憲法会議は3日、「安倍首相の法制局長人事、麻生副総理のナチス美化発言など憲法破壊策動に抗議する」声明を出しました。
声明は、麻生副総理の「ナチス憲法」に関する発言はナチスの美化にとどまらずに、安倍内閣がこれからとろうとしている手法を述べたものであるとして、安倍内閣が集団的自衛権の行使を容認する安保法制懇の報告を受けて、防衛計画の大綱見直しや国家安全保障基本法を内閣法案として提出するに当たり、予め内閣法制局長官を交代させて審査に当たらせるという手法は、ナチス流のやり方にも等しいものであるとしています。
声明はさらに、麻生氏の大臣・議員の辞職と小松氏の法制局長官への任用の撤回を求め、広範な共同の運動でそうした安倍首相の憲法破壊の策動を阻止することを呼びかけています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【声明】
安倍首相の法制局長人事、麻生副総理のナチス美化発言など
憲法破壊策動に抗議する
2013年8月3日
憲法会議
第二次世界戦前のドイツでワイマール憲法を停止においこんだ「ナチスの手口に学んだらどうだ」との麻生太郎自民党副総裁の発言(7月29日)は、たんに麻生氏個人の妄言ではなく、まさに安倍内閣がこれからとろうとしている手法を述べたものであり、断じて容認できません。
安倍首相は、第一次内閣時代いらい集団的自衛権の行使に執念を燃やしてきましたが、第二次内閣ではその具体化に踏み込むべく、秋の臨時国会の冒頭には、「憲法第9条のもとで許容される実力の行使の範囲を超えるものであり、許されない」とのこれまでの政府の憲法解釈変更を公然と宣言することが報じられています(「毎日」7月30日)。すでに集団的自衛権行使容認の第一次報告書をまとめている政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)も、第一報告書よりさらに踏み込んで、集団的自衛権行使を全面的に容認する第二次報告書を秋までに提出するとしており、政府・自民党はこれらを受けて防衛計画の大綱の見直しとともに、すでに決定している国家安全保障基本法案の国会提出の機会をうかがっています。
安倍首相は、国家安全保障基本法は議員立法ではなく内閣提出の法案として提出することを言明しています。重大なのは、安倍首相がこの閣法提出にむけて内閣法制局長官の配置転換をうちだしていることです。閣法は内閣法制局の同意を得たうえで閣議決定しなければなりませんが、これは、内閣法制局がこれまで一貫して集団的自衛権行使は憲法上許されないことを明言したてきたことへの対応であることは明らかです。しかも後任の内閣法制局長官には、安保法制懇の第一次報告書作成に携わり、「集団的自衛権についての解釈見直し派」と言われている小松一郎氏をすえるに至っては言語道断というほかありません。
安保法制懇の報告書の承認や防衛計画の大綱見直しなどを国会の承認すら得ない閣議決定どおりおこない、その上にたって国会での多数をテコとした法律の制定によって集団的自衛権行使を「違憲」から「合憲」に転換する手法は、麻生氏が賛美するナチス流のやり方で憲法9条を停止に追い込み、自民党改憲案の実現を謀ろうとするものにほかなりません。
私たちは、麻生氏の大臣・議員の辞職、小松氏の法制局長官への任用撤回を求めます。同時に私たちは、安倍改憲内閣が強行しようとしている既成事実の積み上げも、違憲の法律の制定も、改憲も許さず、草の根から世論を巻き起こし、共同の運動で、これらの策動を阻止するために全力をあげる決意です。