自・公の幹事長、国会対策委員長が7日会談した際に、重大犯罪の計画を話し合うだけで罪に問えるようにする「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を巡り、公明党は9月26日召集の臨時国会への提出に難色を示しました。
共謀罪は、特定の犯罪が実行されていなくとも、2人以上の人が話し合うなどして合意するだけで適用されることから、警察・検察によりいくらでも恣意的に運用することができて、人権侵害の可能性の極めて高いものです。
しかも適用される罪種は600以上(700近く)と言われていて、その及ぼす悪影響は甚大なのでこれまで3度国会に提案されましたが廃案になってきました。それを名称を「テロ等組織犯罪準備罪」と変えて今度の国会で無理やり成立させようとしているわけです。
NHKは5日、公明党の山口代表が「共謀罪」の法案の提出に理解を示したと報じました。
一体何を考えているのかと唖然としましたが、今度の幹事長・国対委員長会談では公明党は提出に難色を示したということです。極めて当然のことでぜひその態度を堅持すべきです。
(関係記事)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
公明、「共謀罪」提出に難色 与党幹部会談「内容の検討必要」
東京新聞 2016年9月7日
自民、公明両党の幹事長、国会対策委員長が七日、都内で会談し、重大犯罪の計画を話し合うだけで罪に問えるようにする「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を巡り、公明党は九月二十六日召集の臨時国会への提出に難色を示した。
公明党の大口善徳国対委員長は、臨時国会で審議する法案はたくさんあると指摘し「(組織犯罪処罰法改正案が)提出されたとしても、成立する見込みはない。提出するだけで良いのかどうか、与党内でしっかり議論すべきではないか」と求めた。共謀罪を巡っては、政府の拡大解釈による人権侵害が指摘されているだけに、公明党は自民党に慎重な対応を求めたといえる。
大口氏は法案の内容についても「公明党としてもテロ対策の必要性はあると思うが、法案がどういう犯罪を対象にするのかや、組織犯罪の定義をどうするかなどについて、与党内でもいろいろな議論がある」として、適用要件を厳格にするために与党内で十分に議論する必要があると伝えた。
共謀罪は複数の人が犯罪を行うことを話し合って合意(共謀)しただけで罪に問えるようにする犯罪。政府は「共謀罪」の名称を「テロ等組織犯罪準備罪」に変え、対象となる集団を絞り込むなど適用要件を厳しくした上で、臨時国会への提出を検討している。
菅義偉(すがよしひで)官房長官は、自公両党の幹部会談後の記者会見で「国際社会と協調して組織犯罪と戦うことは重要だ」として法整備の必要性を強調。その上で「国会審議で(法案への)不安や懸念が示されていることも事実。内容、提出時期も含めて慎重に検討中。提出する際には与党で中身をしっかりと詰める」と述べた。
公明 山口代表 「共謀罪」法案の提出準備に理解
NHK NEWS WEB 2016年9月5日
公明党の山口代表は訪問先のキューバで記者団に対し、「共謀罪」の構成要件を厳しくして罪名も変更する、組織犯罪処罰法の改正案をめぐり、法務省が国会提出の準備を進めていることに理解を示す一方、提出にあたっては内容の説明を十分尽くすべきだと指摘しました。
テロなどの謀議に加わった場合に処罰の対象となる「共謀罪」をめぐって、法務省は適用範囲を限定し、構成要件を厳しくしたうえで、「テロ等組織犯罪準備罪」に罪名を変更する組織犯罪処罰法の改正案を、早期に国会に提出したい考えで準備を進めています。
これについて公明党の山口代表は、日本時間の5日午前、訪問先のキューバで記者団に対し、「2019年のラグビーのワールドカップや、2020年の東京オリンピックなどを控え、日本も国内法をきちんと整備して、テロが起きない法的環境を整えていくことは重要だ」と述べ理解を示しました。
一方で山口氏は、「過去の『共謀罪』の議論では、あらぬ誤解も多々あったので、いたずらな懸念が及ばないよう、テロの防止に効果があるのかどうかなど、わかりやすく説明する必要がある」と指摘しました。