2013年5月2日木曜日

改憲手続き緩和反対54%、9条改憲反対52% 朝日調査


 朝日新聞が行った郵送世論調査では、改憲手続き緩和に反対が54%賛成38%)、9条改憲に反対が52%(賛成が39%)という結果で、安倍政権唱えている96条の改正要件緩和について有権者は慎重であることが分かりました。
 また一票の格差が違憲状態の中で選ばれた議員が改憲の提案をすることについて、「問題だ」が54%「問題ではない」が38%)でした。
 この結果に対して作家の雨宮処凛さん映画監督・作家の森達也さん神戸大名誉教授の浦部法穂さんがそれぞれ意見を述べています。

 一方読売新聞が衆参両院の全国会議員を対象に行ったアンケート調査によると、改憲の発議要件を定めた憲法96条について、自民党は96%、日本維新の会は98%、みんなの党は96%が「改正すべきだ」と答えたのに対して、民主党は25%、公明党は11%にとどまりました。

 以下に朝日新聞と読売新聞の記事を紹介します。
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改憲手続き緩和 賛成38%、反対54% 世論調査

 憲法記念日を前に朝日新聞社は全国郵送世論調査を行い、憲法に関する有権者の意識を探った。それによると、憲法96条を変え、改憲の提案に必要な衆参各院の議員の賛成を3分の2以上から過半数に緩める自民党の主張について、反対の54%が賛成の38%を上回った。9条についても「変えない方がよい」が52%で、「変える方がよい」の39%より多かった。 
 96条の改正要件緩和については、自民党が昨年作った憲法改正草案で主張。最近は安倍政権も唱えているが、有権者は慎重であることが浮かび上がった。 

 衆院と参院の一票の格差が是正されない状態で選ばれた議員が改憲の提案をすることについて尋ねると、「問題だ」が54%、「問題ではない」が38%。改憲手続き緩和の自民党の主張に賛成の層でも、44%が「問題だ」と答えた。

 5月3日は憲法記念日。朝日新聞社が憲法をテーマに行った全国郵送世論調査の回答を見て、作家の雨宮処凛さんは不思議がった。「もしこれが1人の人間の思考だとしたら、とても心配。ものすごく矛盾していて……」。映画監督・作家の森達也さんは、9条を変えないという人が多かったのは「意外だった」と驚いた。神戸大名誉教授の浦部法穂さんは、今の国会議員は「憲法をいじる資格はない」と手厳しい。好調アベノミクスと同時進行する改憲の動き。3人の識者が語る憲法と日本社会とは――。 

■雨宮処凛さん「人間1人の思考なら矛盾」 憲法世論調査
 「いまの憲法を変える必要がある」という人が半数を超え、その理由で最も多かったのが「国防の規定が不十分だから」だという。それでいて「9条を変えないほうがよい」が半数を超える。もしこれが1人の人間の思考だとしたら、とても心配。ものすごく矛盾していて、どんな人間かわからない。 
 しかし、ある意味、いまの日本を象徴しているのかもしれない。 
 「戦争」とか「国防軍」とか「軍隊」という言葉には強い嫌悪感を示す。9条は守るべきだという人は多い。けれども、参院選で投票するとき、重視する政策を聞けば「憲法」は最下位。かなりの国民は、本気でどーでもいいと思っている気がする。自民党の憲法改正草案を読んでいる人が一体どれだけいるのでしょうか。 

■映画監督・作家で明治大特任教授の森達也さん 
 憲法9条を変えない、という意見が多かったのは、意外だった。 
 総選挙では予想通りというか、予想を上回るほどの自民党圧勝だった。小選挙区のマジックを差し引いても、自民党や安倍政権への支持が強いのは間違いない。票を入れた人の多くは、憲法9条改定にも賛成なのだろう、と思い込んでいた。だが、調査結果では、景気浮揚策への期待から政権を支持しても、憲法9条改定までは支持していないことが浮かび上がる。自民党や安倍晋三首相には、軌道修正を期待したい。 
 ただし僕は、がちがちの護憲派ではない。半世紀以上たっているのだから、時代に合わない要素があればマイナーチェンジしてもいい。でも9条も含め、基本理念は安易に変えるべきではない。 

■神戸大名誉教授の浦部法穂(のりほ)さん 
 憲法9条を変えない方がよいという人も、96条の改憲手続きを緩める自民党案に反対という人も5割を超えた。改憲賛成が5割を超えたといっても理由は非常に散らばっていて、最も多くの人が理由に挙げた「国防の規定が不十分」でも全体の3割にとどまっている。国会の論調だけをみると改憲ムードが非常に強いが、国民は割合冷静に見ているのではないか。 
 そもそも憲法改正権は国民にあるのだから、改憲は国民の側から「国会で案を作れ」という声が起きてから初めて国会が議論するものだ。ところが、憲法で行動を制約され、命じられる側の国会、まして統治権の中枢の内閣が今の憲法では都合が悪いからといって改憲を主導するのは本末転倒でおかしい。

憲法96条、自・維・みんな9割超が改正に賛成
読売新聞2013年5月2日
 読売新聞社は、3日の憲法記念日を前に、憲法に関するアンケート調査を衆参両院の全国会議員を対象に実施した。
 回答した議員のうち、改正の発議要件を定めた憲法96条について、自民党は96%、日本維新の会は98%、みんなの党は96%が「改正すべきだ」と答え、3党いずれも改正賛成が9割超に上った。一方、民主党は25%、公明党は11%にとどまり、政党間の違いが鮮明になった。調査では衆参両院の全議員716人(欠員5と参院山口選挙区補欠選挙当選者を除く)のうち、439人が回答した。回答率は61%。調査結果は、憲法改正を巡る各党の現状を反映しており、今後の与野党の論議や憲法改正の動きにも影響を与えそうだ。
 衆参各院の「3分の2以上」の賛成を必要とする96条の発議要件を巡っては、安倍首相(自民党総裁)や橋下徹・日本維新の会共同代表(大阪市長)らが過半数の賛成で発議できるよう改正を先行させる必要性を訴えている。