産経新聞とフジテレビの合同世論調査で、自民と維新の連携を支持する意見が前月の20.7%から10.7%へと半減しました。
橋下氏の慰安婦発言を「不適切」としたのが75.4%にのぼるなど維新への支持が失速し、今夏の参院選比例代表の投票先を維新としたのは前月より4・4ポイント減の6・4%になりました。
安倍首相は一時は、公明が反対してもより保守色の強い維新やみんなと連携することで憲法改正に道が開けると踏んでいたようですが、橋下氏の慰安婦問題をめぐり維新との軋轢が顕著になりました。
同時に維新とみんなの選挙協力も解消されました。
参院選を前にして自・維・みの3党は今バラバラの状態になっています。
自民が参院選の公約で謳うとしている「憲法96条の改定」については、「反対」が52・0%で「賛成」の32・3%を大幅に上回りました。前月は「反対」44・7%、「反対」が42・1%と微差だったので、このひと月の間に96条問題がメディアでも少し取り上げられるようになったことの反映と思われます。
ただ安倍内閣の支持率が65・6%と依然として高く、憲法改正※に「賛成」が61・3%と「反対」の26・4%を大きく上回っているのは気になるところです。
※改正項目は指定されていません
以下に世論調査結果の記事を紹介します。(産経新聞はテーマごとに記事を区切っていますので、他のテーマについては同紙電子版記事を参照下さい)
+ 併せて憲法改正に向けた自民・公明・維新・みんなの各党の方向性の違いに関する東京新聞の記事を紹介します。
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改憲勢力結集に影、自維連携派は10%に半減
産経新聞 2013.5.27
日本維新の会共同代表、橋下徹大阪市長の慰安婦に関する発言で維新への支持が急落したことは、安倍晋三首相(自民党総裁)が目指す参院選後の改憲勢力の結集に影を落としている。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、自民と維新の連携を望む回答が前回4月の20.7%から10.7%へと半減した。維新、みんなの党との連携を想定してきた首相は、戦略の練り直しを迫られている。
慰安婦問題をめぐっては、自民と維新の軋轢(あつれき)が顕著になっている。
「私たちは政府・与党が一体となってやっている。『二枚舌』とか、そういうご発言は気をつけてなさっていただきたいものだ」
自民党の石破茂幹事長は27日の記者会見で、橋下氏が旧日本軍による慰安婦募集の強制性を認めた河野談話に対する政府・自民党の姿勢を「二枚舌だ」と批判したことに反論した。
合同世論調査では、参院選後の自民とみんなの連携を望む回答も前回並みの5.3%にとどまり、逆に「どの政党とも連携すべきでない」との回答が33.5%から41.5%へと8ポイントも増加。公明党との連立維持を望む意見も18.3%から20.5%に微増した。
自民党を支持する保守層には、公明が反対しても、より保守色の強い維新やみんなと連携することにより憲法改正に道が開けるとの見方が強かった。首相も一時、「公明抜き」を検討したふしがある。
ところが、維新は橋下氏の発言により失速し、一方のみんなは維新との選挙協力を解消し、参院選での連携先として民主党を模索している。このまま維新の失速や、みんなとの選挙協力が頓挫したままでは、改憲勢力の議席が憲法改正の発議に必要な3分の2に届かない可能性がある。
公明党を除いた「自維み」による連携シナリオが風前のともしびとなったことを見透かしてか、公明党の井上義久幹事長は27日の大阪市内での講演で、自民党が単独過半数を獲得するのは困難だと指摘。その上で「よほどのことがない限り、自公政権は続く」と強調した。(水内茂幸)
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自公の溝 くっきり 衆院憲法審 検証ひと区切り
東京新聞 2013年5月27日
衆院憲法審査会は今年三月から始めた現行憲法の章ごとの検証をひと通り終えた。論点整理を通じ、連立政権を組む自民、公明両党の距離や、日本維新の会、みんなの党など改憲勢力の中の方向性の違いが浮き彫りになった。 (岩崎健太朗)
「党の改憲草案を用意したことで議論が活発になり、雰囲気が以前とだいぶ変わってきた。(改憲の発議に必要な)三分の二以上も見えてきたと思う」
自民党憲法改正推進本部長代行の船田元氏はこう議論の手応えを強調した。公明党の斉藤鉄夫氏も「党内で加憲の具体案を詰める上で、大いに参考になった」と述べた。
しかし、こうした評価とは裏腹に、審査会の議論を通じ、自公両党の憲法に対する「立ち位置」の違いが鮮明になった。自民党が重視する九条改憲の中身に、公明党は「(党内では)集団的自衛権の行使は認めるべきではないとの意見が大勢だ」と反対する姿勢を強めた。
斉藤氏は、自民党が改憲案で外国人への地方参政権付与を禁じていることにも「公明党は(相手国と同じ権利を与える)相互主義の立場だ。外国ではほとんど地方レベルの選挙権が付与されており、選挙権の付与には一定の論拠がある」と反論した。
安倍晋三首相が九六条改憲に向け「多数派を形成する上で協力を求めたい」と呼び掛けた日本維新の会、みんなの党とも、改憲の優先順位が異なることが明らかになった。
両党は統治機構改革に向け「一院制」「首相公選制」「道州制」を改憲項目に掲げるが、自民党の改憲草案には盛り込まれていない。逆に、与党が前向きな環境権の新設には、維新の一部から「中身がまだよく見えない」という声が漏れる。
みんなの党に至っては「改憲の前に政治、官僚制度改革などやるべきことがある」と、拙速な改憲に待ったをかけてきた。「美しい国、強い日本といった見た目のよい衣の陰に、国防軍などのやいばを隠した戦時下の国家体制を賛美する勢力とは根本的に異なる」(畠中光成氏)と、自民党が目指す改憲との違いを際立たせ始めた。
審査会は委員五十人のうち、自民党の委員が三十一人を占めるが、空席が目立った。二十三日の審査会で共産党の笠井亮氏は「議論が必要だと言っておきながら委員が出ない。こちらは真剣だ」と自民党を批判した。