、NHKのインタビューで、政府が憲法解釈上認められないとしてきた集団的自衛権の行使容認を盛り込むよう求める提言にしたいという考えを示しました。
政府は、外交・安全保障政策の基本方針となる「国家安全保障戦略」を初めて策定するため、有識者による懇談会を設置し、12日初会合を開くことにしており、これを前に懇談会の座長を務める国際大学の北岡伸一学長がNHKのインタビューに応じました。
この中で北岡氏は、「国家安全保障戦略」について、「日本の周辺に安定した国際環境を作っていくことと、いざという場合に備えて自衛力も整備しておくことが、車の両輪となるようにしなければならない」と述べました。
そのうえで北岡氏は、政府が憲法解釈上認められないとしてきた集団的自衛権の行使について、「結束していれば個々の国が襲われる可能性が低く、個別的自衛権はよいが集団的自衛権はだめだというのは、最初から間違った考え方だ」と述べ、「国家安全保障戦略」に集団的自衛権の行使容認を盛り込むよう求める提言にしたいという考えを示しました。