2013年5月24日金曜日

学者たちが「96条の会」を結成 改定反対を呼びかけ +


 自民党は憲法96条の改定を参院選の公約から外すのではないかという観測が一時流れましたが、やはり盛り込む方針で 31日に正式に決定するということです。
 そんななか憲法学者や政治学者たちが発起人となって「96条の会」を発足させ、代表の樋口陽一東大名誉教授らが23日、「96条改正は憲法の存在理由そのものへの挑戦だ」とする声明を発表しまし
 発起人には樋口陽一代表のほか、長谷部恭男東大教授、山口二郎北海道大教授、それに9条改正が持論の小林節慶応大教授など、計36人の著名な学者たちが名を連ねています。
 学者の良心によせる国民の信頼とそのアピール力に期待したいものです。
 6月14日には東京都内でシンポジウムが予定されています。
 
 以下に東京新聞の記事を紹介します。(24日付記事に差し替え
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改憲・護憲派 声そろえ 「96条守らねば憲法破壊」
東京新聞2013年5月24日 
 安倍晋三首相が意欲を示す憲法九六条の先行改憲に反対する憲法学や政治学の研究者でつくる「九六条の会」が発足し、代表の樋口陽一東大名誉教授らが二十三日、東京・永田町で記者会見した。護憲派だけでなく、改憲派の論客として知られる小林節慶応大教授も発起人として参加。この日は超党派の議員連盟「立憲フォーラム」も会合を開き、改憲手続きの緩和を阻止する動きが加速してきた。
 「憲法の破壊だ」「政治家集団の暴走」。会見では、九六条の先行改憲への批判が噴出した。
 九六条は改憲の発議に衆参両院で三分の二以上の賛成が必要と定めている。安倍首相はこれを過半数に緩和する改憲の是非を参院選の争点にする構えだ。
 樋口名誉教授は「憲法改正権(九六条)によって、その条文自体を変えるのは、法論理的に無理な話」と指摘。「国民が決断するための材料として、国会で三分の二の数字を集めるのが国会議員の職責。それを軽視し、過半数で国民に丸投げするのはおかしい」と述べた。世界的にも、改憲手続きを緩和する改憲をした例は「知る限りない」という。
 山口二郎北海道大教授は「九六条の争点化は前代未聞で、保守政治の劣化だ」と話し、強い危機感が会の発足につながったことを強調した。
 立憲フォーラムは一般公開で小林教授の講演会を開き民主、社民、共産の国会議員ら約百人が参加。幹事長の辻元清美衆院議員は「立憲主義という言葉が広がり国会の空気は変わってきた」と話した。
◆保守論客・小林教授も参加
 小林節教授は約三十年間、自民党の勉強会で指南役を務め、自衛軍や新しい人権の規定を唱える改憲論者。だが、九六条先行改憲の問題が浮上して以降は、テレビやインターネットの討論番組に精力的に出演し、真っ向から反対の論陣を張っている。
 九六条の会の発足会見に出席した後も超党派の議員らの前で講演。「生まれて初めて、(護憲派の)樋口名誉教授と同じ側に座った」と笑いを誘い、それほどの危機的状況であることを強調した。
 小林教授は「『憲法を国民に取り戻す』と言いながら、権力者が国民を利用しようとしている」と安倍首相を批判。国民の義務規定を増やした自民党の憲法草案についても「憲法は国民でなく権力者を縛るもの、という立憲主義を理解しておらず、議論にならない」と切り捨てた。
 この数週間の議論で国民の立憲主義への理解が深まったと感じているといい「今後も、(衆参両院の)三分の二の賛成を獲得できるような改憲論を堂々と語りたい」と持論を述べた。