2026年8月31日月曜日

青天井の概算要求がいよいよ始まる…高市政権は「禁じ手」で市場の反乱を抑え込めるのか

 円安を誘導しインフレを期待する一方で大企業・輸出産業を大儲けさせた「アベノミクス」はこの30年間の日本経済の停滞を仕上げるものであって、現在の日本の困窮の大きな原因になっています。
 高市内閣は「責任のある積極財政」=「サナエノミクス」を謳い、「アベノミクス」を受け継ぐものとしていますが、その円安・インフレ政策は既に完璧に破綻しています。
 政権にとってインフレは何よりの得策なのですが、円安を狙う一方で放漫財政を指向することを市場が危険視した結果、長期金利は上がり、国債は暴落するという恐ろしい事態が生じ、債務償還費と利払い費を合わせた国債費は年間36兆6千億円に高騰しました。
 それに加えて政府は27年度までの5年間の防衛費総額を約43兆円と決め、高市氏はGDP比2%にアップさせる目標を2年前倒しで達成し、年末に控える安保関連3文書の改定ではトランプの要求に従ってGDP比3.5%への引き上げを目論んでいます。
 高市氏にはもともと国民の生活安定に対する配慮などはありませんが、国民生活を苦しめる「円安」も「物価高騰」も歯止めが利かなくなりました。
 思い返すと「アベノミクス」は一部の学者から提案されてスタートしたものでした。その学者は早々にその誤りを認めたのですが、安倍元首相(と日銀総裁)はそのまま10年間も突っ走ったのでした。
 しかし「サナエノミクス」については、経済の専門家が誰も評価していない中で突っ走ろうとしています。恐ろしいというしかありません。

 日刊ゲンダイが「 高市政権は『禁じ手』で市場の反乱を抑え込めるのか」とする記事を出しました。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
青天井の概算要求がいよいよ始まる…高市政権は「禁じ手」で市場の反乱を抑え込めるのか
                         日刊ゲンダイ 2026/08/27
                      (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
「責任ある積極財政」の名の下、上限を設けない概算要求、支持率下落を恐れてガソリンバラマキの継続、市場の警戒を恐れて、GPIFや郵貯、果ては新NISAに国債を買わせる魂胆もあるらしい。ドル借り介入も含めて禁じ手ばかりの政権に、長期金利をコントロールできるのか。
  ◇  ◇  ◇
 高市首相の金看板「責任ある積極財政」に呼応し、2027年度予算の概算要求は「過去最大」のオンパレードだ。対GDP比2倍を上回る1100兆円超の借金を抱えるこの国で、青天井の放漫財政がついに本格化する。再び破綻の道をまっしぐらではないのか。不安を抱かなければウソである。
 27年度の政府の予算編成作業を前に、各省庁が必要な費用を提出する概算要求の締め切りは今月末。高市は大型の補正予算に依存する慣習から脱し、可能な限り当初予算へ一本化するとの建前で、予算要求の上限であるシーリング(天井)を取っ払った。それで都合よくハメ込んだのが、肝いりの「強く豊かな日本」投資枠だ。40年度までに官民で370兆円超を投じる成長戦略の足がかりにしようと、無制限の予算要求を可能にした。
 その結果、概算要求は「過去最大」が続出し、総額(一般会計)が初めて130兆円を超える見通しとなった。例えば、厚労省は26年度当初予算比4.4%増の36兆5803億円。高齢化に伴う社会保障費の膨張に加え、「強く豊かな日本」投資枠に約1兆円を計上したためだ。成長戦略を旗振りする経産省は投資枠分に4兆5250億円を盛り込み、前年度比2.5倍の約7兆7268億円。総務省は3.0%増の21兆9171億円、文科省は49.2%増の8兆7750億円といった具合である。
 トランプ米大統領のご機嫌取りの延長に位置付けられた防衛費の増加も急ピッチだ。概算要求では8兆9000億円を計上する一方、事業概要だけで具体的な金額を示さない「事項要求」が多く盛り込まれ、年末に向けた予算編成過程で10兆円を突破するとみられている。政府は27年度までの5年間の防衛費総額を約43兆円と決め、高市はGDP比2%にアップさせる目標を2年前倒しで達成。年末に控える安保関連3文書の改定で、トランプの要求に従ってGDP比3.5%への引き上げをもくろんでいるためだ。

権力誇示で拡大均衡へ
 そうした財源なき財政拡張を象徴しているのが、財務省の概算要求である。26年度当初予算比15.1%増の38兆6948億円のうち、債務償還費と利払い費を合わせた国債費が36兆6386億円を占める。市場が高市政権の放漫財政を懸念し、長期金利の代表的指標である新発10年物国債の利回りが3%目前まで上昇。そのため、利払い費の算出に使う想定金利を26年度の3.0%から3.8%程度に引き上げざるを得なくなったのだ。
 それでも高市は、市場の評価よりも人気取りを優先。内閣支持率の急落に焦って食料品の消費減税などを強行したのに続き、ガソリン補助金の支給継続も決めた2022年から断続的に実施され、投入された血税は9兆円を超えている。米国とイランの関係改善は見通せず、中東発エネルギー不安が解消されるメドは立たないのに、手じまいを求める自民党内の声も無視である。
 経済評論家の斎藤満氏は「権力を誇示するため、カネをたくさん動かす。それが自民党の政治です。経済オンチの高市首相の政治手法はまさに典型。必然的に拡大均衡に向かうことになる」と指摘し、こう続ける。
26年度当初予算は約122兆円で、高市政権発足後間もない25年12月に成立した25年度補正予算は約18兆円だった。合わせた約140兆円が27年度当初予算の目安とされていますが、各省庁が『事項要求』を乱打していることから、最終的に150兆円を超えるのではないか。巨大歳出の大半を国債で手当てするほかありませんから、市場へのマイナスインパクトは強烈。インフレと金利上昇を促進させる政策を取りながら、市場の警戒を恐れてGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や、ゆうちょ銀行に国債を買い支えさせたところで弥縫策です。個人向け国債に税制優遇措置をして、新NISA(少額投資非課税制度)の対象にするのも同じこと。高市政権は日銀に再び国債を購入させる腹積もりでしょうが、そうなれば利上げしても金融政策効果は帳消量的緩和と引き締めを同時にやるなんてメチャクチャで、円安も物価上昇も歯止めが利かなくなります」

利上げ阻止しても国債増発で金利上昇
 文春砲によると、高市は財源なき消費減税に反対する読売新聞の老川祥一主筆を秘密裏に公邸に招き入れ、「物価高によって、年々増える税収による財源確保を説明した」という。
 巷間言われている通り、庶民の暮らしを犠牲にするインフレ増税で当座をしのごうという算段だったわけだが、それとて打ち出の小づちではない。
「日本の税収弾性値からいって、想定される税収増は10兆円程度。不足分は国債増発で手当てするほかない。事情をのみ込んでいる財務省が想定金利を3.8%とする以上、誰もがさらなる金利上昇を予想しますから、国債の買い手はつきません」(斎藤満=前出)
 日本の金利高波及を嫌がる米国は、高市政権に利上げを繰り返し要求し、先月末には協調介入に踏み込んだ。それで、米連邦準備制度の「外国・国際通貨当局向けレポ・ファシリティ」を使って円安を食い止めるよう指図も受ける羽目となった。政府が保有する米国債を担保にFRBに金利を払って一時的にドルを調達し、米金利を上昇させずに介入資金を持続的に用立てできる仕組みで、異例の手段である。禁じ手ばかりの政権に長期金利をコントロールできるのか。
 金融ジャーナリストの森岡英樹氏はこう言う。
9月中旬に開かれる日銀の金融政策決定会合での利上げは織り込み済みとの解説もありますが、果たしてどうか。日銀法で金融政策の独立性が定められているものの、事実上、政治が政策を決めています。高市政権はあからさまに利上げを牽制し続けている。一方で、国債増発を市場は見透かしています。結果として、金利上昇を抑え込むことなんてできないでしょう」

沖縄県知事選が天王山
 党内基盤が弱い高市にとって頼みの綱であるトランプとの関係は温まらず、足元では支持離れも広がる。そうした中で27日、天王山となる選挙が告示された。沖縄県知事選(9月13日投開票)だ。
 3選を目指す玉城デニー知事(66)、自民などが推薦する前那覇市副市長の古謝玄太氏(42)の一騎打ちの構図。郵政改革相を務めた船舶運航会社会長の下地幹郎氏が自民との政策合意を理由に出馬を取りやめたため、デッドヒートの様相である。自民が下地と交わした合意書にはこう書かれていた。
沖縄県の子どもの貧困対策予算を300億円確保する
沖縄本島の鉄軌道の実現に向けて、5年で着工のメドをつける
2030年G7サミットを沖縄県に誘致する
辺野古移設工事を工程通り進め、2036年に終了させ、その後速やかに普天間基地を返還する。その期日を明らかにする
 27年度の沖縄振興予算の概算要求は2897億円で、県が求める3000億円台を6年連続で下回っている。にもかかわらず、古謝が勝って自民が12年ぶりに県政を奪還すれば、基地問題も含め善処すると読める。もっとも、手形には不渡りがつきものだ。現職が3選を果たせば、選挙後に先送りされた内閣改造・党役員人事もどうなるか分からない。留任はまだしも、沈みゆく泥舟に新たに乗り込む物好きはそういまい。沖縄の民意にこの国の浮沈もかかっている。