2015年6月18日木曜日

TPP交渉頓挫の可能性がいよいよ大に

 TPP交渉は、米国側の事情で頓挫する可能性が大になりました。まことに願ってもないことです。
 しかしながらその場合でも、これまで米国との2国間協議で譲歩に譲歩を重ねた内容はそのまま生きるということです。それでもSDIなどを伴う非関税障壁の完全撤廃・多国籍企業の無条件上陸を避けられるのは大きな救いとなります。
 
 それにしても既に日米の2国間協議で取り決められたものによる日本側の損失は多大です。
 それはそのまま安倍内閣の売国性を証明するものとして、今後国民に長く記憶されることになります。
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いよいよ頓挫の可能性が高まってきたTPP交渉
天木直人 2015年6月17日
 ジェフ・ブッシュが立候補宣言したことで、米大統領選は本格化する。
 そうでなくとも今年の後半からは米国の政治は大統領選一色となる。
 おまけに今度の大統領選は現職の大統領が8年の任期を終えて立候補しない選挙だ。
 いやがうえでも激戦となる。
 つまり夏以降はオバマ大統領のレームダック化は一気に進むのだ。
 だから、それまでにどうしてもオバマ大統領は米国議会から貿易交渉の一任を取り付けておかなければいけない。いわゆる貿易促進権限(TPA)である。
 
 ところがTPAに関する米国議会の最終投票が7月末までずれ込んでしまった。
 そして、きょう6月17日の産経新聞が書いている。
 ヒラリー・クリントン候補を支持するナンシー・ペロシ民主党院内総務が、TPP反対を議会演説で明言したというのだ。
 これでヒラリー・クリントン候補の反TPP姿勢は決定的になった。
 大統領選挙の本格化と共にTPP問題は霞んでいく。
 
 米国がTPP問題を後回しにすれば、もはやTPPを推進する国はない。
 TPP交渉がとん挫する可能性はいよいよ高まって来たということである。
 またしてもちゃぶ台返しだ。
 安倍政権は一体何のためにTPP交渉で譲歩を繰り返してきたのか。
 TPP交渉が頓挫しても、日本の対米譲歩だけは残る。
 なぜならばそれは日米交渉の合意だからだ。
 米国にいいようにやられている(了)


TPP妥結厳しく 「秘密交渉」不満が噴出
 東京新聞 2015年6月17日
 【ワシントン=斉場保伸】米国議会の反対によって、TPP交渉は妥結が見通せない極めて厳しい状況に置かれることになった。秘密交渉で情報を隠し、国民を蚊帳の外に置いた結果、労働者の雇用への悪影響を懸念する与党・民主党に根強い不信感を植え付けてしまったことが要因といえそうだ。
 
 「TPPで誰が得をするのか。それは多国籍企業であって労働者ではない。戦おう」。民主党のウォーレン上院議員はワシントンで四月に開いた集会でTPP批判の声を上げた。民主党の支持母体である労働団体は「秘密交渉なので中身が分からない。とても民主主義とは言えない」と批判。秘密のまま進められる交渉への不満が強固な反対論となって噴き出した格好だ。
 
 TPPの早期妥結を目指すオバマ大統領にとって、与党である民主党の「造反」は大きな打撃だ。今後これを覆すことができるかが焦点となるが、下院民主党のリーダー、ペロシ院内総務が反対し、さらに次期大統領選に出馬を表明したヒラリー前国務長官がペロシ氏を支持したため、反対派の結束は強まっている。
 
 一方でオバマ氏と手を結び、TPA法案の成立を目指す野党共和党リーダーのベイナー下院議長は、記者団に「われわれはTPAを早期に可決するよう取り組む。方法が見つかったら発表する」と述べるのが精いっぱいだった。
 
 ニュージーランド・ヘラルド紙によるとインタビューに答えた同国のグローサー貿易相は「TPAがなければTPPは妥結できない。今後数週間以内にTPAが成立しなければ、TPP交渉はニュージーランドの選挙の後である二〇一八年まで動けなくなる」との見通しを示しており、長期停滞は現実味を増しているのが実情だ。