LITERAが「週刊ポスト」と「週刊現代」に載った安倍首相のオフ懇※発言を紹介しています。 ( ※ オフ懇=内容を口外しない約束での懇談。オフレコの懇談 )
いまの安保法案は明確に憲法に違反しているし、各条文も抽象的な言葉の羅列で内容が不明確です。問題はこの間、政府からそれに対して明確な答弁が全くなかったということで、それらがクリアになるまで繰り返し糾すしかないのは当然のことです。実に意外なことにそういう自覚が首相には全くないのです。
しかし安倍首相としてはどうやら「完全に回答した」という自覚になっているようなのです。
それによると6月1日のオフ懇では、「(安保法案は)だいたい論点は出尽くした。もう議論することなんかない。(民主党)の岡田さんなんて、いつも同じことばっかり言っている」と語っています。ナントモ解釈に苦しむ言い草で唖然とします。
違和感の根源は、そこには摘出された問題点を解明しなくてならないという、いわば焦燥感とでも言うべきものが皆無なことで、首相にとっては問題点は全て答弁によって解決されたという受け止めになっている点にあります。
そもそも自衛隊を海外に派遣する判断基準を問われて、「武力紛争当事者の意思・能力、事態の発生場所・規模、日本に戦禍が及ぶ可能性や国民に及ぶ被害などの影響の重要性、事態に対処する米軍や外国軍隊の活動内容などを、『総合的にかつ客観的、合理的に判断』する」などとペーパーを読み上げても、何も答えたことにはなりません。岡田氏も条文を読み上げただけだと指摘しています。
しかし安倍首相としてはどうやら「完全に回答した」という自覚になっているようなのです。
それがいわば「国際情勢に目をつぶり、責任を放棄し、従来の解釈に固執するのは政治家としての責任の放棄だ」とまで言い切る、高姿勢につながっているのです。
安倍首相は法案の違憲性を指摘されると、「世界的な情勢が変化したから必要だ」と強調しますが、たとえ必要だと「感じられた」としてもそれが合憲性の根拠になる筈はありません。またときに「法案は憲法に違反していないと確信している」などと語気を強めますが、それもやはり何ほどのことを述べたことにもなりません。
この「論理性の欠如」こそが安倍氏の最大の特徴であり弱点です。彼も多少はそれを自覚しているのか、的外れな多弁をもって糊塗しようとするのですが、それはただただ空しく映るだけのことです。
ハナシはさらに、「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの。だから、やると言ったらやる」・・・、「ほら、待ってれば韓国の方からアプローチしてくるんだよ」、「慰安婦問題は3億円あれば解決できるんだ。でも、カネの問題じゃないからなあ」と、驚くべき展開を見せます。
「オフ懇」は外部に漏れないという前提の話なので、そこでは安倍氏の本音が語られています。
ただ論理性が欠如していて自分の答弁の当否の判断もつかないでいることや、その想念が世間一般の常識からこれほどまでに離れたところにあることが明らかになると、さすがに恐ろしいとしか言いようがありません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
安倍首相が官邸記者とのオフ懇で「安保法制は中国が相手。必ずやる」と戦争宣言!
LITERA 2015年6月25日
安保法制をめぐって、国民の間でこれだけの反対意見が噴出し、憲法学者からも憲法違反を指摘されているのに、安倍首相は反省するどころか、どんどん独善的に、傲慢になっていくばかりだ。
野党の質問に逆ギレし、上から目線で逆質問を浴びせ、まったくつじつまがあってないのに、勝ち誇ったように「安保法制は必要だ」「完全に合憲だ」と繰り返す。先日の予算委員会では、「国際情勢に目をつぶり、責任を放棄し、従来の解釈に固執するのは政治家としての責任の放棄だ」とまで言い切った。
どこかおかしくなってるんじゃないのか?と心配になるくらいだが、しかし、安倍首相は、国会の外ではもっとスゴい発言をしているらしい。
たとえば、「週刊ポスト」(小学館)は、5月15日号の「安倍官邸と大メディア弾圧と癒着の全記録」という特集記事で、新聞記者相手に、安倍首相がこんな発言をしていることを暴露した。
「私の名前はアベノミクスで歴史に残る」
「僕が何をいおうが、(あなたがたは)悪く書けるはずがない」
また、翁長雄志沖縄県知事が菅義偉官房長官の発言を批判した際、安倍首相はこうも言ったという。
「そもそも(粛々という言葉を)上から目線というのがおかしいだろう。『粛々』に失礼だろう」
これらは、新聞もテレビも一切報道していないが、安倍首相は担当記者とのオフレコ懇談でこういった「オレ様発言」を連発しているらしいのだ。
もっと衝撃的だったのは、現在発売中の「週刊現代」(講談社)7月4日号が暴露したオフレコメモだ。
「スクープ入手! 戦争やる気満々安倍オフレコ発言ぜんぶ書く」と題されたこの記事は、6月1日、高級中華料理店「赤坂飯店」で開かれた「オフ懇」の様子が詳細に明かされている。
「オフ懇」というのは、官邸記者クラブのキャップが安倍首相を囲んで行うオフレコの懇親会のことだが、この日は安倍首相にとって“元領袖”にあたる町村信孝前衆議院議員が逝去した日で、安倍首相も弔問に訪れる予定だった。
だが、会は予定通り行われ、安倍首相は赤ワインをグイグイ飲み干したという。
記者が町村元議員について尋ねても、まるで他人ごとのように「いい人だったよね」と表面的な思い出話を語るだけだった。町村氏と安倍首相の仲の悪さは永田町では有名だったが、やはりと思わせるエピソードだ。
しかし、話題が国会、安保関連になると、安倍首相は一転して自説を周囲に押し付けるように語りだしたという。
「だいたい論点は出尽くしたでしょ。もう議論することなんかないのに」
「(民主党)の岡田(克也代表)さんなんて、いつも同じことばっかり言っている。意味がないですよ」
「あんな民主党はもう終わりだよ」
まさに、国会軽視の姿勢を裏付けるような発言。さらに、「週刊現代」はこのオフ懇で起きたもっと恐ろしい事実を暴露している。
集団的自衛権に話が及んだとき、安倍首相はこう言い放ったというのだ。
「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの。だから、やる(法案を通す)と言ったらやる」
ようするに、安倍首相はマスコミの前で、中国との戦争を想定していることを堂々と認めたのだ。集団的自衛権を使って、米軍と一緒に、南シナ海で中国を叩く、と。
しかし、米国が中国との戦争を望んでおらず、むしろ安倍政権に警戒感を強めていることは、アメリカ政治の専門家なら誰もが口をそろえる事実。それを「米国と一緒に中国をやっつける」などと口走るというのは正気の沙汰とは思えない。
ほかにも、この「週刊現代」では安倍首相の、一国の総理とは思えない下品な発言がいくつも明かされている。
6月16日、米会議でTPP関連法案採決が紛糾した際の「まったく、アメリカは何やってんだ! オバマは何やってんだ!」、さらに、日韓国交正常化50周年で、岸田文雄外相と韓国の尹炳世外相の会談が行われることになった際には、こううそぶいたという。
「ほら、待ってれば韓国の方からアプローチしてくるんだよ」
「慰安婦問題は3億円あれば解決できるんだ。でも、カネの問題じゃないからなあ」
いずれにしても、大マスコミは普段、安倍首相のこういった愚劣な正体に接していながら、それを一切国民に知らせず、その情報操作に乗っかって、もっともらしい言い分だけを報道しているのである。
まさに、安倍官邸に首根っこをつかまれて言いなりになっている新聞・テレビの政治部のだらしなさが改めて浮き彫りになった形だが、しかし、その支配の構図もここにきて少しだけ、ほころびが見え始めたとの見方もある。
そもそも、こうした安倍首相の「オフレコ発言」は第二次政権になってからほとんど週刊誌に流出していなかった。官邸が徹底的に記者クラブを監視、威嚇し、記者や現場デスクに「情報漏洩をしたらどんな目に遭うかわからない」という恐怖を植え付けた結果だ。
「それが安保法制審議が始まったあたりから、現場の記者の間で『さすがにこれはヤバい』という空気が広がっている。それでも、自分のところで書くわけにはいかない。そこで、週刊誌に流し始めたということじゃないでしょうか」(全国紙政治部記者)
もっとも、現場には危機感が広がっていても、会社や幹部は相変わらずだ。安倍首相は6月23日沖縄戦没者追悼式で、沖縄県民から“帰れコール”を受け、周囲に当たり散らしたといわれるが、NHKはじめ、多くのマスコミはその“帰れコール”を一切報じることはなかった。
そして、その翌日の6月24日には、東京・銀座の日本料理店「銀座あさみ」で、またぞろ、マスコミ各社の編集幹部との会食が行われた。参加者は、朝日新聞の曽我豪編集委員、毎日新聞の山田孝男特別編集委員、読売新聞の小田尚論説主幹、日本経済新聞の石川一郎専務、NHKの島田敏男解説副委員長、日本テレビの粕谷賢之メディア戦略局長、時事通信の田崎史郎解説委員といういつものメンバーだ。
これでは、週刊誌に時折オフレコ発言が暴露されたところで、状況はまったく変わることはないだろう。 (野尻民夫)