アメリカのシンクタンクが、現在1万5千~2万人いるとされる在沖縄海兵隊員を米本土に移し5千~8千人にまで削減し、本島にある別の飛行場を海兵隊が限定的に使用することにより普天間基地を返還する。米国は事前集積艦を日本の領海に駐留させ、危機の際には移転した海兵隊が西太平洋に迅速に復帰できるようにするとの提言をまとめたということです。
もともと海兵隊は敵地を強襲しそこに上陸するための部隊であって、彼らが沖縄に駐留しているのは日本の防衛のためではありません。日本の為政者たちもアメリカの言うことにひたすら従うのではなくて、せめて提言の立場にたって普天間基地からの米軍撤退を主張すべきです。
そういう姿勢は全く見せない安倍首相が8日、参議院予算委員会でまたも「敵基地攻撃能力」の必要性を主張し集団的自衛権の行使に言及しました。
アメリカには深く隷従する一方で、近隣諸国に対しては武力の拡大やその行使をほのめかすという「虎の威を借る狐」ぶりです。その好戦性も含めてとても平和国家のリーダーとは言えません。
以下に東京新聞のNHKニュースの記事を紹介します。
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海兵隊削減で辺野古移設回避を 米研究員ら提言
東京新聞 2013年5月8日
米シンクタンク「ブルッキングズ研究所」のマイケル・オハンロン上級研究員は8日までに、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を名護市辺野古に移設する現行計画に対し、沖縄の海兵隊員削減などにより辺野古移設を回避する提言をまとめた。
ジョージ・ワシントン大のマイク・モチヅキ教授との連名。沖縄県が日米専門家の論文などをまとめた報告書「変化する日米同盟と沖縄の役割」に寄稿した。
現在1万5千~2万人いるとされる在沖縄海兵隊員を米本土に移し5千~8千人にまで削減、有事に米本土から西太平洋地域へ迅速に展開するなどで、普天間返還を速やかに実行すべきと強調した。 (共同)
首相 抑止力の観点で敵基地攻撃議論を
NHK NEWS web 2013年5月8日
安倍総理大臣は、参議院予算委員会で、自衛隊が、自衛のために敵の基地などを攻撃する能力、いわゆる「敵基地攻撃能力」について、抑止力の観点から議論していく必要があるという考えを示しました。
この中で、安倍総理大臣は、日本の防衛の在り方について、「盾は自衛隊、矛はアメリカ軍と、両方合わせて抑止力としているが、果たしてそれで十分なのか」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は、いわゆる「敵基地攻撃能力」について、「国際的な影響力もあるので、慎重に議論しなければならない。相手に、日本に対して攻撃することは、自分たちの国益、国民の命にも大きな影響力があると思いとどまらせる抑止力を効かせるうえで、どうすべきかという議論はしっかりしていく必要がある」と述べました。
また、安倍総理大臣は、歴代の政府が憲法解釈上、許されないとしている、集団的自衛権の行使について「日本の領土の近辺で、日本のために警備しているアメリカの艦船の近くに、自衛隊の艦船がいて、アメリカの艦船が攻撃されたときに助けなくていいのかという問題がある。実際に助けなかったら、同盟そのものが大きな危機に陥る」と述べました。
そのうえで、「最終的には、政府として解釈を決定すべきで、現在、有識者懇談会で議論している。日本の安全と、地域の平和と安定をより高めていくための解釈でなければならない」と述べ、解釈の変更に意欲を示しました。