16日の中国人民網が、日本の財政状態を報道しています。
こうした客観報道であれば日本のメディアでもいくらでもできそうなものですが、政府の意向を慮ってか殆どやりません。したがって私たちは隣国のメディアを通じて知らされるというわけです。
その実態は恐るべきもので、最大の問題点はそれがさらに酷くなる方向に進んでいることです。改善する方向には向かっていません。
あれだけ「子孫にツケは廻せない」と財政の健全化が叫ばれ、また消費税のアップ分は全額社会保障費に廻すと言っていたのに、いざ具体化するとアップ分から5兆円を景気対策に廻し、2兆円を法人税の減額に廻すということです。そうなれば財政の健全化には1銭も廻りません。
消費税を上げないことには国債が暴落すると、三段論法で国民を脅迫した財務省の本心は何だったのでしょうか。消費税を上げること自体が目的で、財政の健全化などは政府も財務省も考えていなかったとしか思えません。
日本の借金漬けの財政が、ギリシアのように他国からの借金でない点だけはなるほど取り得ですが、いまのような散漫な経営を続けていてはやはり破綻します。財政破綻したギリシアでは、公務員経費の肥大化が元凶のひとつとされました。
日本でも官僚は自らの「聖域」を守り、特別会計制度に依拠し、先進国ではフィリピンや北朝鮮以外では採用していないという単式簿記制にこだわります。
平均でも貧困層の3~4倍、高級官僚に至っては天井知らずの高額な公務員の給与体系も、既得権として手放そうとしません。民間に比べて大いに有利な年金制度もそうです。
それらはもともと借金主体の予算で築かれてきた虚構ですから、「既得権」などといえるものではありません。
国家財政の再建については、かつて登場した民主党はかなりいい線を行っていたのですが、その鳩山政権時代でも、官僚の「聖域」に手をつけるにはあまりにも実行力が乏しく意思も薄弱でした。菅・野田政権になってからはそうした意思自体がありませんでした。そして政権は瓦解しました。
官僚の息のかからない識者たちによる、本当の意味の財政再建策の立案が急務と思われます。
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日本の政府債務が急速に増加 高まるリスク
中国 人民網日本語版 2013年9月16日
安倍首相が再任後行っているいわゆる柔軟で機動的な財政政策の本質は、財政刺激策の再使用による公共投資の拡大だ。税収が著しく増加しない中、公共投資拡大の資金は主に国債発行に頼っている。国債発行額が国の税収を上回る状況がすでに4年続いており、日本の財政は非常に厳しい持続可能性の危機に直面している。(文:張舒英<中国社会科学院日本研究所>。経済参考報掲載)
ギリシャやイタリアは政府債務の増加によって、全世界に波及する欧州債務危機を招いた。実は日本の政府債務は早くも10数年前にイタリアを超えている。
経済協力開発機構(OECD)の発表によると、日本の一般政府債務残高の対GDP比は1999年以降、主要先進国で最悪の状況が続いている。2012年の政府債務残高の対GDP比はギリシャが165.6%、イタリアが140.2%だが、日本は219.1%にも達する。
今や日本の一般政府債務残高は1000兆円を超え、現在の為替レート(1ドル99.1円)で換算すると10兆ドルを超える。日本人1人あたり約8万6200ドルの借金を背負っている計算になる。この状況は日本の財政法が定める均衡財政の原則に完全に反すると言える。
1947年公布の「財政法」は国債発行を明確に禁止している。1949年から1964年までの16会計年度、日本は財政収支均衡という法定原則を堅持した。日本の赤字国債発行は1975年度に始まった。これは石油危機による経常収支の赤字化が背景にある。財政赤字を補填するために発行する赤字国債を、財政法は認めていない。財政法の制約を突破して赤字国債を発行するために「特例法」が制定された。こうした「特例法」は1年に限って効力を持つ。このため日本の赤字国債は「特例国債」とも称される。だが実際には、1991年度から1993年度までの3会計年度を除き、日本は毎年赤字国債を発行しており、さながら「特例」が「慣例」に変わったかのようだ。
現在の日本は主に借金に頼って生活している。1998年度まで赤字国債はずっと「脇役」だった。しかし1999年度から「脇役」が「主役」に変わり、赤字国債発行額が建設国債を上回り続けるようになった。2013年度新規発行の普通国債のうち、86.52%を赤字国債が占める。
日本の歳入全体を見ると、長年の間、国債は「主役」である税収を補う「脇役」だった。ところが2013年度予算から歳入レベルでも「主役」と「脇役」の逆転が起きた。国債発行による収入が税収を上回り、主要歳入源となったのだ。
安倍政権下の2013年度予算は、国債が税収を上回る過去3年間の状況を転換させたとされている。だが実際には、安倍首相はトリックを弄したのだ。1つは、7兆8052億円の国債を前年度補正予算に押し込んだこと、もう1つは巧みに名目を立てて、2兆6110億円の赤字国債を新たに設けた「年金特例公債」としたことだ。2013年度予算の国債発行額は実際には45兆4620億円であり、税収(43兆960億円)を上回る。つまり日本政府は依然として、主に借金に頼って生活しているのだ。
日本の財政制度審議会は1996年、当時の240兆円余りの普通国債残高について次のようにたとえている。「1万円札を積み重ねると、普通国債残高は富士山(標高3776メートル)の630倍の高さに達する。これを倒すと、(航空路線で計算すると)東京-北京間の距離を上回る。毎秒1枚のスピードで数えると、760年余りの時が必要となる」--。
今や、日本の普通国債残高は1996年の3.13倍に増加した。毎秒1枚のスピードで数えると、約2380年必要だ。日本の政府債務がいかに巨額かが想像できよう。2013年度の国債元利償還額は22兆2000億円に達し、歳出の24%を占めている。国債の元利償還に1日608億2200万円を払っている計算になり、1時間だと25億3400万円だ。現在の為替レート(1ドル99.1円)で換算すると、毎日6億1400万ドルを支払わなければならないことになる。極めて脆弱な日本財政が倍々の勢いで増える利息負担に耐えることは困難であり、イタリアの後塵を拝することになるだろう。(編集NA)