NHKが10日~12日に行った世論調査では、96条改定に賛成が20%・反対が35%でした。
しかし「憲法を改正する必要があると思うか」に対しては、「改正する必要がある」が31%・「改正する必要はない」が26%・「どちらともいえない」が36%、また、自民党の「憲法9条を改正し国防軍を保持する」に「賛成」が27%・「反対」が26%・「どちらともいえない」が40%で、憲法改正についての民意は「どちらともいえない」の人たちの帰趨如何にかかっていることが明らかになりました。
96条の先行改定を目指していた自民党は世耕弘成氏や船田元氏がTV番組で慎重論を述べるなどして、参院選で公約に掲げることへの熱意は急速に失われています。公約に掲げないこともあり得るということです。
一方、そんななか超党派の「96条改正議連」総会が13日に開かれて、約100人が出席しました。議連に参加した議員の数は衆院選前に比べて110人も増え、自民、民主、日本維新、みんな各党など計約350人に達したということです。
諸外国の成文憲法の殆どが硬性憲法であり、憲法改正のルール自体を変えた例は世界でもないといわれる中で、これほど多くの国会議員が議連に参集するとは理解ができません。
以下に関連の記事を紹介します。
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安倍内閣の支持率 65%
NHK NEWS web 2013年5月13日
NHKが行った世論調査によりますと、安倍内閣を「支持する」と答えた人は、先月より1ポイント下がって65%で、「支持しない」と答えた人は、1ポイント下がって18%でした。
NHKは、今月10日から3日間、全国の20歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。
調査の対象となったのは1701人で、62%に当たる1046人から回答を得ました。
(中 略)
憲法改正について、聞きました。
今の憲法を改正する必要があると思うかどうか聞いたところ、▽「改正する必要があると思う」が31%、▽「改正する必要はないと思う」が26%、▽「どちらともいえない」が36%でした。
憲法96条は、国会が憲法改正を発議するためには、衆議院と参議院それぞれで、すべての議員の「3分の2以上の賛成」が必要と定めていますが、自民党が、これを「過半数の賛成」に緩めて、憲法改正を発議しやすくすべきだと主張していることについて、▽「賛成」が20%、▽「反対」が35%、▽「どちらともいえない」が39%でした。
また、自民党が、憲法9条を改正し、国防軍を保持することを盛り込むべきだと主張していることについては、▽「賛成」が27%、▽「反対」が26%、▽「どちらともいえない」が40%でした。
そして、ことしの夏の参議院選挙の投票にあたって、憲法改正の問題を考慮するかどうか聞いたところ、▽「大いに考慮する」が15%、▽「ある程度考慮する」が50%、▽「あまり考慮しない」が24%、▽「まったく考慮しない」が4%でした。
96条改正:自民に慎重論…推進の超党派議連は総会
毎日新聞 2013年05月13日
世耕弘成官房副長官は13日夜、BS日テレの番組に出演し、7月の参院選について「(憲法改正は)聞かれれば答える。優先すべきは経済と政治の安定だ」と述べ、改憲を積極的に争点化することに慎重な考えを示した。自民党の船田元憲法改正推進本部長代行もBS11の番組で「先行改正は公明党にとって一番のネックとなっており、慎重だ」と語った。自民党内で、改憲の発議要件を緩和する96条の先行改正を参院選で公約に掲げることへの熱意は急速に失われてきている。
一方、96条改正を目指す超党派議連は13日、国会内で約1年5カ月ぶりに総会を開き、自民党、民主党、日本維新の会、みんなの党の国会議員約100人が出席した。議連会長の古屋圭司国家公安委員長は「国民に憲法改正に賛成か反対かと聞いてみる環境を作るのが改正の提案理由だ」とあいさつした。
だが、96条の先行改正に強い意欲を示した安倍晋三首相は10日、「国民的議論が高まっているかといえば、そうではない」と発言。自民党の石破茂幹事長は13日の記者会見で「96条だけが取りざたされているが、全体を議論する機運が阻害されることがないよう留意したい」とくぎを刺した。
自民党内でさえ96条先行改正に慎重になっているのは、報道各社の世論調査で96条改正への賛成が反対を下回る結果が相次ぎ、参院選で争点に掲げる利点が見いだせないためだ。月内にもまとめる参院選公約でも憲法改正の優先順位は上位にならず、96条の先行改正に触れない可能性も出ている。【仙石恭、木下訓明、飼手勇介】
96条先行「難しい」 環境権とセット改正も―自民・船田氏
ウォールストリート・ジャーナル2013年5月13日
自民党の船田元・憲法改正推進本部長代行は13日夜、BS11の番組で、憲法改正の発議要件を定めた96条の先行改正について、「96条単独ではかなり厳しい」との認識を示した。
船田氏は「(憲法の)どこをどう変えるか分からないうちに96条改正というのは、危機感や懸念が国民に結構あると思う」と指摘。同時に「新しい人権や環境権など比較的多くの政党が賛成するものとセットで出すことも考えなければならない」と述べた。 [時事通信社]
超党派「96条改正議連」再始動 参加議員350人に達する
産経新聞 2013年5月13日
超党派の「96条改正議連」総会で講演するジャーナリストの櫻井よしこ氏(右)=参院議員会館講堂(酒巻俊介撮影)
憲法改正の国会発議要件を3分の2から過半数へ緩和することを目指す超党派の「憲法96条改正を目指す議員連盟」(96条議連)は13日、昨年の衆院選後初の総会を国会内で開き、再始動した。議連参加者は自民、民主、日本維新、みんな各党などから計約350人に達し、衆院選前を110人以上も上回った。96条改正の是非が争点となる夏の参院選に向け、改憲派が大きな一歩を踏み出した。
総会には各党の議員約100人が出席。規約変更を了承し、会長には自民党の古屋圭司国家公安委員長が選ばれた。また、中曽根康弘元首相が「96条をまず考える運動ができたことは憲法改正の門を開くものだ」とのビデオメッセージを寄せ、講師に招かれたジャーナリストの櫻井よしこ氏は「憲法改正をためらう理由はどこにもない。超党派で頑張っていただきたい」とエールを送った。