2013年8月12日月曜日

生活保護費減額の苦痛は顕著

 国は3年間かけて生活保護費を6.5%も減額することにしていますが、その初年度分が8月に実施されました。
 千葉県の弁護士たちが設置したホットラインには次々と悲痛な相談が寄せられています。
 「1日2食を1食に切り詰めている」「携帯代が払えない」、「食事の質を落として光熱費も節約を余儀なくされている」「ガス代を節約するため毎日風呂に入れない」などです。

 生活保護費減額は670億円を節約するためですが、その一方で毎年土木関係を中心に数兆円もの使い切れない予算※1を配分したり、復興予算の内の1兆円が全く復興と関係のない費目で消費されています。
 そのうえ官僚の天下り先への莫大な予算配分※2は全く減らしていません。
   ※1 11年度 5兆9千億円、12年度 3兆4千億円 (いずれも使い残し分)
   ※2 国家公務員再就職法人 4,504法人(再就職者25,245人)に交付された金額 12兆1334億円(年額) (平成20年4月現在)
 要するに政府・官僚は自分たちの権益と無駄遣いには決して手をつけずに、最も弱者である生活保護世帯から生活費を奪おうとしているわけです。まさに「苛政は虎よりも猛し」を地で行くものです。

 弁護士会は、まずは1万人規模の行政不服審査法に基づく不服の審査請求を行い、もしも退けられれば集団訴訟へと発展させる考えだということです。

 以下に東京新聞の記事を紹介します。
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「1日1食に切り詰め」 生活保護の減額 受給者切実
東京新聞 千葉版  2013年8月11日
 生活保護費の減額が今月から始まり、受給者の生活に影響が出始めている。(千葉)県内の弁護士らが開設したホットラインには「1日2食を1食に切り詰めている」「携帯代が払えない」など多くの相談が寄せられた。全国の支援団体と連携し、集団訴訟も視野に、自治体へ不服を申し立てる「審査請求」を準備する動きが、県内でも出ている。 (白名正和)

 「心臓病を患っているが、食事の質を落として光熱費も節約を余儀なくされている」「携帯代が払えなくなった」-。千葉市中央区の県弁護士会館の一室で六日、ホットラインとして設けた四台の電話が次々と鳴っていた。
 「ガス代を節約するため毎日風呂に入れない」「今後、保護費が一万円も下がると聞いた」と、受給者らの声は切実なものばかり。「国はほかの無駄遣いをたくさんしているのに」「視覚障害があるのにどうすればいいのか」など、弱い立場を狙った引き下げを批判する声もあった。
 ホットラインには六日だけで三十八人から相談が寄せられた。電話相談にあたった常岡久寿雄弁護士は減額について「ただでさえギリギリの生活をしている受給者を、さらに困窮に追い込むことになる」と指摘した。

 保護費の減額は、デフレによる物価の下落に実態を合わせる名目で行われた。今後は三年かけて段階的に、国全体で6・5%にあたる六百七十億円が削減される。
 これに伴い、特に大きな影響を受けるのは子育て世帯だ。厚生労働省の試算によると、都市部に住む四十代の夫婦と小中学生の子ども二人の世帯の場合、二〇一五年四月までに月額で二万円、三十代の母親と四歳の子どもの母子世帯の場合でも約九千円減額となる。

 これに対し、「生活保護基準引き下げにNO! 全国争訟ネット」は、千葉など各地の弁護士らと連携して、全国一斉のホットラインを実施し、受給者一万人規模の審査請求を目標に掲げている。千葉県のホットラインへの相談者も、多くが審査請求の提出に賛同したという。
 審査請求は行政不服審査法に基づく手続きで、今回は各受給者の引き下げを決めた県内の福祉事務所の決定に対し、不服を申し立てることになる。県内では九月中旬ごろにまとめて申し立て、退けられれば集団訴訟へと発展させる考えだ。
 常岡弁護士は「一人で声を上げても制度はなかなか変わらない。できるだけ多くの受給者とともに行動し、引き下げの撤回を実現させたい」と意義を強調した。