秋の臨時国会は26日に召集されることになりました。官邸側はTPP協定の承認などを確実にするため9月前半の召集を求めていましたが、自民党側には15日に行われる民進党の代表選挙に配慮する必要があるとの意見が根強く、最終的に官邸側がそれを受け入れました。それにしても百害あって一利なしのTPP(環太平洋経済連携協定)の批准になぜそれほどこだわるのでしょうか。
正常な判断力を失っているのか、あるいは端からアメリカに対しては国益の観点を全く捨てているためとしか思えません。しかしよりによって取り返しのつかないことになる愚行を、何故躊躇することもなくしようとしているのでしょうか。
安倍政権の対米従属はあまりにも明らかですが、実はEUも似たようなもので基本的にはアメリカに牛耳られています。
そのEUでもTPPのEU版であるTTIPの交渉が行われていて、既に14回の交渉が行なわれたということです。しかし腐っても鯛というか、さすがにEUの首脳たちはキチンと批判的な意見を口にしています。
ドイツのシグマール・ガブリエル副首相兼経済・エネルギー相は、「TTIPに関する交渉は本質的に失敗した。ヨーロッパ人は、アメリカの要求に服従したくないためだ。」と述べました。
またフランスのヴァルス首相は「TTIPはEUの利益を尊重していない。TTIPはノーだ」と述べたと伝えられています。
総合的な力関係によって最終的にTTIPがどう決着するのかは分かりませんが、日本の閣僚のようにただひたすらTPPを賛美するというような愚かなことはしていません。
「マスコミに載らない海外記事」に掲載されたロシア・トデーの記事を紹介します。
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‘EUとアメリカ間のTTIP交渉は事実上失敗した’- ドイツ経済相
マスコミに載らない海外記事 2016年9月 1日
Russia Today 2016年8月28日
EUとアメリカの環大西洋貿易投資連携協定、TTIPに関する交渉は本質的に失敗したと、ドイツのシグマール・ガブリエル副首相兼経済・エネルギー相は述べた。
(関連記事)
’TTIPは‘EUの利益を尊重していない’: フランスのヴァルス首相、環大西洋貿易投資連携協定に‘ノン’と発言。 https://www.rt.com/news/348499-valls-france-eu-ttip/
“アメリカ合州国との交渉は、誰も実際に認めようとはしていないが、事実上、失敗したというのが私の考えだ”と、経済相はZDFの司会者に語ったが、日曜日放送予定のインタビュー書き起こしによれば下記の通りだ。
“[彼ら]が失敗したのは、ヨーロッパ人は、アメリカの要求に服従したくないためだ。”
14回の交渉で、両者は議論されている協定の一章たりとも、共通の基盤を見いだすことができなかったと彼は述べた。障害の一つには、公共入札を、ヨーロッパ企業に開放するのを、アメリカが反対したことがある。
“私から見れば、これは自由貿易に反します" ガブリエル経済相は以前この問題について、こう発言していた。
アメリカ政府は、自由貿易協定は、2016年末までに署名すべきだと主張しているが、ドイツのみならず、多数のヨーロッパ諸国による強い反対にあっている。
多国籍企業の利益を、多国籍企業が操業する国の国益より優先し、ヨーロッパの労働基準や、環境保護基準を損なうTTIPは危険だと反対する人々は主張している。
ガブリエルは、TTIPを、EUとカナダが交渉している自由貿易協定、包括的経済貿易協定(CETA)と比較し、そちらの方が各当事者にとって、より公平だと彼は述べた。
ヨーロッパの各国民も、TTIP協定の内容が秘密なので不満だ。とは言え、最近の漏洩で、TTIPが、食品安全法規、環境法規、金融規制に悪影響を及ぼし、EUを遺伝子組み替え作物に対して開放することを示唆している. 協定に反対する人々は、多くのヨーロッパの都市で、抗議行動をしている。最近では、先週末、ベルリンで行われ、活動家たちが、9月17日の全国規模デモ行動を呼びかけた。
‘一般庶民の利益に関するものではない’
未曾有のTTIP抗議行動のせいで、貿易交渉の運命について、大西洋両岸の政治家たちは “本当に懸念しており” 連中に、協定をお蔵入りにする口実をさがすよう強いているのですと、ジャーナリストで、元ベルギー議会副議長のロデ・ヴァンホストはRTに語った。
“この協定に反対する抗議行動は、これまでの他の協定では見られなかったものです。この多国間投資協定のような大型協定が、以前、大衆の抗議行動で阻止された実績があります”とヴァンホストは述べた。
“彼らは交渉丸ごと延期する打開策を探しているのです”と彼は言った。
ヴァンホストによると、ガブリエル経済相のTTIP批判は、ドイツの支配エリート内の権力闘争という可能性がある。しかし彼は、協定そのものが、アメリカと、ヨーロッパの支配エリートとの間の協定であって、一般庶民とは無関係だと言う。
“これは自由貿易の話ではなく、協定でさえありません。これは基本的に、アメリカと欧州連合の経済エリート間の、国民の意思に反する連中の権益を守るための取引です。”
ワシントンがEUとの自由貿易協定を強引に押し進めようとしているもう一つの理由は、ロシアとEUの経済関係の発展を阻止するためです。 “過去数十年間進行してきた変化 – 終始進んできた、ロシアとの経済関係を阻止する” のが狙いです。
“第二次世界大戦が終わって以来、ずっとアメリカが阻止したがってきたものです”と ヴァンホストは述べた。