自民党の若手議員が立ち上げた「文化芸術懇話会」の25日の初会合で、講師に招かれた百田尚樹氏が「沖縄の二紙はつぶさないといけない」などと述べたことが大問題になっていますが、彼はほかにも「普天間飛行場は元は田んぼだった」、「沖縄の基地地主の年収は何千万円」、「沖縄の性的暴行の件数は米兵よりも地元民によるものの方が多い」などと、沖縄を貶める発言を繰り返しました。
琉球新報はその一つひとつが完全に偽りであることを明らかにしています。
百田氏は何んとも無責任で罪深い人間というしかありません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
普天間飛行場:米軍が住民排除戦前は村役場も
琉球新報 2015年6月27日
【宜野湾】宜野湾市内13区にまたがる米軍普天間飛行場は沖縄戦で1945年4月に本島に上陸した米軍が住民を強制排除し、占拠した。同月下旬に本土決戦に備え、滑走路建設が始められた。
現在の飛行場施設内には宜野湾村役場(当時)や住居、畑、馬場、国の天然記念物に戦前指定されていた「宜野湾並松」などがあり、住民の生活風景が米軍によって奪われた。
米軍は土地接収後、居住していた住民を野嵩収容所などに送り、立ち入りを禁止した。宜野湾市史によると、住民は46年9月に出された宜野湾村嘉数への帰村許可を皮切りに、沖縄戦前に居住していた地域に帰ることが許された。だが、現在の飛行場区域内で暮らしていた人々は帰ることが許されず、周辺への居住を余儀なくされた。神山、中原、新城、宜野湾などの地域ではいまでも多くの土地が接収されたままだ。
また百田尚樹氏が取り上げた普天間飛行場の騒音訴訟で、那覇地裁沖縄支部は(1)騒音の特質から騒音実態を把握することは容易でない(2)地元回帰意識の強さや地理や交通、住宅事情を考慮するとやむなく住み始めた人が相当数いる(3)騒音はいずれ解消されると合理的な見通しで住み始めた人が相当数いる-との判決を下している。
基地周辺に「選んで住んだ」との指摘は当てはまらない
軍用地料:200万円未満が大半
琉球新報 2015年6月27日
百田尚樹氏は「基地の地主たちは年収何千万円だ。だから地主が六本木ヒルズに住んでる。大金持ちだから、彼らは基地なんて出て行ってほしくない。もし基地移転ということになったら、えらいことになる」とも述べた。
だが県基地対策課のまとめ(2013年)によると、県内の軍用地主のうち、軍用地料の受取額は100万円未満が54・2%、100万円以上200万円未満が20・8%を占める。大部分が200万円未満で「年収何千万円」と懸け離れている。
県軍用地等地主会連合会(土地連)の真喜志康明会長は26日、「大きな額をもらっているのはほんの一部。事実とは少し異なる」と述べ、発言は事実誤認だとの認識を示した。
一方、これまで実施されてきた米軍用地の跡地利用は、むしろ県経済を引っ張る発展モデルとして成功を収めてきた。
県企画部は地代収入や軍雇用者所得、基地交付金など返還前に得ていた経済取引額と、商業店舗や製造業の売上高、不動産賃貸額といった返還後の経済取引額とを比較した「直接経済効果」をまとめている。それによると返還前にハンビー飛行場だった北谷町桑江・北前地区で108倍。那覇市小禄金城地区で14倍、那覇新都心地区で32倍とそれぞれ経済活動が大幅に上がっている。
性的暴行件数:単純比較できずに疑問
琉球新報 2015年6月27日
百田尚樹氏は性的暴行の発生率について、在沖米兵に比べて県民の方がはるかに高いとの発言をした。2012年、13年、14年に米軍人・軍属が性的暴行で県警に摘発された件数は1件、0件、1件だった。12年に摘発された日本人は16件に上るなど件数だけで比較すれば、米兵が特別に凶悪との印象は受けない。
だが公務員であり日米地位協定で守られている米兵と、一般県民を同列に比較することを疑問視する声がある。米兵による性犯罪に詳しい宮城晴美氏は「性的暴行の起訴率も十数%という米兵と日本人とは罰せられ方が違う」と話す。
性的暴行の発生件数と認知件数には大きな開きがあるとの指摘もある。捜査関係者は「性犯罪は通報されない事案も多く、認知件数は氷山の一角だ。殺人のように発覚しやすい犯罪の発生率が低いというならともかく、性犯罪の発生率が低いから良いという話にはならない」と語る。
基地内で発生した性犯罪は「基本的には見えない」(同捜査関係者)との声もある。
実際、県警の犯罪統計に基地内で発生した性的暴行は含まれていない。10年10月~11年9月の1年間に在沖海兵隊基地内で発生した性的暴行事件は67件だったと米海軍省と海兵隊本部が発表している。
宮城氏は在沖米兵の性的暴行の発生率は不明としながら「そもそも単純に比較するものではなく、戦後70年間、米兵が女性に好き放題してきた歴史を考えなければいけない」と強調した。