17日に党首討論が行われました。
今回も安倍首相は例によって聞かれもしていないこと、的外れなことを空しく述べ立てるだけの、まさに「聞くに堪えない」ものでした。
さすがに堪りかねたのか朝日新聞は、18日の社説でかなり手厳しく安倍首相の発言を批判しました。
それはいいのですが、書き出しのあたりで「議論が全く噛み合っていない」と書いたのは不正確であって、事実は「安倍首相が質問に全く答えていない」と言うべきでした。朝日はそんなことは当然分かっているのですが、そう書いたのでは官邸が逆上するので、敢えて無難な表現を選んだのでしょう。(^○^) でもそれでは肝心の当事者には何も伝わりません。(>_<)
(ブログ)「Everyone says I love you !」氏(弁護士)は、産経新聞の発言詳報を引用しながら安倍語法を解剖しています。
「話にならない」という言葉がありますが、あれだけ的を外した論議の羅列では議事録は一体どういうことになっているのだろうかと、興味をお持ちの人はきっと多いことでしょう。産経新聞の記事は速記録そのものなのでその望みは達成されますが、その結果はあまりにもおぞましいもので、二度と読んでみようという気持ちは起きなくなることでしょう。
紙面の関係でここではその一部の紹介に留めますので、詳細はURLから原文にアクセスしてください。
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安倍首相「そこでそこでよろしいでしょうかそこでですね」「こうしたこうしてこうした事態」 落ち着けw
Everyone says I love you ! 2015年6月18日
(前 略)
岡田代表 「首相がいつも集団的自衛権の行使が必要だといって挙げる(中東・)ホルムズ海峡において、どのような安全保障環境の根本的な変容があったのか」
安倍首相 「安全保障環境の変化については、まさにどの国も一国のみで自国の安全を守ることできないという中において、国際社会がより協力しなければいけないという状況にあるということだ。そこで申し上げると、どの国も一国のみで自国を守りうる時代ではなくなった。サイバー攻撃もある。世界が協力しなければいけない中で、日本も日本の役割を果たしていけない時代になっているということを申し上げている」
岡田代表 「首相は全く私の質問にお答えになっていない。ホルムズ海峡での安全保障環境の根本的な変容は何なんだと聞いている。ホルムズ海峡の例は、私が2月の代表質問で『具体的な集団的自衛権の限定行使の例を挙げてほしい』と言ったとき、首相が最初に挙げられた例だ。安保環境の変容とは一体何があったのか」
安倍首相 「全体として、国際社会全体としての変化において、ホルムズ海峡における機雷掃海について、日本は他の国々に掃海をお任せします。しかし、掃海によってあそこを通って日本に到達することが可能になった石油は使わせてもらいましょう。日本の石油は8割、ガスも多くがあそこを通ってくる。お互いにより助け合わなければならない時代になって、自分たちの安全のために自分たちが能力を使わなくてもよいのか。立法府、政治家の一員としてそこから逃げてはダメなんですよ。そこに向き合って、考えていくことがまさに求められていると私は思う」
テレビや新聞が、安倍首相と岡田氏ら野党の党首との議論が「噛み合わなかった」と表現しているのですが、これ、噛み合わなかったというのですかね。
「安全保障環境の変化については、まさにどの国も一国のみで自国の安全を守ることできないという中において、国際社会がより協力しなければいけないという状況にあるということだ。」って、そんなん、昔からで今に始まったことじゃないでしょう?
「日本の石油は8割、ガスも多くがあそこを通ってくる。」というのも昔からそうです。
安倍首相がいう「安全保障環境の変化」って結局、国際社会がより協力しなければいけないという状況にあるということだ。」、「お互いにより助け合わなければならない時代」になったというだけなんですが、こんなの抽象的すぎますし、自衛隊がアメリカの戦争に加勢する集団的自衛権の行使をしなければいけないほどの変化の説明になっていますか?
安倍首相の場合、討論がかみ合っていないのではなくて、安倍首相が質問に全く答えられないというのが正しいでしょう。
さらにこのあと、岡田代表は、自衛隊が米軍の「後方支援」ができるだけの重要影響事態に加えて、何が加わると自衛隊が相手国を攻撃までできる存立危機事態になるのか、安倍首相が例に挙げている朝鮮半島有事の際にはどのような具体例があるのかを尋ねました。
岡田氏 「首相は私の質問に全然答えていただいていないが、重要影響事態があって、そこで自衛隊が警察行動はやっている。海上保安庁もいる。そういう中で、プラスアルファ何が加わったら、存立危機事態になるのか。首相が言ったのは、法律の定義をそのまま読んだだけじゃないですか。首相が実際に事態の認定をし、そして防衛出動をする。存立危機事態になれば、防衛出動になる、武力行使になる。だから、それは具体的にどういうことなのか。朝鮮半島有事のその例で、どういう時に存立危機事態に総理は認定するのかということを聞いている。お答えください」
(中 略)
安倍首相 「そこで、そこで、よろしいでしょうか。そこでですね、まさに、どういう事態になるかということは、その事態が起こってさまざまな状況を判断をしなければならない。今、あらかじめ、こうしたこうしてこうした事態があるということを今ここで申し上げるということはいかがなものかと思うわけである。つまり、そうならなければ、いわば、そうならなければ、われわれは武力行使をしないということは、これが明らかになってくるわけである。そこで、その上で、その上で申し上げれば、いわば朝鮮半島で、朝鮮半島で有事が起こる中において、米艦船がその対応にあたっていく。これが重要影響事態に当たれば、われわれは後方支援を行う。その中において、某国が東京を火の海にする発言をどんどんエスカレートさせていき、さまざまな状況が、日本に対してミサイル攻撃するかもしれないという状況が発生してくる。その中において米艦船、あるいは、その米艦船がミサイル防衛に関わる艦船であった場合、それを攻撃するということは、その攻撃された艦船を守らないということについては、これはやはり3要件に当たる可能性があるわけだ。
しかし、そういうことをケース、ケースで私が述べていくということは、まさに日本はどういうことを考えているのか、どういうことでなければ、武力を行使しないために政策的な中身をさらすことにもなるから、これは国際的にもそんなことをいちいち全て述べている海外のリーダーというのはほとんどいないということは申し上げておきたいと思う」
小川委員長 「傍聴の方は静粛に願います。そして発言は簡潔に願います」
(中 略)
最後に小川委員長が思わず「そして発言は簡潔に願います」と注意してしまっているのがお笑いなのですが、簡潔じゃないだけじゃなくて、日本語としてどういう意味なのかを汲み取ることさえ至難の業です。
だいたい、安倍首相は、朝鮮有事の際に米国が対応に当たっていて、日本がその「後方支援」をしているだけで「某国が東京を火の海にする発言をどんどんエスカレートさせていき、さまざまな状況が、日本に対してミサイル攻撃するかもしれないという状況が発生してくる。」ということになるのを認めてしまっているんですよね。
それはなぜかというと、「後方支援」=兵站が武力行使と密接不可分な一体のものだからなんです。
(以下略)