毎日新聞が行った電話による世論調査では憲法96条の改定に反対が46%で賛成42%を上回りました。一方9条については改正すべきが60%で改正すべきでないの32%を大きく上回りました。
またNHKが行った電話による世論調査では、憲法96条の改定に反対が24%で賛成26%とほぼ拮抗し、9条については改正すべきが33%で改正すべきでないの30%とやはりほぼ拮抗しました。
以下に二つの記事を紹介します。
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毎日新聞世論調査:憲法96条改正 反対46%
毎日新聞 2013年5月3日
毎日新聞が4月20、21日に実施した電話による全国世論調査で、憲法96条に定められた改憲発議に必要な衆参両院での「3分の2以上」の賛成を、「過半数」に引き下げることの是非を聞いたところ、反対は46%で、賛成の42%を上回った。「憲法を改正すべきだと思う」は60%で、「思わない」の32%を大きく上回った。憲法改正を必要としながらも、改憲手続きの緩和には慎重な意見も根強い。
調査の方法が異なるため単純に比較はできないが、毎日新聞の09年9月の世論調査(面接)では改憲賛成が58%、12年9月の調査(同)では65%で、改憲賛成が多数を占める状況が続いている。今回、憲法9条についても「改正すべきだと思う」は46%で、「思わない」の37%を上回った。
一方、「憲法を改正すべきだ」とした人の59%が、改憲の発議要件の引き下げに賛成、37%が反対と答えた。また、「9条を改正すべきだと思う」とした人では、63%が引き下げに賛成し、35%が反対した。
安倍晋三首相は、96条改正を参院選の争点とする考えを示しているが、自民支持層でも改憲の発議要件の引き下げに賛成したのは約5割にとどまった。公明支持層で賛成したのは約3割。民主支持層で賛成したのは約4割、維新支持層では約5割だった。【青木純】
「憲法改正の必要あると思う」42%
NHK NEWS web 2013年5月2日
3日は憲法記念日です。
NHKが行った世論調査によりますと、「憲法を改正する必要があると思う」と答えた人は42%で6年前の調査とほぼ同じだった一方で、「改正する必要はないと思う」と答えた人は16%で、前回より低くなったことが分かりました。
NHKは、先月19日から3日間、全国の18歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行い、2685人のうち60%に当たる1615人から回答を得ました。
憲法改正について
この中で、今の憲法を改正する必要があると思うか尋ねたところ、「改正する必要があると思う」が42%、「改正する必要はないと思う」は16%、「どちらともいえない」が39%でした。
NHKでは、国民投票法が成立した6年前にも同じ調査を行っていますが「改正する必要があると思う」という回答はほぼ同じだった一方で(前回41%)、「改正する必要はないと思う」という回答は8ポイント低くなり、「どちらともいえない」は9ポイント高くなりました。
「憲法を改正する必要があると思う」と答えた人に理由を聞いたところ、「時代が変わって対応できない問題が出てきたから」が75%と最も多く(前回73%)、次いで「国際社会での役割を果たすために必要だから」が15%など(前回18%)、6年前の調査と同じ傾向でした。
「憲法を改正する必要はないと思う」と答えた人に理由を聞いたところ、「戦争の放棄を定めた憲法9条を守りたいから」が53%と最も多くなりましたが、6年前の調査よりは9ポイント低くなりました。
また、「多少問題はあるが改正するほどのことはないから」と答えた人は36%で、6年前より10ポイント高くなりました。
憲法9条について
「憲法9条」について改正する必要があると思うかどうかを聞きました。
「改正する必要があると思う」が33%、「改正する必要はないと思う」が30%、「どちらともいえない」は32%で、ほぼ同じ割合で並びました。
このうち、「改正する必要があると思う」という回答は6年前の調査よりも5ポイント高くなりました。
一方で、「改正する必要はないと思う」という回答は11ポイント低くなりました。
9条を「改正する必要があると思う」と答えた人に理由を聞いたところ、「自衛力を持てることを憲法にはっきりと書くべきだから」が47%、「国連を中心とする軍事活動にも参加できるようにすべきだから」が32%などとなりました。
9条を「改正する必要はないと思う」と答えた人に理由を聞いたところ「平和憲法としてのもっとも大事な条文だから」が66%、「改正しなくても、憲法解釈の変更で対応できるから」が16%などとなりました。
憲法96条について
国会が憲法改正を発議する要件を定めた憲法96条についてです。
96条が定めた憲法改正の発議に必要な条件を、衆参両院のそれぞれで、すべての議員の「3分の2以上の賛成」から「過半数の賛成」に緩めるべきだという主張があることについて知っているかどうか聞いたところ、「よく知っている」(17%)と「ある程度知っている」(36%)が合わせて53%でした。
これに対して、「あまり知らない」(30%)と「まったく知らない」(15%)が合わせて45%と、全体の半分近くが現在の議論について十分知らないと答えています。
さらに、96条が定めた憲法改正の発議に必要な条件を、両院のすべての議員の「3分の2以上の賛成」から「過半数の賛成」に緩めるべきだという主張について賛成か反対かを聞いたところ、「賛成」が26%、「反対」が24%でほぼ同じだったのに対し、「どちらともいえない」が47%で半数近くとなりました。
調査結果について専門家は
調査結果について、憲法改正を求める立場の慶應義塾大学の小林節教授は「憲法改正は避けて通れないという認識が、次第に一般にも広がってきたことがうかがえる。
国民が幸福に暮らすために国家があり、主権者である国民がその国家を使うためのマニュアルとして憲法がある。だから、よりよい見直しをする『バージョンアップ』は当然のことだ。今こそすべての人が気兼ねなしに憲法改正を論じあう時期だ」と話しています。
一方、現在の憲法を守る立場の早稲田大学の水島朝穂教授は「憲法改正に反対の意見が減っているが、これは、国の安全保障政策や外交政策と憲法の問題を混同して『憲法を変えればうまくいく』と誤解している人が多いためではないか。現在の周辺諸国との問題は、憲法問題ではなく日本の安全保障政策の欠陥であることを国民に知らせたうえで、憲法についてじっくりと議論をすべきだ」と話しています。