国連の潘基文事務総長は13日パキスタンの首都イスラマバードで講演し、米国がパキスタン領内で続けている無人機攻撃は「国際人道法に従って行われるべきだ」と語り、米政府の運用方法を批判しました。そして「民間人被害を避けるために、あらゆる努力が求められる」と語りました。
国連は今年に入ってからも3月15日にエマーソン特別報告者は、米軍が実施している無人機攻撃について「パキスタンの主権を侵害している」とする声明を出しました。また5月27日にピレイ人権高等弁務官は、ジュネーブで世界の人権状況を報告したなかで、アメリカがパキスタンなどで行っている無人機による攻撃について、「攻撃の透明性や法的根拠が欠如している」と指摘し、「より多くの国が無人攻撃機の技術獲得に向けて動いていて、人権への影響に強く懸念している」と述べました。
軍人ではないCIA職員が、米本国の無人攻撃機の遠隔操縦施設から直接的に殺害行為に関与していることの違法性も、早くから指摘されてきました。
無人機による殺害方法はそこから発射されるミサイルによる爆殺なので、周囲の無関係な民間人を多数巻き添えにしてきました。
無人機による殺害方法はそこから発射されるミサイルによる爆殺なので、周囲の無関係な民間人を多数巻き添えにしてきました。
そうした国連その他の非難にもかかわらず、オバマ大統領は自国民の人的被害が生じないという利点から、一向に無人機攻撃を抑制しようとしません。
「捕虜」に対する虐待なども含めて、もはやアメリカはなりふり構わずで、かつてのように正義を偽装することも止めにしたようです。
以下にしんぶん赤旗の記事を紹介します。
(註.記事では被害者の数が添付されている表の数字と整合していないため、カッコ内の青字は事務局が記入したものです)
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国連事務総長 米無人機攻撃は違法 国際人道法に従うべきだ
しんぶん赤旗 2013年8月15日
【ニューデリー=安川崇】パキスタンを訪問した国連の潘基文事務総長は13日、首都イスラマバード市内で講演しました。この中で潘氏は米国がパキスタン領内で続けている無人機攻撃について「国際人道法に従って行われるべきだ」と語り、米政府の運用方法を批判しました。
潘氏は無人機の使用について「基本的には『空飛ぶカメラ』であり、情報収集が目的だ」との認識を示しました。その上で、「武装した無人機に関しては他の兵器と同じく、国際人道法などの国際法に従って使う必要がある。これは国連の明確な見解だ」と強調しました。
また、「(無人機攻撃による)民間人被害を避けるために、あらゆる努力が求められる」とも語りました。
無人機攻撃は米国がブッシュ前政権時代に開始。オバマ政権はこれを拡大し、対テロ戦略の中心的な手段と位置付けてきました。
しかし、軍人ではないCIA職員が直接の殺害行為に関与してきたことや、民間人の犠牲が相次いでいることなどから「国際法違反だ」との指摘を受けています。
英国のジャーナリスト団体の集計によると、米国は2004年以降、パキスタン領内で360(370)回以上の無人機攻撃を実施。2600(2500)人~3400(3600)人が殺害されており、うち400人~800人が民間人だといいます。