9日、原水爆禁止2013年世界大会・長崎の閉会総会が、会場に入りきれず廊下にまであふれる7000人が参加したなかで行われました。
長崎大会では平和宣言で、政府がこの4月、国際会議で提案された核兵器の非人道性を訴える共同声明に署名しなかったことを批判したことが注目されました。
「長崎 原爆投下68年 平和宣言で政府を批判」、東京新聞は8月9日の夕刊でそう報じました。また共同通信も、起草委員会の作成した長崎平和宣言案に政府批判の文言が登場したことが分かると、「長崎市、平和宣言原案で政府批判」と報じました。
「なぜ賛同できないのか。その理由をお聞かせいただきたい」、「いかなる状況でも核兵器を使用しないことが人類の利益であることは、被爆地としては当然だ」と、4月24日、田上長崎市長はジュネーブの国連欧州本部で天野・軍縮会議政府代表部大使に詰め寄ったということです。同席していた長崎市幹部は、普段は冷静でにこやかな市長の鬼気迫る表情に驚いたといいます。その場には松井広島市長もいましたが、自民党系の同市長は広島平和宣言に政府批判の文言を載せることはしませんでした。
総会で採択された「長崎からのよびかけ」では、真っ先に「被爆70年であり、NPT再検討会議が開催される2015年にむけ、核兵器禁止条約の交渉開始を求める世論と運動の巨大なうねりをつくりだしましょう」と、呼びかけています。
以下にしんぶん赤旗の記事と「長崎からのよびかけ」を紹介します。
(広島大会では「広島からのよびかけ」が採択されています。それを8月7日付の「原爆の日 広島で平和記念式典」に追記しました。
事務局の操作ミスで11日付の記事位置に移動してしまいましたので、あしからずご了承下さい)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2015年に向けて、核廃絶世論大きく 世界大会・長崎おわる
しんぶん赤旗 2013年8月10日
長崎への原爆投下から68年を迎えた9日、長崎市で原水爆禁止2013年世界大会・長崎の閉会総会、市主催の平和式典が行われました。世界大会でも平和式典でも、「核兵器のない世界」という被爆者の願いを受け継ぐとともに、2015年に開催される核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けて、核兵器廃絶を求める国内外の圧倒的な世論をつくりだすことを誓い合いました。式典で田上富久(たうえとみひさ)市長は政府に対して「被爆国の原点に返れ」と訴えました。
長崎市民会館体育館で開かれた原水爆禁止2013年世界大会・長崎の閉会総会は、会場に入りきれず廊下にまであふれる7000人が参加しました。「長崎からのよびかけ」を採択。「被爆70年であり、NPT(核不拡散条約)再検討会議が開催される2015年にむけ、核兵器禁止条約の交渉開始を求める世論と運動の巨大なうねりをつくりだそう」と訴えています。
「2015年にむけた被爆国からの決意」として、長崎の代表をはじめ6人が発言。「2015年ニューヨークへ」のコーナーでは、大阪、福島など日本と海外の青年が次つぎに登壇し、廃絶にかける思いや運動の決意をぶつけました。自治労連青年部の岡崎加奈子さんは「生きているうちに核兵器廃絶を実現したい。この被爆者の願いを、日本、世界のみなさんと力を合わせて国連へ届けたい」。
核軍縮をめざす青年ネットワーク、核兵器禁止世代(BANg)のジェシカ・ヘルツさん=オーストリア=(25)は、「いま高まっている機運を生かすチャンスです。被爆者、政府、老いも若きも一緒に、核兵器の完全禁止めざしてがんばりましょう」と訴えると、大きな拍手が湧きました。
海外代表5氏が発言。アメリカの映画監督オリバー・ストーン氏が、長崎の被爆2世の女性、青年とトークしました。
原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の安井正和事務局長が行動提起。次回NPT再検討会議を20カ月後に控えているとし、9月を皮切りに、新たな気持ちで全国の市町村で「核兵器全面禁止のアピール」署名をさらに大きく広げようと訴え、「被爆国日本がふさわしい役割を果たせるよう、被爆者とも原発被災者とも力を合わせよう」と呼びかけました。
長崎からのよびかけ
私の顔や手をよく見てください。よく見てください。世界の人々、そしてこれから生まれてくる人々、子どもたちに、私たちのようにこのような被爆者に、核兵器による死と苦しみをたとえ1人たりとも許してはならないのであります――
(山口仙二 1982年第2回国連軍縮特別総会での演説より)
アメリカによる長崎への原爆投下から68年がたちました。
多くの被爆者が、自らの苦しみを通じて核兵器の残虐性を伝え、「核兵器をなくせ」と訴えつづけてきました。その声は世界に響きわたり、核兵器廃絶を求める世論と運動を築きあげてきました。
いま各国政府の間に、核兵器の非人道性を告発し、その禁止を求める流れが急速にひろがっています。2010年核不拡散条約(NPT)再検討会議の「核兵器のない世界」への合意の実行をせまる新たな動きです。
被爆者とともに歩んできた私たちは、被爆の実相をさらにひろげ、この流れをいっそう強めて、「核兵器のない世界」への道を切り拓(ひら)く決意です。
被爆70年であり、NPT再検討会議が開催される2015年にむけ、核兵器禁止条約の交渉開始を求める世論と運動の巨大なうねりをつくりだしましょう。
300万筆を超えてひろがる「核兵器全面禁止のアピール」国際署名の運動を、地域ぐるみ、職場ぐるみの取りくみでさらに発展させましょう。秋の国連総会や来春のNPT再検討会議準備委員会などを節目として、国連本部に署名の山を積み上げましょう。ソーシャルメディアも活用し、平和行進などの多様な行動を草の根からひろげましょう。国連や諸国政府、平和市長会議をはじめとする自治体との共同を強めましょう。
「原爆展」や被爆体験を語る集いなどの取りくみを強め、被爆の実相を広範な人びとに伝えましょう。原爆被害の過小評価を許さず、原爆症認定制度の抜本的改善と国家補償を求めて、被爆者への援護・連帯を強めましょう。被爆二世・三世とともに、被爆体験を若い世代へと継承する取りくみを発展させましょう。
核兵器の非人道性を告発し、その禁止を求める共同声明への参加を拒否した日本政府への批判をひろげ、非核三原則の厳守とアメリカの「核の傘」からの離脱、被爆国にふさわしい役割の発揮を強く求めましょう。
ヒロシマ・ナガサキをくり返すなの決意がこめられた憲法第9条を守り生かす運動を大きく発展させましょう。沖縄はじめ米軍基地の縮小・撤去を求める運動、集団的自衛権の行使など日米軍事同盟の強化に反対するたたかいをさらに強めましょう。軍事費の削減、福祉の向上、くらしと雇用の改善、地球環境保護などを求める人びととの連帯を大きくひろげましょう。
「核の被害者をつくらせない」の願いをひとつに、原発の再稼働と輸出に反対し、原発からの脱却と自然エネルギーへの転換を求める運動との共同をいっそう強めましょう。核兵器と原発との危険な関係や放射線被害の実態について学び、知らせましょう。
被爆者とともに、若い世代とともに、いまこそ「核兵器のない世界」の扉をひらきましょう。
ノーモア・ナガサキ! ノーモア・ヒロシマ! ノーモア・ヒバクシャ!
長崎を最後の被爆地に――
2013年8月9日
原水爆禁止2013年世界大会・長崎