2013年8月23日金曜日

イラクの姉妹が平和を訴えに長崎へ

 第一次湾岸戦争ではイラクの上水道施設と下水道施設が徹底的に破壊され、戦後も上水道の消毒薬=次亜塩素酸ソーダの輸入が禁止されたため、子どもたちを中心に少なくとも数十万人といわれる病死者が出ました。
 また大量の劣化ウラン弾が使われたために、イラクではいまも驚くべき頻度で白血病や新生児の奇形などの健康被害が発生しています。

 21日、そうしたイラク戦争を生き抜いて平和を訴えるイラクの姉妹を長崎に迎えて、交流集会が開かれました。
 「日本イラク医療支援ネットワーク」が企画した「絆ぐるぐるツアー」の一環で長崎を訪れたものです。
 姉のスハッドさんはイラク戦争が始まったときはまだ10歳で、同ネットワーク事務局長の佐藤さんが彼女の描いた絵を反戦ポスターに使用して以来、交流が続いていました。
 会には市民たち50人が参加しました。

 「絆ぐるぐるツアー・プロジェクト」は、「絆をぐるぐる回せば世界が平和になる」という趣旨から命名されたもので、スハッド姉妹の招待はその第2弾ということです。
 
 2011年の東日本大震災時には、姉妹はバグダッドで行われたチャリティコンサートに参加して「上を向いて歩こう」を演奏し、会場の多くのイラク人が支援の募金をしました。イラク政府も8億円の義援金を届けてくれました

 以下に長崎新聞の記事を紹介します。
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イラクの姉妹が平和を訴え
長崎新聞 2013年8月22日
 イラク戦争を体験し現在もバグダッドで暮らす姉妹との交流会が21日、長崎市南山手町の祈りの丘絵本美術館であり、姉妹は戦時中や戦後の状況について報告、平和の尊さを訴えた。市民ら約50人が参加した。
 姉妹は、バグダッド大3年のスハッドさん(20)と大学入学を控えるハディールさん(17)。東京や大阪などを訪れ平和を訴える「絆ぐるぐるツアー」の一環で長崎を訪れた。イラク支援を続ける「日本イラク医療支援ネットワーク」(鎌田實代表)が企画した。

 同ネットワークの佐藤真紀事務局長(52)は2002年、開戦を防ごうとイラクで活動。その際、出会ったスハッドさんが描いた絵を反戦ポスターに使用し、以来、交流が続いていた。
 佐藤さんは、戦争で被害にあった子どもの写真などをみせながら「戦争の惨禍を知り、どのような世界をつくっていくべきか考えてほしい」と訴えた。また開戦当時、10歳だったスハッドさんは「子どもや女性が(爆撃で)死んでいくのを見ることがつらかった」と振り返った。
 その後、姉妹はオーボエとバイオリンで上を向いて歩こうなどを演奏した。

 この日は高校生1万人署名活動実行委のメンバー7人も参加。メンバーの提案で、姉妹も核兵器廃絶への署名に協力した。長崎玉成高3年の浦川あかりさん(17)は「交流でつながりが持てたので協力して平和を築いていければ」と話した。