22日の朝日新聞の小さな囲み記事に、ペルーの通商観光相が朝日新聞の取材に対して「(TPPでの)関税の例外化はいかなる場合も認められない。例外なき撤廃は事前に合意した筈だ」と語ったと載っていました。マスメディアはこんな風に密やかにしか書けないようですが、記事は小さくともそれが厳然たる事実なのでしょう。
水産物などの1次産品が輸出の75%を占めているペルーは、今後10年でTPP加盟各国への輸出額が4倍になると予想しています。その有力な相手国である日本に関税の壁を立ちはだからせる筈もありません。
国益は守ると言い、2月の日米首脳会談であたかも主要品目の聖域化が保証されたかのように振舞った安倍首相は、この頃は全くTPPには触れません。代わりに石破幹事長がにわかに「10年かけて農家の所得を倍増させる」と言い出しました。勿論農業従事者のTPPへの反発を和らげる狙いからです。10年後といえばTPPに参加すればその頃に日本の農業が壊滅するといわれている時期、あり得ない話です。
国債の長期金利がついに1%を超えました。この先もしも外国勢が国債を手放せば暴落するといわれています。TPPはそれほど急激ではないにしても、日本の受けるダメージは同じように絶大です。百害あって一利もないTPPからは一刻も早く離脱すべきです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
TPP例外化「認められぬ」 ペルー通商観光相
朝日新聞2013年5月22日
環太平洋経済連携協定(TPP)の第17回交渉会合が15日から聞かれているペルーのホセ・ルイス・シルバ通商観光相が20日、朝日新聞の取材に応じ、日本側がコメや砂糖の関税撤廃の例外を求めていることについて「例外なき撤廃は事前に合意していたはずだ。いかなる場合も認められない」と述べた。
ペルーは近年、年率6%前後と高い経済成長を遂げている。その背景としてシルバ氏は「20年にわたって進めてきた経済開放路線が、外国投資を呼び込み、国内産業の競争力を生んできた」と説明した。
またペルーからの輸出は、鉱物や水産物などの一次産品が75%を占める。TPPを通じて「食用の水産物や、工業製品など付加価値の高い商品の輸出拡大を図り、輸出産品を多様化していきたい」と意欲を示した。今後10年でTPP加盟各国への輸出額は4倍になると予想する。
例外なき関税撤廃に慎重な姿勢を崩さない日本に対しては「工業製品などの市場が開けるメリットは大きい。(ライバルの)韓国がもしTPPに参加したとすれば、日本にとって状況はさらに難しいものになるだろう」と牽制した。
(リマ=岩田誠司)