産経新聞が、夏の参院選で改憲勢力が「3分の2」になる可能性があるとする試算を公表しました。
もしもそうなれば、まず憲法96条の改憲要件の緩和を発議して国民投票に掛け、あとは米軍の無給の傭兵になる国防軍をつくり、基本的人権は「公益および公の秩序」に反しない範囲に抑えるという、「大日本帝国憲法」下の体制の再来を目指すということになります。考えたくもないことです。
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改憲勢力「3分の2」視野、96条改正現実味
産経新聞試算 公明抜きでも残り3議席
産経新聞 2013年5月1日
参院選後は憲法改正が実現か ― 。7月21日投開票が有力視される参院選について産経新聞が実施したシミュレーション結果によると、自民党や日本維新の会、みんなの党などの改憲勢力は、非改選議席を合わせて参院定数の「3分の2」近くに達することが分かった。3党を除く他党などから3人以上が改正賛成に回れば「3分の2」を超えることになり、改正に慎重姿勢を取る与党の公明党が賛成しなくても憲法改正は視野に入ってくる。(小田博士)
憲法96条は、憲法改正には「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」をもって国会が発議し、国民投票にかけるとしている。
衆院(定数480)では現在、自民が294、維新が54、みんなが18の各議席を得ている。合計すると3党で366議席。「3分の2」ラインの320議席をすでに突破している。
これに対し、参院(定数242)の「3分の2」ラインは162議席。この数字を超えられるかどうかが参院選の焦点となる。
非改選(121議席)での自民、みんな、維新の3党は半数にあたる計60議席。これに、憲法改正に前向きな新党改革や無所属(自民党出身で会派を離脱している副議長を含む)を加えれば合計63議席になる。差し引きすると、改憲勢力が参院で「3分の2」に達するためには、7月の参院選で99議席以上を得る必要性がある。
産経新聞は昨年12月の衆院選比例代表の各党得票数に基づき、参院選で「維新とみんな」、「生活の党と社民党」がそれぞれ選挙協力態勢をとり、各選挙区で候補を擁立するという前提条件のもとで試算した。
その結果、自民が63議席、「維新・みんな」が計33議席をそれぞれ獲得し、合わせると96議席となった。これは改選121議席の8割を占めるが、非改選議席を合わせて参院で「3分の2」を占めるには3議席足りない。
公明党は、安倍晋三首相が意欲を示す96条改正に対して「過半数で改正するやり方を認めると、軟らかくなりすぎる」(山口那津男代表)と慎重姿勢を取る。
しかし、公明党の賛同が得られなくても、改憲派と護憲派が混在する民主党などから3人以上が賛成すれば、改正に手が届く。
もっとも、この試算には、昨年の衆院選以降の政党支持率などは加味していない。しかも、安倍内閣や自民党の支持率は衆院選直後よりも上昇し、民主党の政党支持率は逆に低迷している。仮にこの情勢が参院選まで続くと、改憲勢力が「3分の2」を超える可能性はさらに高まるともいえる。