これは面白いニュースです。
一つはその書きぶりで、安倍首相がヒラリーに「TPPの早期発効を目指す」と語ったのに対して、「TPPに反対する考えを表明しているヒラリー」が「同様の考え」を伝えたとなっていることです。通常そう書けばヒラリーも「早期発効を目指す」と語ったことになりますが、タイトルを見るとその逆で実際は「批准はしない」と語ったのです。
NHKとしては、ヒラリーがあからさまにTPPに反対したと伝えると、今度の臨時国会でTPPを批准しようとしている安倍首相の意向への妨げになることを惧れて、敢えて「同様の考えを伝えた」という表現にしたのでしょう。しかしなぜかタイトルはそれを裏切っているわけです(NHKの良心をそこに残したのかも知れません)。
ヒラリーはいま次期大統領になれるかどうか予断を許さぬ状況で、そのためアメリカの体制側は総力をあげてヒラリーを応援しています。彼女が当選を勝ち取るまでは、国民が大反対しているTPPの批准に「自身も反対」と表明することを、体制側も許さざるを得ない状況下にあります。
つまりこのニュースは、彼女が「本心はTPPに賛成」などということはおくびにも出せないという事情がある中で、安倍氏が公然とTPP賛成を述べたという、「不見識さ」を伝えるものになっている訳です。
それはともかくとして公共放送であるべきNHKがこんな風に安倍首相に肩入れして、真実をごまかすことは勿論許されません。
同時に安倍首相にもしも一片の愛国心があるのであれば、これを好機にしてTPPの批准は取りやめるべきです。まさに安倍首相に愛国心があるかどうかを示す試金石です。
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クリントン氏 安倍首相にTPP反対の考え伝える
NHK NEWS WEB 2016年9月20日
アメリカを訪れている安倍総理大臣は日本時間の20日朝、アメリカ大統領選挙の民主党の候補、ヒラリー・クリントン前国務長官と会談し、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の早期発効を目指す考えを示したのに対し、TPPに反対の考えを表明しているクリントン氏は同様の考えを伝えました。
この中で安倍総理大臣は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について、基本的価値を共有する各国が経済の絆を深めていくことは地域の安定にも資するなどとして意義を強調し、早期発効を目指す考えを示しました。
これに対し、「雇用を奪うあらゆる貿易協定を阻止する」などとして、TPPに反対する考えを表明しているヒラリー・クリントン前国務長官は同様の考えを伝えました。
TPPをめぐっては、オバマ大統領は来年1月までのみずからの任期中に、アメリカ議会の承認を目指す考えを示しています。
一方、安倍総理大臣は「アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増している中で、日米同盟の重要性はさらに高まっている。地域や世界の平和と安定に貢献していくうえにおいて、さらに日米同盟を強化したい」と述べました。
これに対し、クリントン氏は「日米関係はアジアのみならず、世界において平和と繁栄を実現していくうえで必要な要素だと考えている」と述べ、両氏は地域や世界の平和のために日米同盟は重要だという認識で一致しました。
また、クリントン氏は各地でテロが相次いでいることに触れ、「テロ対策への努力を倍増しなければならない」と指摘しました。
日本政府高官によりますと、会談ではこのほか、北朝鮮情勢や海洋の安全保障をめぐっても意見が交わされたということです。