稲田防衛相は17日に予定していた南スーダン訪問を、服用した抗マラリア薬でじんましんを発症したという理由で取りやめましたが、その直後(17日)に南スーダンPKOに参加している陸自宿営地の隣で銃撃戦がありました。実は7月にも陸自宿営地の隣のビルで2日間にわたって銃撃戦が起きたということです。それで怖くなって「逃げた」のではないかと、普段は稲田氏に優しいネット右翼も非難しています。
安倍政権は稲田防衛相に南スーダンを訪問させ、それを安保関連法に基づく『駆け付け警護』などの新任務を陸自に付与するきっかけにするというシナリオを描いていたのですが、それは修正を余儀なくされました。
PKO(国連平和維持活動)は本来戦闘行為が終了(停戦合意が成立)しているところで行われるものです。南スーダンの現状はまだ戦闘が続いている状態なので、そういうところにPKOの名目で自衛隊を派遣すべきではありません。まして防衛省のトップが怖くていけないところであれば尚更です。
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稲田大臣ドタキャン直後に銃撃戦 南スーダンPKOは火に油
日刊ゲンダイ 2016年9月22日
〈逃げたのか〉
安倍政権に優しいネット住民も、さすがに非難ごうごうだ。
17日に予定していた南スーダン訪問をドタキャンした稲田朋美防衛相の話。事前に服用した抗マラリア薬の副作用でじんましんを発症したから、というが、中止を決定した直後の17日に、南スーダンPKOに参加している陸自宿営地の隣で銃撃戦、と報じられた。
陸自は黙っていたが、7月に首都ジュバで大規模な戦闘が発生した際、陸自宿営地の隣のビルで2日間にわたって銃撃戦が起きていたことが明らかに。ネット住民は〈稲田大臣は怖くなって逃げ出したんじゃないか〉と噛みついているのだ。
「安倍政権は、稲田防衛相に南スーダンを訪問させ、それを受けて安保関連法に基づく『駆け付け警護』などの新任務を陸自に付与するシナリオを描いていた。政権にとっては重要な“イベント”だったはずなのに、体調不良を理由にすっ飛ばしたわけで、うがった見方が出るのも当然です。まあ、訪問中にドンパチが起きたら、新任務付与もへったくれもない。安保関連法に対する批判も高まるでしょう。安倍政権もそれは避けたい」(官邸事情通)
稲田大臣が逃げ出したとしてもおかしくないほど、南スーダンは緊迫している。7月の大規模戦闘ではジュバで270人以上が死亡、陸自宿営地の隣で起きた銃撃戦でも政府軍兵士2人が死亡したという。宿営地内では流れ弾とみられる複数の弾頭も見つかっている。
菅義偉官房長官は「武力紛争ではない」と言っていたが、いくらなんでも無理があるだろう。九大名誉教授の斎藤文男氏(憲法)がこう言う。
「『紛争当事者間で停戦合意が成立』『受け入れ国を含む紛争当事者の同意』といったPKO参加5原則が崩れていることは、誰の目にも明らかでしょう。安倍政権が“国連協力”の名目で5原則を強引に突き崩し、いずれ駆け付け警護から武力行使を既成事実化しようという魂胆が透けて見えます。しかし、安倍政権がPKOをゴリ押しすれば、PKOに対する批判を強めている南スーダン政府軍との溝が広がる危険がある。内紛の火に油を注ぎかねません」
平和維持活動が聞いて呆れる安倍政権の横暴を許しちゃダメだ。