国民の知る権利、報道の自由を侵害する惧れのある秘密保全法が秋の臨時国会に提出されることになり、政府は27日、自民党プロジェクトチーム(PT)に法案の概要を提示しました。
PT座長の町村信孝議員は会合のあと記者団に、「正常な取材活動は問題ないことを法律上明確にしたい」と強調しました。ただ「何が不当な方法かは議論が分かれるかもしれない」とも述べました。そんなことではとても取材の自由や報道の自由が保障されるとは思えません。
また法案概要は「法適用に当たり、拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害することがあってはならない」と規定しているということです。しかし憲法の条文をわざわざ盛り込まなくてはならない法律とは、正に語るに落ちた話で、よくよく危険な法律であることを表しています。
報道の自由が極めて重要なことはいうまでもありませんが、秘密保全法の問題点を「取材の自由」が保障されるかどうか、というようなところに矮小化すべきではありません。
以下に時事通信とNHKの記事を紹介します。
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「不当な取材」定義不明確=秘密保全法案、政府が概要-自民幹部
時事通信 2013年8月27日
政府は27日、秋の臨時国会に提出する特定秘密保全法案の概要を自民党プロジェクトチーム(PT)に提示した。会合後、PT座長の町村信孝元官房長官は同法案が報道の自由を制約しかねないとの指摘について、「正常な取材活動は問題ないことを法律上明確にしたい」と記者団に強調。ただ「何が不当な方法かは議論が分かれるかもしれない」と述べ、具体的にどのような活動が違法とされるのかは明確になっていないことを認めた。
同法案は、安全保障や外交に関わる国の機密情報の漏えいやその教唆を処罰対象としており、取材活動にも漏えいの教唆罪が適用されるとの見方がある。法案概要は「法適用に当たり、拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害することがあってはならない」と規定しているが、自由な取材の担保には不十分との指摘も出そうだ。
政府側は会合で、法案提出前に国民の意見を聴くパブリックコメントを実施すると説明した。
「秘密保全法案」政府が概要示す
NHK NEWS WEB 2013年8月27日
政府は、安全保障に関して特に秘匿が必要な情報を漏えいした公務員らに対し、最高で10年の懲役刑を科すなどとした「秘密保全法案」の概要を、自民党の作業部会に示し、座長を務める町村元官房長官は、正常な取材活動は問題ないことを明確にしたいという考えを示しました。
10月に召集される見通しの秋の臨時国会で、政府が成立を目指す「秘密保全法案」について、27日に開かれた自民党の作業部会で、北村内閣情報官が、概要を説明しました。
それによりますと、安全保障に関する情報を厳重に保護するため、▽特に秘匿が必要な情報を「特定秘密」に指定し、扱えるのは政府が「適正評価」を行った公務員らに限定することや、▽「特定秘密」を漏えいした公務員などに対して最高で10年の懲役刑を科すとしています。
これについて出席者からは、「外国のスパイなどから情報を守るための法整備をしなければ、国民の生命を守れない」という意見や、「法整備にあたっては、国民の基本的人権や報道の自由を侵害しないようにすることが重要だ」という指摘が出されました。
会合のあと、作業部会の座長を務める町村元官房長官は、記者団に対し、「基本的人権を不当に侵害することがないような法律にしなければならない。また、報道の自由を確保するため、正常な取材活動は問題ないことを法律上明確にしたい」と述べました。
作業部会では、来月中に党としての考え方を取りまとめることにしています。